裁判所・部 | 東京地方裁判所・刑事第七部(合議係) | ||
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事件番号 |
A2:平成20年合(わ)第181号等 A7:平成20年合(わ)第357号等 |
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事件名 |
A2:組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反 A7:組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反、覚せい剤取締法違反 |
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被告名 | A2、A7 | ||
担当判事 | 吉村典晃(裁判長)大村陽一(右陪席)恒光直樹(左陪席) | ||
日付 | 2009.3.12 | 内容 | 被告人質問 |
長引いた追起訴もようやく終わり、被告人質問が実施されていた。 A2被告は小柄で痩せ型で眼鏡を着用した狐目の男性、A7被告は丸刈りの生真面目そうなくっきりした秀才顔の眼鏡を掛けた男性。 傍聴席には被告の父親と思しき柔和そうな男性と、交際相手と思しき派手な女性2名もいた。 今回A7被告が証言台に座って三者からの質問に答えていた。早稲田大学に在籍していただけあり質問に対する回答も頭の切れを存分に感じさせるものだった。 弁護人「詐欺で本人以外で成功したときの取り分はあったのですか」 被告人「受け取っていません。取り分について立場が下なので決められない」 弁護人「A1と比較するとあなたはどういう地位にあったのですか」 被告人「A1は組織のトップであるという認識です。私は一番下の立場であったと思います」 弁護人「A1は遠い存在だったのですか」 被告人「対等な立場では少なくともなかったです」 弁護人「9ページに以前A4グループに騙し役としていたと記載がありますが、このA4グループというのは?」 被告人「A4を現場責任者として彼をトップとする集団でした」 弁護人「A7グループというのはあったのですか」 被告人「ありません」 弁護人「グループのなかに一人の構成員もいなかったと」 被告人「というか一番下の立場だと思っていました」 弁護人「他の人間と比べて成功率というのはどれくらいだったのですか」 被告人「成功した数は数えるほどで、目立って成功したということはなかった」 弁護人「途中から成功するようになったというきっかけは」 被告人「A2被告と初めて組んだことです」 弁護人「平成17年の3月から4月にかけてあなたは寝坊を2回したことを理由にグループを抜けたのですか」 被告人「私は最初詐欺を始めるにあたって借金に当てる目的があった。安易な考えで詐欺のお金で借金を完済してその次に組織の一員として詐欺をすることになるのですが、借金というものがなくなってそれを続けるのは抵抗がありました」 弁護人「犯罪組織グループなので報酬がもらえるからと加わったわけではない?」 被告人「一切ありません」 弁護人「その10ヵ月後の平成18年5月に再開していますね」 被告人「はい、一旦抜けた自分が自分の意思で入ったということです」 弁護人「平成19年4月から組織の意向でグループとして活動をしていたわけですね」 被告人「やれ、やらないというのはA1とかA4がしていました。私は同じ大学のA3という人間と仲良くなり、一緒に詐欺を2人でやっていました」 弁護人「仲良くなったってそんな関係良いわけないんだからねっ。それと警察にA1が2億、A2が1億、あなたが2000万という現金を押収されているんだけど、押収されたってことは知っていますね」 被告人「聞いたことはあります」 弁護人「A4の家からはどうだったのですか」 被告人「なかったと聞きました」 弁護人「現金が押収されたのは3人で、あなた自身も大幹部のように聞こえるんだけど違うのですか」 被告人「違います。A4を含めA3とかは高級車とか高価な時計を買ったりお金の使い方は派手でしたが、私は急速に見たこともないお金を手に入れたという考えで、派手にお金を使うと警察に捕まるのではと思い、生活費とパチンコに使ったあとの余りのお金が結果として残ったことになります」 弁護人「そのお金は被害者のもとに戻っているのですか」 被告人「警察からは全額戻ったと聞きました」 弁護人「そのことについてどう思っていますか」 被告人「逆に私が消費することがなかったことに救いがあると思います」 弁護人「A2の話ではあなたは時計を持っていたのですか」 被告人「1年間は逃亡しようと逃走資金に使おうと思っていました」 弁護人「A1の趣味はフィギュア収集ということですが、どうやって買っていたか知っていますか」 被告人「最新のフィギュアを買う並びのために前日から徹夜で行かされました」 弁護人「並ばされた人間が徹夜する、フィギュアの購入に人員を割かれたということですね」 また被告人はグループには4〜5名の構成員がいたが、個々の詐欺について誰がやったかという断定的な記憶はないと述べた。 弁護人「でもあなたは責任を認めたわけだよね」 被告人「報酬を受け取っていますし責任がないことに繋がるとは思わないからです」 弁護人「あなたは覚せい剤を使用していますね。起訴もされている」 被告人「はい」 弁護人「なぜ覚せい剤を使用してはいけないのですか」 被告人「覚せい剤は暴力団の資金源になってしますし、自らの身体をボロボロにするだけではなく二次犯罪に繋がる恐れがあるからです」 弁護人「どのくらいの頻度で覚せい剤をやったのですか」 被告人「過去3回使用しました」 弁護人「使用した理由は何ですか」 被告人「A2が逮捕されて私が捕まるまで3ヶ月の期間があるのですが、かなり不安だとかストレスがありました」 弁護人「効果はあったのですか」 被告人「いえ苦しかったです」 弁護人「A2は覚せい剤に関してどうだったのですか」 被告人「使っておりません。A2は薬物に関しては厳しい考えの持ち主でその考えに共感していたこともある。今後は一切使うつもりはありません」 ここで一回法廷を出た。 弁護人「グループのトップ、この場合はA1ですが、が抜けても下の者が詐欺を続けられるのですか」 被告人「続けられません」 弁護人「どうしてそう言えるのですか」 被告人「組織のトップであるA1と我々が直接繋がるようなことはなかったように思います」 弁護人「A2被告からグループを抜けると明言されたことはあるのですか、ないのですか」 被告人「ありませんでした」 A2被告はこのとき首を傾げる仕草を見せた。 弁護人「A2がみんなに対してやめようと言ったのはいつのことですか」 被告人「私が記憶にあるのは・・(書き損じ)。A10とA11(共犯)はA2の話を受けて止めました。A2が逮捕されてから自分のマンションで詐欺をやったことはありません」 質問が終わると、弁護人は懲役5年という共犯のA3とA4の判決を証拠として請求した。 裁判長「立証趣旨は」 弁護人「同じようなことをやっていてその程度の判決ということで」 その際、A3は被っているがA4は、という話が出た。 閉廷後A2の父親らしき中年男性と、派手な飲み屋系の女性2名は弁護人と話し合っていた。 次回6月12日で論告弁論、次々回7月27日判決。 | |||
報告者 | insectさん |