傍聴記

裁判所・部	東京高等裁判所・第六刑事部
事件番号	平成23年(う)第1272号
事件名	殺人、死体遺棄、強盗殺人、窃盗、有印私文書偽造・同行使、詐欺
被告名	桒田和也
担当判事	出田孝一（裁判長）山田和則（右陪席）大野洋（左陪席）
その他	書記官：岩瀬浩一
日付	2012.3.13	内容	初公判
桒田和也の控訴審初公判は、４１０号法廷で、１３時３０分より開廷した。　当時は数少ない裁判員裁判の死刑事件控訴審であったためか、傍聴人は２０人と、やや多かった。狭い法廷であるため、傍聴席はかなり埋まったが、息苦しさを感じるほどではない。傍聴人の様子を見ても、公判に注目している様子が見て取れた。　弁護人は、丸顔で髪を真ん中で分けた中年男性と、痩せ気味の髪が後頭部ではねた、鷲鼻たれ目の４０代くらいの男性だった。　検察官は、白髪まじりの髪をオールバックにした、眼鏡をかけた初老の男性だった。　裁判長は、眼鏡をかけた白髪の初老の男性。裁判官は、髪を真ん中で分けた３０代くらいの男性と、七三分けにしたオールバックの丸顔の眼鏡の初老の男性。　開廷前、２分ほどのビデオカメラの撮影が行われた。それが終わると、被告人が入廷する。　被告人は当時は４０代だったはずだが、それよりも老けて見えた。グラス部分が細い眼鏡をかけており、口元に皺が目立つ。表情は硬く、暗さもあり、緊張しているようにも、打ちひしがれているようにも見える。顔立ちにも雰囲気にも華はなく、妻子がありながら年若い被害者たちと同棲できるような、女性にもてそうな雰囲気はなかった。この打ちひしがれ、疲れたような印象が、被告人の数少ない特徴だった。体格的には中肉であり、多くの被告たちのように頭を丸めている。青と白のストライプのワイシャツと、長ズボンを身に着けていた。裁判長「それでは開廷します。被告人は証言台の前に立ってください」　被告人は立ち上がり、裁判官に一礼した。裁判長「人定質問を行います。被告人は、名前は何といいますか」被告人「桒田和也です」裁判長「あなたの生年月日はいつですか」被告人「昭和41年6月26日です」裁判長「あなたの本籍は」被告人「広島県福山市です」裁判長「一審判決によれば、住所不定ですか？」　被告人は、答えなかった。裁判長「それから、職業は無職ですね」被告人「はい」　今度は、頷く。裁判長「これから、被告人に対する、殺人、死体遺棄、強盗殺人、窃盗、有印私文書偽造・同行使、詐欺事件について、審理を始めます」被告人は、軽く礼を返す。裁判長「被告人は被告席に戻って、座っていてください」　指示されたとおりに、被告席に戻り、座った。　人定質問後、控訴審が開始される。まずは、証拠の採否について審理が行われた。　弁護人は、控訴趣意書、１月２４日付、３月７日付で控訴趣意補充書、控訴趣意補充書２が提出。弁護人は、その通りに、控訴趣意を陳述する。　本年提出の二つの控訴趣意補充書は、何か事情があったのか、期間経過後となってしまったとのこと。しかし、裁判長は事案にかんがみ、それを控訴趣意として取り扱うこととした。弁護人の主張は、法令の適用違反、訴訟手続きの法令違反、量刑不当、事実誤認。　平成２３年１２月２０日、検察は答弁書を提出。検察官は、その通りに陳述する。控訴趣意には理由がなく、控訴棄却相当、という内容である。　弁護人は、１月２４日付、３月２０日付で事実取り調べ請求を行っており、鑑定請求、被告人の上申書、被告人の供述調書を、書証として請求している。　検察官は、書証は不同意とする。鑑定請求については必要なしと主張。上申書と供述調書については「一審で提出されなかったことについて、やむを得ない事情はない」と主張する。また、「裁判員裁判の控訴審では、やむを得ない事情について、厳格に解するべき」とも述べる。書証９については同意。　弁護人は、事実関係と情状について、被告人質問を請求している。検察官は、事実関係については不同意、情状に関しては同意する。　裁判長は、次のように判断した。書証９について、採用し調べる。検察官がやむを得ない事由がないと述べた書証１～８、事実関係についての被告人質問は、確かに、やむを得ない事由はない。しかし、特に慎重に判断すべきという立場から、これらの書証と被告人質問は認めることにした。鑑定については採否を留保し、被告人質問については請求通り認める。　被告人質問は次回期日に行うこととなる。弁護人は５０分、検察官は２～３０分。時間の割り振りについては、閉廷後に打ち合わせを行うこととなる。次回期日は、４月２４日の１３時３０分からとなる。　控訴審初公判は、１３時３８分と、極めて短時間で終わった。被告人は、入廷した時と同じく、硬い表情で退廷した。　閉廷後、弁護人、検察官共に、法廷の外で記者たちの取材に答えていた。
報告者	相馬さん

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