裁判所・部 東京高等裁判所・第九刑事部
事件番号 平成21年(う)第897号
事件名 詐欺(変更後の訴因:組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反)、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反
被告名 A、B
担当判事 原田國男(裁判長)田島清茂(右陪席)岡(左陪席)
その他 書記官:早川美幸
検察官:高口英徳
日付 2009.9.16 内容 初公判

 A被告はセーターを着た垂れ目の太った男性、B被告は肌黒のノーネクタイのスーツを着た真面目そうな男性だった。いずれも肉付きは良い体格である。弁護人によるB被告への被告人質問が行われていた。

弁護人「営業が顧客に一生懸命説明して、クーリングオフ期間に契約を解除されたら困るので、クーリングオフ期間中に大きな規模で取引しましょうと言って、そのあとディーラーに引き継ぐというわけですか」
被告人「はい」
弁護人「増額と言って、クーリングオフ期間を経過させるという重要な役割だったのですか」
被告人「はい」
 CとDの報酬はBの報酬の3分の2の820万円余りだが、掛け金制度を取っていたこともあり報酬の点は重視されなかったと被告は答えた。
弁護人「あなたと同じ報酬のEさんという方はどういう方ですか」
被告人「お客様相談室の次長です。クレームの処理を担当し、クレームを会社内で解決する仕事です」
弁護人「外部に問題がばれないようにするとそういう役目を果たしていたと」
被告人「はい」
弁護人「あなたが課長だったわけで、E次長とどちらが立場が上ですか」
被告人「次長のほうです」
弁護人「一覧表、加給金状況というか、給料の多い順の一覧があるのですが、あなたは上から12番目の立場でした」
被告人「はい」
弁護人「旭アセットメントの詐欺行為が外部に何らかの方法で漏れないようにしていたEさんは起訴されましたか」
被告人「聞いていません」
弁護人「次は情状について聞いていきます。あなたは父親に連絡を取ったのは原審の判決後のことなんだけど、なぜ逮捕された時に連絡を取らなかったのですか」
被告人「父は78歳と高齢で迷惑をかけたくないという我侭な気持ちからです」
弁護人「一審で実刑を言い渡されたんだけど、どういう思いで連絡を取ったのですか」
被告人「これ以上連絡を取らないとさらなる心配をかけるんじゃないかと」
弁護人「一審の結果を聞いてどう思いましたか」
被告人「内容は把握しましたが、改めて事件や僕のやったことの重大性をひしひしと実感しました」
弁護人「父親はこれまで9回も奈良から出てきて会っているということなんだけど、どういう気持ちですか」
被告人「申し訳ないという気持ちです」
弁護人「他にはどうですか」
被告人「感謝の気持ちもあるが、裏切ってしまったという申し訳ない気持ちのほうが強いです」
弁護人「Y1さんが今日来てくれているんだけど、どんな会社か知っていますか」
被告人「当時はインターネット事業をしていました。会社が忙しくなるので手伝ってほしいと言われました」
弁護人「何という仕事ですか」
被告人「インターネットの仕事で、経理を見てくれとのことです」
弁護人「一緒に働こうと言ってくれているY1さんに対してどういう気持ちですか」
被告人「感謝の気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいです」
弁護人「一審でも自分の言葉で話してもらったんだけど、最後の機会になるので被害者に対して言いたいことはありますか」
被告人「被害者の方に多大な迷惑をかけて謝罪の気持ちでいっぱいです。この気持ちを変わることなく薄れることなく持ち続けていくことを忘れることなく償っていきたいです。今具体的に出来ることと言えば謝罪の言葉しかないですが、出来ればY1さんのもとで働かせていただいて皆さんに認めてもらいたい」

 裁判長が結審を告げると弁護人の一人が「1億円の訴訟を起こしているのですが、来週にも具体的な方向が出る」と述べて、それを再開して取り調べることを請求した。本件では漫画「クロサギ」のような詐欺グループが検挙されているのでその訴訟かは定かではないが。
 控訴審判決は10月28日の15時からで、A被告は退廷のとき弁護人に何か尋ねていた。

報告者 insectさん


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