平成を生き抜いた死刑囚


 明治以降、昭和の終わりまで一つの年号を生き抜いた死刑囚は、いなかったと見ていい。
 昭和戦前までは、死刑囚の執行状況や恩赦の記事を見ていると、確定から5年以内に執行するか恩赦で減刑するなどして司法当局が対処していたことが見て取れる。確定から5年を超す死刑囚が現れるのは、確実なところでは、1954(昭和29)年からだ。そういう状況なので、「明治以降、今まで一つの年号を生き抜いた死刑囚は、いなかった」と言って差し支えないと考える。
 ところが、令和に入った段階で、昭和時代に確定した死刑囚が5名存在する(うち1名は釈放中)。言い換えれば、彼らは平成という一つの元号を、死刑確定者という身分を保ったまま生き抜いたわけだ。
 令和が何年続くか分からないが、令和を生き抜く死刑囚は、どれだけいるだろうか。



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