裁判所・部 東京高等裁判所・第四刑事部
事件番号 平成19年(う)第2402号
事件名 住居侵入、強盗殺人未遂(認定罪名:強盗致傷)、強姦未遂
被告名
担当判事 門野博(裁判長)鬼澤友直(右陪席)奥山豪(左陪席)
その他 書記官:建部、渡部
弁護人:大熊裕起
検察官:飯塚和夫
日付 2008.2.21 内容 証人尋問

 被告人は黒い肌に小柄で小太りで、前上博被告に後姿はよく似ていた。
 被告人用のドアから証人尋問の席まで距離に衝立が裁判所職員によって設置され、証人が証人席に座ったあと、それは取り払われた。当然証人尋問の衝立は設けられたままで、被告人席からも傍聴席からの証人の姿は見えない。
 被告人は被告人席の左端に身柄を寄せられていた。
 宣誓を読み上げると、被害者の証人尋問が行われた。

検察官「検察官の飯塚から質問しますけど、証人は、平成18年8月2日に高崎市のご自宅の部屋で、そこにいるAから現金を奪われるなどの被害に遭いましたか」
証人「はい」
検察官「あなたは高崎の裁判所でも証言されていますね、もう1度証言していただきたいということで来ていただいたわけですけども、高崎の裁判所では殺意は認められなかったわけですが、『殺されそうになった』と証言しているので、その点についてお伺いします」
証人「はい」
検察官「もう殺されてしまうんだ、というのはどういう点をいうのですか」
証人「首元にカッターナイフを突き付けられて、切り刻むように『ケイサツニイワナイ?』と言われました。『絶対言わないから帰って』と言いました。顔見知りなので、帰ってくれるとも思えませんでしたが、『セックス、セックス』と言われて、拒否すると、首を締め上げられて『シンデ、シンデ』と言われたときは、もうダメなんだなーと思いました」
検察官「殺意を感じましたか」
証人「最後に首を締め上げられたり、ドライバーで突かれたりしたときは、犯人から殺意を凄く感じました」
検察官「いくつかの点を言われたので、細かく聞いていきますね。まず首元にカッターナイフを突き付けられて『警察に言わないでね』と言われたのは、あなたがご自宅に帰って、泥棒がいることに気づいて電話しようとしたとき、犯人が現れて玄関から居間に連れてこられて、お金を取られたときのことを仰っているんですね」
証人「はい」
検察官「証人からすれば、警察に言わなければ殺されずに済むとは思わなかったのですか」
証人「顔見知りでしたし、そういうことは考えなかったです」
検察官「2点目に『セックス、セックス』『シンデ、シンデ』と言われたのは、警察に言わないでという話が出て、あなたがタバコを吸いたいと言って取りに行かせてからの話になりますね?」
証人「はい」
検察官「被告人がそのとき『セックス、セックス』と言って、避けようとしたときに襲ってきたということですか」
証人「はい」
検察官「体を倒して避けようとしたが、第1回目にまず首を絞められていると」
証人「はい」
検察官「最初に首を絞められたときは両手でですか」
証人「はい」
検察官「どのくらいの強さや時間でしたか」
証人「時間は分かりませんが、締め上げるような感じで、脱力していくような、そういう感覚を受けました。時間にしても2〜3秒とか5〜6秒ではない」
検察官「それは実際首を最初に絞められた時点での話ですか」
証人「手が痺れていくような、手先の感覚がなくなっていくような感じでした」
検察官「原審では、体から脱力感を感じ、鼻水が出て気が遠くなったと証言されていますね」
証人「腕の力が抜けて足腰も全然動かない感じで壁に寄りかかりました。朦朧とした感じでした」
検察官「鼻水が出たというのは、風邪ではなく、体を締め上げられたため液体が出たということですか」
証人「はい」
検察官「あなたは肩や腕を噛んだりして抵抗した。女性としては体格はいいと(当時身長160cm、体重58〜59kgと証言)思うのですが、あなたとしては一生懸命抵抗したが、気が遠くなったということですか」
証人「はい」
検察官「一審のときの証人の話だと、Tシャツを切られて上半身が裸になってしまった、そのため証人はよけようと胸を隠そうとしたわけですか」
証人「はい」
検察官「そのあと被告人はカッターナイフで証人に何をしたのですか」
証人「カッターナイフで首の下から首に当ててきました。切ろうとしてきたので、カッターナイフの刃先は割れるものだと知っていたので、握って刃を欠きました」
検察官「両手で握って刃を折っちゃったということですか」
証人「はい」

※後日、東京高裁は1審の判決を支持、検察側控訴を棄却する判決をした。

事件概要  A被告は2006年8月2日、群馬県高崎市で女性から9千円を奪い、首を絞めて負傷させたとされる。
報告者 insectさん


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