自分の国が戦争をしたらどうなるか1


 自分の国が戦争の当事国になったらどうなるか考察してみる。

1.生活への影響

1−1.経済

○流通停滞による物価上昇
 日本は海洋国家なので、戦争によりシーレーンや空路が封鎖、もしくは狭くなると、輸出入が減少・途絶する。その結果、多くの物を輸入に頼っている日本では、物価上昇につながる。また、輸出による外貨獲得額も低下する。
 ちなみに、農水省によると、日本のカロリーベース総合食料自給率は39%(2012年度)である。
 輸入の減少・途絶の影響で言えば、食料だけでなく、原油もインパクトが大きい。発電能力及び流通能力の低下につながるからだ。
前者は火力発電が十分行えないという形で現れる。なお、戦争では原子力発電所も優先的な攻撃対象になると考えられるため、攻撃されれば、当然原子力発電所による発電力も低下する。その結果、民間人がパソコンで情報収集や文化活動(文学、美術、演劇、音楽、サブカルチャー)を行うことも難しくなると思われる。
 後者は、物価の上昇、物不足につながる。AMAZONでちょっと頼んで自宅配送してもらうといったことができなくなると考えられる。
 輸出への影響は、輸出業者および関連業者の従業員の給料が減少するか、解雇につながる一方、やはり海外から物が入ってこなくなるため、物価は上昇する。こうなると、まずエンゲル係数が上昇する。その結果、戦時協力に参画しないあらゆる文化(文学、美術、演劇、音楽、サブカルチャー)、レジャー産業(観光地、アミューズメントパーク)といったものが衰退する。
 これらへの影響を抑えるため、政府が経済統制を行い、あらゆる物が配給制になる可能性がある。当然金があっても好きな物は変えなくなるし、そもそも満足に食べることができるか不明である。食物が不十分になると、窃盗・強盗などのあらゆる盗犯が増加すると思われる。(→治安の悪化)

○徴収
 戦争を継続する上で必要な物資が不足すると、民間から必要な物資を徴収することになる。徴収は対象となった物の価値と釣り合わないくらい廉価で買い取られるか、無償で提供することになる。対象物は貴金属・宝石のほか、食糧生産者の場合は食料も対象となる。現代では、パソコンや携帯をはじめとした電化製品にレアメタルが使われているため、これらも徴収の可能性がある。

○預金封鎖、強制貯金、戦時国債
 戦時では、国家が自由にできる金を増やしたいため、預金封鎖(自由に金を下ろすことができない)、戦時特例法による強制貯金を行う可能性がある。最も配給制度が導入されていれば、大して影響はない。
 一方で戦時国債の購入をせざるを得ないようにマスコミ等を使って世論を操作することもある。

○徴兵による収入減{徴兵制が導入されている場合}
 一般的に、国が一般企業と同等の給与をすると、国の借金が膨大になるため、徴兵された膨大な兵士への給与を低くせざるを得ない。味噌や醤油の貸し借りといった文化が廃れた今日では、銃後に残された家族が生活していくのは、厳しいことが予測される。

○破壊、略奪による物不足{戦場になった場合}
 家、車、家具、衣料、雑貨等、あらゆる財産が被害を受ける可能性がある。その不足を補おうにも、流通の停滞により、補うことが難しい。


1−2.インフラの破壊

○交通路の破壊{戦場になった場合}
 道路、橋、線路は軍需物資の移動に使われるため、破壊の対象となる。その結果、移動には主に足を使うことになるほか、川を渡る手段がなくなり、ちょっと川向こうのコンビニや友人宅に行くこともできなくなる。また、通勤に電車含めて1時間かけているような場合、通勤も実質不可能になる。その結果、収入も断たれることになる。

○通信の破壊{戦場になった場合}
 戦争は情報が命なので、敵国の情報系統の破壊は基本である。つまり電話、放送の基地局等通信拠点は破壊の対象となる。TV鑑賞、携帯電話通信、固定電話通信、インターネット通信(当然LINEやツイッターも)はできなくなる。
 例外としては、友好国が所有している衛星を使用した衛星通信くらいになる。


1−3.治安

○警察力の低下{徴兵制が導入されている場合}
 警察官が徴兵の対象になることにより、警察力の低下を招く。その一方で、犯罪予備軍も徴兵されるため、犯罪発生件数自体は減少する可能性が高い。(犯罪白書によると1942-1945年の刑法犯は、その前後より明らかに低かった)
 なお、戦場になった場合は、警察力の低下云々の前に、治安は最悪状態になる。(後述「身体、生命の危機」参照)

○身体、生命の危機{戦場になった場合}
 徴兵された場合は、当然戦闘行為を行うため、平時と比べれば死傷の率は段違いに高くなる。死ななくとも、手や足を失ってしまう可能性もある。戦況が不利な場合には、兵士に覚せい剤を投与する場合(日本の特攻隊やアフガニスタンのソ連兵のケース)もあり、復員しても後遺症に苦しむ場合がある。
 戦闘中では、兵士は常に死と向かい合わせのため、自分の安全のために、非戦闘員を兵士やゲリラと錯誤して殺傷する場合が頻発する。また、誤爆の被害を受けることも珍しくない。戦場は不衛生な上、近くの病院も破壊されていることが多いため、頭や腹が傷を負ったら、助からないことが多い。家族が重傷を負ったとしても、前述の理由などにより、できることが限られており、死んでいくのを見守ることしかできない。
 性犯罪の被害も発生しうる。戦場では、敵兵に強姦されて子供を出産(堕胎)したという話もある。



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