裁判所・部 | 東京地方裁判所・刑事第13部 | ||
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事件番号 | 令和3年合(わ)第209号(裁判員事件) | ||
事件名 | 傷害致死 | ||
被告名 | A | ||
担当判事 | 平出喜一(裁判長)渡邉一昭(右陪席)赤瀬柚紀(左陪席) | ||
その他 |
書記官:山田来実 法廷事務:坂田眞治士、板部汐里 弁護人:浦城知子、他1名 |
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日付 | 2022.9.20 | 内容 | 初公判 |
被告人は身長175cmほどで、グレーのワイシャツとストライプスーツを着用で影のある雰囲気。 裁判員は平均年齢が低めで男性1名と女性5名の構成。 分離されている共犯者も同じ裁判体で審理される予定。 裁判長「お名前は」 被告人「Aです」 裁判長「生年月日は」 被告人「平成7年・・」 当時住んでいた四谷サンハイツの荷物は引き払ったという。ここで検察官が起訴状朗読。 裁判長「公訴事実に間違いはありますか」 被告人「ありません」 検察官の冒頭陳述(2種類の冊子を裁判員に配布) ー事案の概要ー 本件は被告人が共犯者と共謀のうえ、ひと気のないビルの屋上で連行した被害者を正座させて取り囲み、被害者の頭・胸・腹・背中を何回も足蹴りして肋骨のほとんど全てを骨折させて臓器を損傷させて血の巡りを悪くさせてショック死させた。 公訴事実に争いはなく争点は量刑。 歌舞伎町の当時の状況 卍会というゴミ拾いや未成年者への炊き出しをする団体が存在していた。被害者と被告人は歌舞伎町周辺で行動するなかで知り合った。被告人はかねてから卍会に関わって歌舞伎町周辺で行動して、a’と呼ばれてホームレスだったaさんや共犯者のB、C、Dと知り合った。被告人とBはお互い兄弟と呼び合う仲だった。aさんは婚姻歴と離婚歴があり解体工事の仕事をしていて足立区や埼玉県川口市の寮で生活していた。経緯は不明だが歌舞伎町公園でたむろしている少年らと交流するように。aさんは木更津グループから目を付けられるようになり、暴行により入院する出来事があり、11/20に退院したが、木更津グループから逃げ回るようになった。 11/27 午前5:13頃、CとDはリブマックスのエントランス付近でaさんを発見してCはEに連絡して被告人にも連絡した。 Cの自宅マンションで遊びにきていたBも加わった。被告人はBと連絡を取り午前6:27頃「やっぱり今から行くわ。兄弟も動いているし行かないわけにはいかんやろ」と午前7:12頃合流。 ダイカンプラザ星座館に連行する際はあえて大通りを避けて遠回りのルートを選んだ。 ダイカンプラザ星座館の屋上でaさんに正座を命じて被告人、B、Cの3人で取り囲み頭部・腹部・胸部などを多数回蹴り、耐え切れず崩れると引き起こして正座させた。「すみません」「兄弟の話をきちんと聞け」などのやりとり。被告人4人の暴行は2時間以上に及んだ。身動きしない被害者に毛布を被せて本件現場から立ち去った。 付近のビルからの目撃者が110番通報した。 検察官がとくに注目して頂きたいとした4点 1.犯行態様の危険性(どのような暴行でどの程度酷かったか死因などの検察官報告書やDから直接聴く) 2.被害結果(どのような傷害でどのように死亡したのか、被害者という無味乾燥な単語ではなくaという1人の男性ということを念頭に置いてください) 3.被告人が果たした役割(どのような犯行態様が死因につながったのか) 4.犯行の経緯や動機(なぜ本件犯行が起きたのか/なぜ被告人が関与したのか/どの程度非難されるべきか、被告人質問で詳しく聴いていく) 弁護人の冒頭陳述(A3用紙を裁判員に配布) Aさんは助けようとしていたが成り行きで暴力を振るいエスカレートした。Cや木更津グループのE、Fのいずれとも違う。Aさんは対人関係が苦手で優しくいじめるよりいじめられる性格で、大学を中退後うまく仕事を続けることができず居場所を求めて平成29年9月に東京に来て生活保護を受けて暮らしていた。 Aさんは「この場の状況を収めて助けたい」ということで暴力を振るうことは考えていなかったが、受け答えにだんだん腹を立てた。 弁護人の主張 1.Aさんは成り行きで暴力を振るってしまったがもともと助けにいく予定。主犯格ではない。被告人質問で明らかにする。 2.遺族との示談状況(弁護人報告書で明らかにする) 3.Aさんの反省と更生(被告人質問等で明らかにする) 裁判員へのお願いとして、本件はニュースになってインタビューなどがネット記事で出ていて目にするかもしれないが証拠として用いない、証拠は法廷で取り調べられたものだけとした。 裁判長は公訴事実に争いなく争点は量刑だけ、証拠の採否は甲40号証採用/甲45号証留保/甲49号証明留保などとして甲49号証の被害者の顔写真はどういう法的根拠か28日までに明らかになどといったやりとりがあった。 ーその後ー 東京地裁は「苛烈な暴行によって被害者が受けた苦痛は計り知れず、被告の刑事責任は重い」と求刑通り懲役10年の実刑判決。 | |||
報告者 | insectさん |