裁判所・部 東京地方裁判所・刑事第十二部(単独係)
事件番号 平成20年刑(わ)第2859号等
事件名 電子計算機使用詐欺
被告名
担当判事 石井俊和(裁判官)
その他 書記官:秋元
検察官:白石俊輔、猪股正貴、秋間俊一、高野澤政志
日付 2009.3.12 内容 判決

 被告人は眼鏡をかけた柔道の選手のよに見える男性で、傍聴席には被告人の年老いた父母も来ており、主文を手帳に付けていた。
 一部の書証につき採用、弁論を再開したあと判決宣告手続きに入る。

−主文−
 被告人を懲役3年6月に処する。未決勾留日数のうち150日をその刑に算入する。

−理由−
○罪となるべき事実、(省略)
○量刑の理由
 本件は被告人が他の共犯であるBやC、Dと共謀のうえ、医療費の還付金が受けられるとして被害者を現金自動預け受払い機まで誘い出して振り込み捜査をさせて700万円あまりの財産上の不当な利益を得たものである。部屋のあるマンションや携帯電話、備品を揃えて担当を分担していた。振り込め入金に誘うマニュアルを作成し、自ら電話で相手を騙すなど犯行全般を企画・主導している。被害者が携帯電話を持っているか確認したうえで、設置された固定電話から転送させるなどしてATM前に誘い出し、振り込み操作は細かい手順に沿っていて被害者は指示されるがままATM操作をさせていた。手順を道理立てするなど巧妙で卑劣な犯行で、被害者を誤信させて得られる限りの利得を得ようとしたもので強固な利得意志が読み取れる。被告人は700万円の利得のうち190万円を受け取り共犯者間で最大かつ多額に上る。
 被害者に精神的打撃を与えもたらしたダメージは深刻で、効率を追求してある意味非情と言える。
 他方事実を認めて反省していること、父親の協力で5名との示談が成立したこと、定職があり父親が今後の監督や更生に助力となると誓約していること、懲役前科がない若年者であることを考慮しても主文の実刑はやむをえない。

裁判官「公務員として長らく勤めた父親の助言はむげにできないと思いますよ」

 控訴の説明をして閉廷したが、被告人は心なし不満そうな表情だった。

報告者 insectさん


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