裁判所・部 東京高等裁判所・第六刑事部
事件番号 平成15年(う)第3264号
事件名 殺人、殺人未遂、犯人蔵匿
被告名 遠藤誠一
担当判事 池田修(裁判長)河村潤治(右陪席)坂口裕俊(左陪席)
その他 書記官:鈴木治
検察官:濱、新庄
日付 2006.9.19 内容 被告人質問

 教祖の死刑確定もあって抽選は高倍率になると思われましたが、48枚の傍聴券に対し、希望者は56人。8人しか外れないという低倍率でした。
 遠藤被告は、メガネをかけた小柄な男性で、スーツにネクタイをしていたため、どこにでもいそうな中年のサラリーマンに見えました。

 遠藤被告は、その比較的高い声で弁護人の質問に答え、

1:第一次池田サリン事件では、サリンの生成には関わっておらず、故村井秀夫から、事件の前日か前々日に突然行くように指示された。そのため、誰が何をしたかは把握しておらず、供述調書でさも把握していたように書かれているのは、検察官の誘導尋問のせいである。自分の役目は、細菌をまくことだったが、それは「ついで」であり、実際に実行されなかった。サリンを噴霧中、車の真後ろにバイクでついて来る者がいて、この者が噴霧したサリンを浴びたのは明らかであり、また創価学会施設の警備員らも噴霧したサリンを浴びたのは明らかであったが、何らの影響も現れなかった。
 また、第二次池田サリン事件で、新実智光被告が重体に陥った。ある時点で、確かに「もしかしたら新実君は死ぬかもしれない」と思ったが、教団で作った純度の低いサリンでは、真性・純粋なサリンとは違い、致死性はなく、大量にあびれば相応の症状は出るが、あびてもせいぜい目が暗くなる程度の健康被害が出るという認識しかなく、殺害のためにサリンをまいたつもりはない。
 サリン製造はライフワークであり、このように殺害目的が達成することが実際には不可能であってもサリンをまくのは、マハームドラーの修行だと思っていた。
2:松本サリン事件に使われたサリンは、土谷被告らが30kgの生成に成功したものの一部だが、これまでと同じ方法で、特に純度を高める方法で生成したとは聞いていないし、大量に製造すると攪拌されず、十分な反応が起こらず、収率が低くなる。それに、中川智正被告がイソプロピルアルコールを過剰に滴下したため、サリンが一部分解してしまった。そのため、松本サリン事件・地下鉄サリン事件で使われたサリンは、これまでよりも純度が低く、ますます致死性は低いと考えていた。それでもサリンをまくのは、やはりマハームドラーの修行であり、多くの人が死んだのは、村井が尊師(松本死刑囚)指示を変えたためだと(当時は)思っていた。
3:尊師(松本智津夫死刑囚)は、教団がサリン攻撃を受けていると説法をした。遠藤被告は、教団を攻撃しているのは、CIAなどの国家機関であるというウワサを聞いており、そのような国家機関が保有するサリンは、純度が高く、またまくとしたら、グラム単位のみみっちい量ではなく、キログラム単位でまいていると思っていた。にもかかわらず、教団で死傷者は一人も出なかったから、そもそもサリンに殺傷力はないと思っていた。

と、主張したいようでした。いまだに松本智津夫死刑囚のことを「尊師」といったり、マハームドラーがどうのと持ち出すのにはかなりの違和感を感じました。

事件概要  遠藤被告はオウム真理教教祖の命令で、以下の犯罪に関わったとされる。
1:サリン製造に従事し、そのサリンが1994年6月27日、長野県松本市で散布され、7名が死亡、多数が負傷した。
2:サリン製造に従事し、そのサリンが1995年3月20日、東京都内の地下鉄で散布され、12名が死亡、約3千人が負傷した。
 その他、2件の殺人未遂事件に関わっている。
報告者 Doneさん blog


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