中国の死刑執行


 つい最近までの、私の直属の上司は中国人だった。その上司が、ある日、中国の死刑の様子を語ってくれた。

 上司が中国にいた頃の中国では、死刑執行方法は銃殺で、すでに公開処刑はされてなかったようだ。
 死刑囚は、トラックで広場や運動場などに連れて行かれ、みんなの前にさらされて、同行した軍人によって、罪状を公開されるそうだ。その後、収監先に移送される。
 数日後、死刑囚は山の中に連れて行かれる。そして、命令を受けた人民軍兵士が、死刑囚の後頭部に発砲する。
 ちなみに死刑執行をする場所は、事件が起こった省(日本の県にあたる)や、死刑囚の親類のいる省とは、別の省が選ばれる。そして、死刑を執行するのは、その省に勤務している人民軍兵士である。
 なぜ、そのように場所や執行する兵士を慎重に選択するかというと、死刑囚の縁者がいる省で執行すると、だれが執行したかバレる可能性が高くなり、その結果、死刑囚の縁者によって、執行者に対する復讐がなされることがあるからだというのだ。

 ちなみに、軍人といえども、そしてそれが死刑執行という、法と命令に決められた行為であっても、やはり人を殺すことは嫌だということは変わらないようだ。事前に命令を受けた兵士が仮病を使って、死刑を執行することを免れたという話も聞いた。
 そして、その兵士の代わりに執行を担当した兵士は、死刑囚の後頭部に拳銃の照準を合わせたものの、手が震えて、なかなか撃てなかったそうである。



inserted by FC2 system