ある遺族の意見


 ここでは、ある被害者遺族の方の意見を掲載する。
 私が出した質問への回答だが、質問自体は死刑問題のものも含まれているが、遺族側からの世間に対する要求なども含まれているので、身近に遺族の方がいる場合には、この意見に目を通しておく必要もあるだろう。
(注:ここでは発言者の許可を取った意見だけを掲載している)

Q:被害者家族として、世間から、して欲しくなかったことや、して欲しかったことは何か?
 まず,真実を知って欲しかったことです。
 犯罪には,その背景というものがあると思います。
 報道された結果だけで,判断されてしまうことが多くありました。
 加害者に会った事もなく,完全な巻き添えのような形で被害に遭った親族のことを,まるで「原因を作った本人なのだから,同情の余地はない」と誤解を受け,白い目で見られました。
 詳しい情報は,新聞にも雑誌にも載りましたが,きちんと読んでくれた方はすくなかったように思いました。

Q:事件から立ち直るのに、どういう人から、どういうことをして貰ったのが、一番良かったか?
 誰からも何もして欲しくありませんでした。
 興味だけで近寄ってくる人はたくさんいましたが,うすっぺらい感情はすぐに判りますから。
 今思えば,時間が解決していきました。

 「立ち直る」と言う言葉は,被害者の遺族としては当てはまらないような気がします。
 生きていれば,生活をしていかねばなりません。
 それは事件のケースにより違うと思いますが,私の場合は,被害に遭った親族がとても人に優しい人で,「罪を憎んで,人を憎まず」という言葉を残して逝ったので,「立ち直る」と言う言葉を当てはめるとすれば,その時に立ち直ったと言うべきでしょうか。

Q:犯人への死刑判決によって、心が少しでも軽くなることがあったのか?
 正直に言うと,そうです。(注:犯人は死刑判決を受けている)
 死刑になってくれることによって,本当の意味で許すことが出来るのだと思います。
 敵を討とうとかそういう気持ちにはなりません。
 この国に生きている以上,この国の正しい法によって裁かれて当然だと思います。
 しかし,人の命を故意に奪った者に関しては,死刑であるべきだと考えます。





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