裁判所・部 東京高等裁判所・第六刑事部
事件番号 平成16年(う)第3310号
事件名 強盗殺人、強盗傷人、銃刀法違反、大麻取締法違反、強盗致傷
被告名
担当判事 伊藤修(裁判長)
日付 2006.5.16 内容 判決

 傍聴席56席に対し、傍聴者約10名だった。
 被告人は深緑の服を着ていた。身長約160センチで色白で細身で髪もやや伸びかけていた。刑務官2人に付き添われ入廷。途中傍聴席を見る。着席した後はうつむき状態で手錠を鳴らしていた。

−主文−
 被告人の控訴を棄却する。拘束期間600日算入する。

 以下、判決文概略
 被告人は、aの背中と首の2箇所しか刺していないと主張するが、証拠と食い違いがある。実際、aには24ヶ所の傷があり、頭部、頚部、肺、胃の傷のうち、頭部と頚部に傷が集中しているので、確定的殺意は明らか。被告人の供述は信用しがたい供述である。取り調べの時「何度刺したか覚えていない」と言う。捜査段階で被告人にしか分からない供述をしていた。
 警察の調書の被告人の動機は、母に復讐する意味があったということ。犯行時、被告人は相当興奮し、aは必死に抵抗していたということ。被告人は興奮して慌ててaを刺していたので、一撃で致命傷を与えたとはいえない。よってaには多数の傷がある。
 aを殺害して金銭押収しようとしたが金銭押収できなかった。
 16歳の高校生から7500円押収した。
 胸ぐらをつかんで押し倒し、9200円を押収した。
 被告人の完全責任能力を認める。
 被告人は父、母、兄の4人家族に生まれ、父から虐待を受け母からニグレクトの状態。再会した母から追い出された。母親に対する恨みや怒りがある。
 被告人は解離性人格障害、境界性人格障害であるが、症状は軽度で病的な鑑定をするに至らない。自我が育っていない。成育歴で受けたPTSD、トラウマについて科学的証拠が無い。心理鑑定請求は却下。精神過程などで直ちに決まるわけでなく、総合的に判断する。
 強盗致傷について
1、恐喝罪よりも傷害罪
2、訴訟手続きに反する内容
 被告人はナイフをつきつけたのではなく、ナイフを示した。これは捜査の過程で変更した供述。信用できない供述は採用できない。
 事件直後は疲れていたようなので供述はよくできていないが、その後の小松川警察署の方が供述ができている。ナイフを示された事件に不明瞭は無い。いくつかの事実が変化。平成13年5月以降の供述は信用されない。
 人気の無い公園の便所でナイフを示し「おまえを刺し殺すことは簡単なんだ。人は頚動脈を刺せば簡単に死ぬんだぞ」と脅迫した。
 aの事件は極めて凶悪で残忍な犯行。被害高校生も身体的、精神的苦痛も大きい。
 短期間に3件の強盗事件を起こす重大な犯行。被告人は遺族に謝罪の手紙を書いている。犯行当時19歳。それら情状を最大限に考慮しても無期懲役はやむを得ない。

 被告人は退廷時、傍聴席見ることなく、刑務官2人に連れて行かれた。

報告者 匿名希望Bさん


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