裁判所・部 東京高等裁判所・第八刑事部
事件番号 平成19年(う)第2791号
事件名 建造物侵入、強盗、銃砲刀剣類所持等取締法違反、強盗予備
被告名
担当判事 阿部文洋(裁判長)吉村典晃(右陪席)堀田眞哉(左陪席)
その他 書記官:井上
検察官:藤原公秀
日付 2008.2.21 内容 初公判

 刑務官に伴われた被告人は彫りの深い顔立ちの30代くらいの色白の、強盗を犯したとはあまり考えられない甘いマスクの男性だった。
 傍聴席には被告人の妻らしき人が産まれたばかりの赤ん坊を連れて来ていた。

廷吏「A(ごとうただゆき)被告人に対する強盗等被告事件につき開廷します」
 被告側は2人の女性弁護士だったが、裁判長が1人に弁護士バッジがついていないことを微笑みながら指摘していた。
裁判長「お名前は」
被告人「Aです」
裁判長「誕生日は」
被告人「昭和48年11月22日です」
裁判長「現在住んでいる住居はどこですか」
被告人「東京都板橋区です」

 控訴の趣意は控訴趣意書記載の通りで、書証と被告人質問が採用された。
裁判長「それではそこに座っていいですよ」

−弁護人による被告人質問−
弁護人「有明郵便局で被告人が包丁を向けたのは・・・」
 「へへっ」と検察官と裁判官が軽く苦笑して、控訴審での被告人質問の趣旨は判決後の情状であり、1審で尽くされた事実関係のことではないと指摘して弁護人は質問を改める。
弁護人「被害者の方に償うために、1審のときに不動産の処理を私に依頼したわけですが、結果のほうはどうでしたか」
被告人「ローンの残高が結構ありまして、売却でも十分な資金にならず、あきらめました」
弁護人「いわゆるオーバーローンの状態だったわけですが、あなたはそのことを把握していましたか」
被告人「いいえ」
弁護人「なぜ把握していなかったのですか」
被告人「人を介して購入したやつなので」
弁護人「慰謝の措置というか弁償もできていない状態ですが、今後どういうふうに償っていきたいですか」
被告人「長く刑に服すと思いますが、社会復帰したら少しずつ返済していきたいです」
弁護人「1月19日にY1さんとの間に、お子さんが産まれたわけですが、面会はしましたか」
被告人「はい」
弁護人「拘置所の接見室のほうで?」
被告人「はい」
弁護人「あらためてね、無事Y1さんが出産したことと、あなた自身が犯した犯罪についてどう思いますか」
被告人「無事産まれたのは良かったですが、子どもに罪はなく、父親が傍にいないという状態になり申し訳ないです」
弁護人「短くない刑に服すことになると思いますが、どう思いますか」
被告人「これから施設に行くが、職業として訓練するとか、手に職をつけたいです」
弁護人「終わります」

 検察官、裁判官からの質問はなく、裁判長が結審を宣言して、控訴審判決を3月6日に指定して閉廷した。

 閉廷後、弁護人2人と被告人の妻はまだ本当に小さい赤ん坊を長い間あやしていた。

報告者 insectさん


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