裁判所・部 東京高等裁判所・第八刑事部
事件番号 平成20年(う)第1880号
事件名 危険運転致死、道路交通法違反
被告名
担当判事 阿部文洋(裁判長)吉村典晃(右陪席)堀田眞哉(左陪席)
その他 書記官:井上
検察官:壬生隆明
日付 2008.11.18 内容 初公判

 被告人はスポーツ刈りの眉の剃り跡が目立って描いたような細い眉と目をした肌黒の男性。いかにも土方風で体格は細身ながらも筋肉質で神妙な面持ちで入廷してきた。はっきりとした声を発する。
 前の裁判が長引いていたため裁判官はそのまま席に座っていた。

廷吏「A被告人に対する危険運転致死等の事件につき開廷します」
裁判長「それでは被告人は証言台のところに立って。お名前は」
被告人「Aです」
裁判長「生年月日は」
被告人「昭和52年3月11日です」
裁判長「本籍は」
被告人「東京都品川区です」
裁判長「現在の住所は」
被告人「神奈川県横浜市」
裁判長「職業は」
被告人「建設作業員です」
裁判長「弁護人の主張は控訴趣意書および同補充書のとおりということで」
弁護人「はい」
裁判長「検察官、ご意見は」
検察官「理由がなく棄却相当であります」
裁判長「弁護人のほうからは書証および被告人質問が請求されておりますが」
検察官「書証は不同意、被告人質問も不必要です」
 間を置いて
裁判長「いずれも却下いたします」
 背の低い女性弁護人の顔が困惑しつつも紅潮し「本件は争っている事件でありまして、言い分が認められなかった一審判決が下された以上、事実取り調べをして原審の当否等を判断していただきたいと思います」と滔々と不満を述べた。
裁判長「それは異議ということで」
弁護人「はい、異議です」
裁判長「検察官、ご意見は」
検察官「理由がありません」
 裁判長は左右の陪席をちらりと見て「棄却で」などと話して
裁判長「異議は棄却します」
 被告人はこのやりとりを聞いてますます絶望的な表情になっていく。
 裁判長はメモを取り出し
裁判長「11月27日の午後2時40分からということで、えーと判決ね」
弁護人「・・・はい」
裁判長「それでは終わります」

 被告人はがっかりした様子でおぼつかない足取りで退廷、女性弁護人は閉廷後に被告人の関係者と打ち合わせをしていた。被害者の関係者も弁護士と来ていたようだった。

事件概要  被告人は、2007年8月23日、神奈川県横浜市の路上を運転中、対向車線を通行してきた少年のオートバイを脅そうとして急にハンドルを切った結果衝突し、少年と同乗者を死亡させ、そのまま逃走したとされる。
報告者 insectさん


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