裁判所・部 東京高等裁判所・第十刑事部
事件番号
事件名 殺人、強盗殺人等
被告名 加賀聖商
担当判事
日付 2005.3.1 内容 初公判

 この公判は、確か1時30分から行われた。傍聴席には、泣き腫らしたような目をした女性が来ていた様な記憶がある。

裁判長「名前は」
被告「加賀聖商です」
裁判長「本籍」
被告「札幌市」

 続いて、弁護人、検察官が意見を述べる。

−弁護人の意見陳述−
 去年の2月4日、横浜地裁で被告に死刑が言い渡された。
 被告の調書には任意性が無い。また、精神鑑定を行わなかった。訴訟手続きの法令違反がある。
 被告の自白調書は自然な物だが、警察の調書は不自然。被告は自首した時に疲労していたが、警察官が、被告を呼び捨てにする、被告を休ませないなどして、被告の体調を考慮せずに取り調べた。警察、検察の作った調書に任意性は無い。警察は、お前は弁護士をつけるな、などと言った。
 精神鑑定をしなかったのは不当。事実誤認についてだが、bさんを殺害した事を強盗殺人と認定したが、その5点の理由は、何れも単純殺人として矛盾しない。
 被告はコンビニに行ってビールを買う等した後にバッグをあさるなどしており、強盗としては不自然である。
 aさんの殺害について。被告人は、包丁を投げたのがたまたま当たったと述べているが、この供述の方が、包丁を思いっきり刺したという供述よりも自然。死体の背中は、表皮しか傷ついていない。また、被害者の包帯をとって首を絞めているが、包帯は伸縮性があり、首を絞めるのには不適当である。
 量刑不当について。死刑制度は憲法違反。死刑をされるまでの心理を考えると、残虐である事は明らかである。死刑囚の家族、拘置所の職員にも強いストレスを与える。例え死刑制度が合憲としても、本件情状を考えれば死刑は不当である。
 被告は、なるべく被害者らとの人間関係が上手くいくように努力していた。
 被告はbさんにネックレスを買ってあげる、一緒にパチンコをする、などしていた。被告人が被害者らに寄生していたと考えるのは誤り。
 aさんとも上手くやろうとしていたが、その努力が伝わらなかった。
 被告人は、死刑の可能性を認識しながら自首している。原判決の量刑は、他の事案と比べて厳しい。強盗強姦などで22年服役していた男が、実の母と姪を撲殺し、更に瀕死の姪を強姦した、という事例でも、無期懲役が確定している。
 どの時点かは忘れたが、加賀被告がbさんに40万円するネックレスを買ってあげたとき、bさんはとても嬉しそうに見え、二人は仲むつまじい夫婦にしか見えなかった、と店員が証言している事に言及していた。

−検察官の意見陳述−
 控訴には理由が無く、棄却されてしかるべき。

 この後、次回公判の打ち合わせ等をして終了した。

 被告は、頭頂部が綺麗に禿げ上がっている、ごく普通の小太りの中年男だった。

事件概要  加賀被告、2001年8月4日、神奈川県伊勢原市で同居人の姪と口論になり、姪を殺害。さらに帰宅した同居人を殺害して現金を奪ったとされる。
報告者 相馬さん


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