幸せを壊す男−無実の知人を犯罪の共犯に仕立てた男− | |||||||||||||||||||
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中川史郎1924.06.22 - 1960.06.20職業:無職 軍隊時代に梅田義光と知り合う。 以前、営林局に勤務していたことがある。 |
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−概要−第一事件北見営林局の会計課支出係のOを殺し、20万円を奪い死体を埋めた。 Oの失踪は公金横領事件として、警察はOを指名手配した。 第二事件 中尾一郎と共謀し、留辺蘂営林署職員Kを殺して472万円を奪い死体を埋めた。 Kの失踪も公金横領事件として、警察はKを指名手配した。 −取り調べ−中川の逮捕別件逮捕された中尾が第二事件を自白。中川の名前も割れる。 中川は義兄(姉の夫)宅に隠れていたが、逮捕される。 最初のデッチあげ 中川は第二事件の主犯は被害者Kの上司だと主張。 その上司は警察の拷問を受けて自白するが、検察取り調べの段階で否認して不起訴になった。 梅田の逮捕 第二事件の取調中、うっかり第一事件も白状してしまう。 警察は供述通りOの死体を発掘するが、死体の向きの違いなどを中川に追求する。 中川は一晩たって、第一事件の共犯として梅田義光の名をあげる。すぐに梅田は逮捕された。 梅田と中川の対決 梅田もKの上司と同じく拷問を受けるが、「中川に会わせてくれ」との要求は叶えられた。しかし・・ 梅田「俺がお前の仕事の何を手伝ったというのだ!」 梅田「復員後、お前とは一、二回しか会っていなじゃないか!」 中川「もっとあってるじゃないか」 梅田「どこで会ったんだ?」 中川「辰巳だよ」 梅田「辰巳ってなんだ?」 中川「食堂だよ」 梅田「俺、そんな食堂知らんぞ!」 中川「梅田君、すまない。俺もがんばったんだ」 梅田「何がすまないだ!ひどいぞ!」 中川「刑事さん。梅田君は家族がいるのです。自首の手続きをとってやってください」 結局、取り乱した梅田の完敗だった。 あとは警察の誘導による自白調書が取られ、起訴された。 −裁判−釧路地裁網走支部で中川に死刑、梅田と中尾に無期懲役判決が出る。中尾は服役するが、中川と梅田は控訴・上告する。が、結局上告も棄却され、二人の刑は確定する。 −確定後−梅田は何度も中川に真実を語るよう手紙を出すが、中川にしてみれば梅田が無罪になろうがなるまいが、自分の死刑判決には何の影響もない。しかも、中川はこんなことを言っている。 「他人が幸せそうにしているのを見ると、それをブチ壊したくなる」 60年にはいると、中川は梅田の弁護士に「梅田君が望む証言をするから50万円だせ。」という手紙を出す。 その手紙にはどこにも「真実を証言する」とは書いていなかった。 どうも中川の真意は、その金で旨い物をたくさん食べてから死にたいということにあるらしい。 弁護士は検察に相談して、おとり捜査をすることを提案するが、断られる。 これが影響したのか、同年6月20日、彼の最後の日が訪れる。享年35。 −梅田その後−梅田は86年8月27日に再審で無罪が確定している。 |