裁判所・部 横浜地方裁判所・第五刑事部合議係
事件番号 F、E:平成19年(わ)第2826号 (公判前整理手続適用事件)
A:平成19年(わ)第2827号 (公判前整理手続適用事件)
事件名 殺人、死体遺棄
被告名 A、F、E
担当判事 村上博信(裁判長)永井秀明(右陪席)横山美樹(左陪席)
その他 書記官:有馬みゆき
弁護人:菊田幸一、他2
検察官:栗田真紀子
日付 2008.11.25 内容 被告人質問

 被告人の家族や暴力団関係者は皆無に等しく、傍聴席はガラガラだったが、傍聴スペースの長方形の角を職員が陣取っていた。A被告の両脇を固めているのは、暴力団対策課の刑事と思しき、いかついスーツ男性で、他の2被告の出廷業務の刑務官も大柄な体格。
 今回から傍聴券交付がなくなったが、被告人が入廷してから傍聴人は入廷する。
 A被告は頬がこけた普通の顔立ちの若い男性、F被告は真面目そうな色白のスーツの男性、E被告は鋭い顔つきに眼鏡をかけて髭を回りに蓄えたいかにもその筋らしきダークスーツの男性でメモを取っていた。
 証人尋問が終わり、今回はA被告の被告人質問で菊田弁護人は矢継ぎ早に質問を重ねていく。

裁判長「A君、前へ」
弁護人「あなたがZ1会Z2組に入ったのはいつですか」
被告人「今から3年前です」
弁護人「ヤクザになったのは初めて?」
被告人「はい」
弁護人「こういう事件を起こしてZ2組は脱会したのですか」
被告人「脱会届を出しました」
弁護人「あなたが逮捕されたのはいつですか」
被告人「去年の11月13日です」
弁護人「去年あなたは何歳でしたか」
被告人「26歳です」
弁護人「aさんがZ2組に入ったのはいつですか」
被告人「平成18年ぐらいです」
弁護人「aさんはあなたが組員になったあとZ2組に入った?」
被告人「はい」
弁護人「aさんは組内でどういった役職だったのですか」
被告人「舎弟頭で、立場的には組長の次ぐらい」
弁護人「あなたはどういった役職だったのですか」
被告人「事務局長で舎弟頭の下で、順位は3〜4番目、お金の計算したり庶務的なものをやっていました。何にも責任を持たないと言ったら嘘になります」
弁護人「後から入ったaさんが上のポストにつくことをどう思いましたか」
被告人「年も上だし、渡世歴も長く、当たり前のことかなと」
弁護人「aさんのほうがあなたより20歳ぐらい年上?」
被告人「はい。後から入って上のポストにつくことについて自分は何も思っていません」
弁護人「aさんがいばっているということは?」
被告人「後から入ってきたこともあってか自分のことを局長、局長と立ててくれて、分かんないことを教えてくれたり親切でした」
弁護人「aさんが組長に対してタンカを切ったことは知っていますか」
被告人「はい」
弁護人「Dたちとは面識はありましたか」
被告人「2〜3回顔を合わして、挨拶ぐらいは」
弁護人「タンカを切ったaさんに対して何かしましたか」
被告人「酔っ払ってて手が付けられなかったのでそのままにしました。話ができる状況ではなかった」
弁護人「酒を飲んでいるとき「組長を殺す」と言ったのを聞いていますか」
被告人「知っています。直接組長には会ってないと思います」

−ここで今井健詞被告の論告求刑で101号法廷へ、12時前に再度入廷−

 村上裁判長が「最後に私から聞くけどね」とスローリーで厳かな口調で言った。
裁判長「なぜ組の脱退届を書いたんだね」
被告人「自分は関わっていないと嘘をついたことで組に迷惑をかけた、これ以上自分の籍を置いて迷惑をかけられないからです」
裁判長「ヤクザ稼業が大変だ、あまり世の中のためになっていないというのがあるけれど・・」
 被告人は答えに窮して、裁判長はやや語気を強めて言った。
裁判長「ヤクザ稼業が世の中のためになっていないと考えたからではなく、自分の話したことの責任を取って脱退届を書いたということか」
被告人「・・・まあ、そうっすね」
裁判長「そうですか」
裁判長「3月30日ジェイ・ドリームでDからaさんを殺したという話はあったのか」
被告人「絶対にないです」
裁判長「なぜ殺したのか聞いてないのか」
被告人「はい」
裁判長「3月27日にどうして亡くなったと思ったのですか」
被告人「このままでいいのか、何とかしなくちゃいけないと怒っている、不満が募ってそれでやってしまったんだろうなと思った」
裁判長「3月27日にGからDから話があると言われてDが「もうちょっと待っててもらえないか」と言われたことは?」
被告人「え?」
裁判長「(やや語気を強め)Dから話があったのは間違いないかと聞いているんだ」
被告人「はい」

 また被告人は通常連絡なしにDたちが急に来ることは今までなかったと話して、午前の部は終了し傍聴人を出したあと被告人らは退廷していった。(午後5時まで予定されていた)
事件概要  被告人らは共犯と共謀のうえ、2007年3月、多額の金を無心する同じ組の組員を、埼玉県北本市のマンションで殺害したとされる。
報告者 insectさん


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