裁判所・部 東京高等裁判所・第八刑事部
事件番号 平成14年(う)第2807号
事件名 爆発物取締罰則違反、殺人未遂、偽造有印私文書行使
被告名 浴田由紀子
担当判事 山田利夫(裁判長)柴田秀樹(右陪席)原田保孝(左陪席)
日付 2004.2.10 内容 被告人質問

 法廷に入るまえに、手荷物を預けなければならず、しかも金属探知機による軽い身体検査を受けたので、他の裁判とは違うというカンジがしました。
 裁判は、本人尋問ということで、弁護人と浴田被告とのやりとりが延々とつづくというカンジでした。

 浴田被告が反日武装戦線の斉藤和に会ったのは、テック闘争の事務所に行ったのがきっかけだったという。浴田被告自身は運動には加わらず、事務所にはおしゃべりしに行く軽い気持ちで行っていたらしい。反日武装戦線にも、当初はカンパ程度の支援のみで、最も重大な三菱重工爆破事件にも全くかかわっておらず、事件が起こった後に知ったという。
 斉藤和とは内縁関係となり、カンパを頼まれる。しかし、その金がどのように使われるかは聞かされていなかったという。浴田被告は、三井物産を爆破するための爆弾を、斉藤が置きにいくといったので、かわりに自分が置きにいくことを申し出る。三井物産爆破は、三菱重工爆破の失敗を克服するためのもので、人を殺傷する目的のものではなく、ベトナム戦争に加担する企業への糾弾であるということをはっきりさせるために、予告電話をいれて、中の人が避難するするための時間も作ったので、殺意はなかったと主張した。

 この裁判の面白いところは、浴田被告は斉藤和に利用されただけということを弁護人が印象づけさせていたということです。それも、ところどころで弁護人が極端な表現を用い、浴田被告が反論するため、誘導尋問っぽく見えないというなかなかのものでした。例えば、斉藤にどのぐらいの金を渡していたのかという質問のあと、「つまり、あなたは斉藤のヒモだったということではないですか?」など。しかも、都合のいいことに斉藤和は自殺しているため、いくらでも斉藤を悪人に仕立て上げることができるわけです(死人に口なしとはこのことです)。

報告者 Doneさん


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