裁判所・部 東京高等裁判所・第八刑事部
事件番号 平成21年(う)第1229号
事件名 殺人、傷害
被告名
担当判事 阿部文洋(裁判長)堀田眞哉(右陪席)野原俊郎(左陪席)
その他 書記官:井上
検察官:村上満明
日付 2009.9.15 内容 初公判

 被告人は髭が少し伸びた、困ったような表情をした仙人のような老人であるが、年齢の割りに若く見えなくもない。下を向いていることが多かった。
 検察官席寄りの傍聴席の端には関係者席に割り振られ、遺族らしき黒い服の数人も在廷していた。

裁判長「それでは被告人は証言台の前に立ってください。まずお名前は」
被告人「Aです」
裁判長「生年月日はいつですか」
被告人「昭和14年3月8日です」
裁判長「本籍地は」
被告人「栃木県下塚郡です」
裁判長「住所は」
被告人「ないです」
裁判長「職業は」
被告人「ありません」
裁判長「本件控訴の趣意は控訴趣意書の通りですね」
弁護人「はい」
裁判長「検察官ご意見は」
検察官「いずれも論旨は理由がなく棄却されるべきであります」
 被告人は責任能力も争っていたが、いつものように原判決後の情状に限った被告人質問のみ採用されることになった。
弁護人「今裁判官や検事など3者が決めたことは理解できましたか」
被告人「ちょっと分かりません」
弁護人「要するに一審後のことに限定して質問するということなんだけど、分かる?」
被告人「へっ分かりません」
弁護人「・・・今日の健康状態はどうなの」
被告人「良いとは言えないです。鼻血が出て頭クラクラして・・ムズムズしたからバッチンやったんです」
弁護人「事件のきっかけは触れられないんだけど、どんな結果が招かれたというのは知っていますね」
被告人「気はもとに戻ってくるしね、最初は分からなかったけどね」
弁護人「人を殴って死なせたり大ケガを負わせたことは理解していますね」
被告人「聞かされて分かった」
弁護人「えらいことをしたというのは分かってますか」
被告人「いけないことをしたと思ってます」
弁護人「その気持ちをどう表すの」
被告人「謝るっきりないです」
弁護人「どうやって?」
被告人「それですよ、それ。どうやって謝っていいか・・」
弁護人「人としての謝り方が普通あるでしょ」
被告人「なかなか分かんないねえ」
弁護人「大家さんとか息子のお嫁さんの遺族や親戚がひどく傷つけられたというのは分かるね」
被告人「そうだね、最初は分かんなかったけど、現在は本当に悪いことをしたと思ってます」

報告者 insectさん


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