裁判所・部	東京高等裁判所・第十刑事部
事件番号	平成15年(う)第2459号
事件名	殺人、死体遺棄、殺人未遂、覚醒剤取締法違反
被告名	Ａ’ことＡ
担当判事	須田�ｯ（裁判長）井口修（右陪席）溝国禎久（左陪席）
その他	書記：御厨大、根本美加 検察官：杉垣公基
日付	2005.12.27	内容	被告人質問
公判は、805号法廷で、午後1時30分から開始された。 　検察官は、前回と同じく、40代ぐらいの女性。今日は黒いスーツ姿。 　弁護人は、小太りの40代ぐらいの男性と、髭を生やした30代ぐらいの男性。開廷前に、小太りの弁護人が、書記官に、書証について質問していた。書記官は、弁４２までいっている、とその質問に答えていた。その後、小太りの弁護人は、書類を見ながら、髭を生やした弁護人と何か話していた。 　被告は、頭を丸坊主にしており、ジャージの上下を着ている。太っており、やや垂れ目で、色白で少し赤ら顔の初老の男。 　裁判長は、眼鏡をかけた老人。 　傍聴人は、私を除いて１０人ぐらいいた。 裁判長「証拠の採否については後に回して、最初は被告人質問を行います」 弁護人「はい」 　まずは、４０代に見える小太りの、カワイ弁護人からの被告人質問。 −カワイ弁護人の被告人質問− 弁護人「体調は？」 被告「あまり良くないです」 弁護人「眠れている？」 被告「眠れてないです」 弁護人「薬は？」 被告「貰ってます」 弁護人「でも眠れない」 被告「はい」 弁護人「歯が抜け始めたのは？」 被告「３年ぐらい前からです」 弁護人「拘置所に入ってから」 被告「はい」 弁護人「覚せい剤と関係している？」 被告「後遺症状だと」 　裁判長が、聞こえなかったのか、もう一度言うよう、被告に言っていたような記憶がある。 弁護人「ご飯は？」 被告「食べれてます」 弁護人「おかずは？」 被告「柔らかいものなら」 弁護人「幻聴は？」 被告「疲れるとたまに」 弁護人「どんな？」 被告「心配ないとか、ほのぼのレイクとか」 弁護人「レイクのコマーシャル？」 被告「はい」 弁護人「あと、女房子供は心配ないと？」 被告「はい」 弁護人「誰かを殺せとは？」 被告「少し前までは」 弁護人「今は幻聴だと解っている？」 被告「はい」 弁護人「拘置所ではどう過ごしている？」 被告「三人の冥福を祈りながら毎日過ごしています」 弁護人「それは？」 被告「題目をあげたり、お経をあげたり」 弁護人「何時やっている？」 被告「ご飯を食べた後、夕方は、夕食が終わった後」 ここで、裁判長が、ご飯とは朝食のことか、と被告に対し確認したような記憶がある。 弁護人「一日二回」 被告「はい」 弁護人「毎日欠かさずやっている？」 被告「はい」 弁護人「一審判決後も」 被告「はい」 弁護人「どんなお経？」 被告「（聞き取れず）文仏立宗」 弁護人「やってみて」 　被告は、両手を合わせ、お経を唱える。 弁護人「どんな意味？」 被告「死んだ人間の霊を慰める」 弁護人「何時からやってる？」 被告「拘置所に入ってからです」 弁護人「他に昼間は何をしている？」 被告「本を読んでいます」 弁護人「どんな？」 被告「小説です」 読んでいるのは拘置所にあるものらしい。 弁護人「一審判決は死刑だが、どんな気持ちでした？」 被告「ショックでした」 弁護人「一審では、死んでも仕方がないと言っているが、現実に死刑判決が出てどう思った？」 被告「・・・・ショックでした」 弁護人「事件について、今はどう思っている？」 被告「申し訳無い事をしたと思っています」 弁護人「被害者やご遺族に対しては？」 被告「申し訳ないです」 弁護人「覚せい剤については？」 被告人は、何か答えたが、聞き取れなかった。 弁護人「三人の冥福を祈っている」 被告「そうです」 弁護人「三人の冥福を祈っている時、どんな気持ち？」 被告「本当に申し訳ない気持ちで一杯です」 弁護人「何か」 被告「涙が出てきます」 弁護人「考え事をしていて、三人の方を思い出す事がある」 被告「あります」 弁護人「其の時、どうしている？」 被告「手を合わせ、題目を唱えます」 弁護人「まだ生きていたい、死にたくないという気持ちがある」 被告「はい」 弁護人「お兄さんのｍさんに手紙を書いた」 被告「はい」 弁護人「３１号証示します」 裁判長「はい」 弁護人「３１号証示します。ｍさんへの手紙」 被告「はい」 　カワイ弁護人、被告に手紙を見せる。 弁護人「本心ですね」 被告「そうです」 弁護人「弁護人に手紙を預け、ｍの所へ持って行って情状酌量を頼んだ」 被告「はい」 弁護人「兄は、減刑を求める嘆願書を書き、遺族への香典６万円を、弁護人に預けた。知っていますね」 被告「知っています」 弁護人「どう思う？」 被告「ありがたいと」 弁護人「ご遺族に謝罪が出来る」 被告「はい」 弁護人「ご遺族に、また手紙を書いた」 被告「はい」 弁護人「３５号証。ｎさんに書いた手紙」 被告「はい」 弁護人「同じような手紙を、他の遺族にも書いている」 被告「はい」 弁護人「本心からのものですね？」 被告「はい」 弁護人「ご遺族宛の手紙を我々に預け、謝罪に行ってもらいたいと、貴方から頼みましたね」 被告「はい」 弁護人「我々が三人の遺族のもとに行った事は知っているね」 被告「はい」 弁護人「（遺族の方は）どう言って下さった？」 被告「死刑にしなくて良いと」 弁護人「どう思った？」 被告「お詫びの仕様のない、申し訳ない気持ちで一杯です」 弁護人「ありがたかった」 被告「はい」 弁護人「これからは、どう過ごす？」 被告「冥福を祈りながら、毎日を過ごす」 弁護人「貴方はもう、一般社会に戻るのは困難です」 被告「はい」 弁護人「刑務所で一生、謝罪の日々を送っていく覚悟はある？」 被告「はい」 弁護人「身内との連絡は？」 被告「あります」 弁護人「この手紙は誰から？」 被告「甥っ子です」 弁護人「この、ｏとは？」 被告「甥っ子です」 弁護人「ｍの子供」 被告「はい」 弁護人「年に何回ぐらい来る？」 被告「二回ぐらい」 　平成１７年１月７日に来た。 弁護人「身内の事などが書いてある」 被告「はい」 弁護人「手紙の他には？」 被告「お金です」 　三万円ぐらいらしい。 弁護人「何を買った？」 被告「着替えや日用品です」 弁護人「甥っ子は、貴方を気にかけている」 被告「はい」 弁護人「今の心境は？」 被告「不安です」 弁護人「死刑になりたくない、生きていたい、という気持ちがある」 被告「はい、そうです」 弁護人「反省と贖罪のために生きていきたい」 被告「はい」 −検察官の被告人質問− 検察官「控訴した理由は？」 被告「死刑だったので」 検察官「どのような反省を？」 被告「・・・・毎日、三人の冥福を祈りながら（声が小さかった訳ではないが、聞き取れなかった）」 検察官「貴方の反省は、一審判決の前と後で違いは？」 被告「同じだと・・・」 裁判長「何？」 被告「同じだと思います」 　これで、被告人質問は終了。証拠の採否に移る。 　弁護人、検察官双方とも、証拠請求を行う。双方とも、互いのものに同意する。その後の検察官の証人申請について、弁護人は、不必要、と述べる。 裁判長「採用します。１月２７日の期日にお呼びできる？」 検察官「はい」 裁判長「次回は、ｐ証人を取り調べる」 弁護人「この証人の履歴が解るものを」 　検察官は、準備する旨述べる。 裁判長「１３日ぐらいまで？」 検察官「そうですね・・・・」 　弁護人は、何か言った。 検察官「翌週に」 裁判長「弁護人、それでいい？」 弁護人「はい」 　裁判長は、鑑定人の経歴の紹介について、どうするか決める。そして、証拠整理の時間についても、何時にするか等を決定する。 裁判長「次回は１月２７日、次々回は２月２４日。これは弁論期日です」 裁判長「次回は１月２７日の１時３０分から３時３０分。検察官の用意したお医者さんの尋問を行います」 　これで閉廷する。１時５５分ぐらいに終了した。 　被告は、傍聴席に目を向ける事無く退廷する。前回も今回も、事件関係者が法廷に来ていなかったからかも知れない。 　被告の声は篭っていて聞こえにくく、裁判長が被告に発言を問い直す事がしばしばあった。 　被告は、裁判中、歯が無い為か、口をもごもご動かしている事があった。また、質問に答える時、その声が乱れることは無く、感情を伺い知ることは出来なかった。 　後に確認してみたところ、Ａ被告の初公判は２００５年２月１０日に開かれ、今回も含めて六回の公判が行われている、という事だった。
事件概要	Ａ被告は１９９９年９月８日、東京都江戸川区の荒川河川敷で、文句を言われたことをきっかけに、ホームレスの仲間３人を殺害したとされている。
報告者	相馬さん

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