裁判所・部 東京地方裁判所・刑事第11部(合議A1係)
事件番号 平成20年刑(わ)第2912号等
事件名 詐欺
被告名 A、B
担当判事 小池勝雅(裁判長)品川しのぶ(右陪席)児島章朋(左陪席)
その他 書記官:森
検察官:名倉俊一、三摩哲也、計盛元宜
日付 2009.1.29 内容 初公判

 ATMを利用した口座間転送(いわゆる振込み)ではなく、一律500円の送料のエクスパックを使って現金を送付させていた新手の融資保証詐欺事件の初公判が行われた。(その前に期日変更が何回かあり分離もなされた)
 傍聴席はスーツ姿の一組の男女のみ、かつ組織犯罪処罰法の適用ではなく単純詐欺の罪名でも合議を組まれていた。

 チラシの紙を都内に多量に投棄していたことから足がついたとされ、報道で見た押収物のダンボールに描かれた映画スクリームをパロった黒色の血のイラストはよく出来ていたが、審理中判事補と顔を見合わせていた、美容外科医令嬢誘拐事件も担当した裁判長は、以前保釈中の被告人が判決公判に遅れて出廷したことを叱責するなど、少なくとも甘い人物ではない。
 被告人は丸刈りで頬が広い老けた顔つきの痩せて小柄なスエットの男性と、額が広くて鼻が高い色白の痩せた黒いジャージ姿の長身男性。
 一連の事件では12名逮捕、11名起訴で東京地裁によると他の共犯者のC、D、E、F、G、H、I、J、田中隆行の各被告も刑事第11部合議体で公判中、現金受け取り役の新潟県聖籠町在住の屋島真人は処分結果不明である。

−冒頭陳述の一部−
 Aは私書箱の選定などCに次ぐ役割を果たし、Jをグループに引き入れ、月400〜500万円の報酬を得ていました。少ない月でも100万円〜の報酬を得ていました。
 Bは平成16年10月にスカウトの仕事をしているときにCに勧誘されグループに加わり、平成17年5月に一旦脱退したものの再び勧誘され、平成19年11月には店舗責任者に昇任しダイレクトメールの管理や騙し役に教示をしたり、Hを勧誘し、1年間に671万円の報酬を得ていました。
 被告人らは毎日Cの用意した事務所に集まり、借金の一本化を希望する者から現状では融資できないが他の金融会社で借りられるなら融資が可能になるなどと言って現金を騙し取り、受付・貸し金などと称して共犯者が途中まで騙した被害者を別の共犯者が交代して騙すなどしていました。また融資をするための費用を一時的に負担してほしいなどと言って騙し取ったり、信用度名目に被害者のクレジットカードやショッピングカードを限度額まで引き出させ決済枠の8割を工面させて上記の私書箱宛てに送金させていました。その私書箱から最終的にCのもとにいき、詐取した現金は携帯電話費などの経費を差し引いて給料などと称して配られました。グループによる被害総額は12億円にのぼります。犯行状況ですが、上記一連の犯行は各店舗ごとに情報交換や連絡を取り合い、「ライフワンクレジット」「シンセイ」「ポクラ?」「ピュア」などのキャッシング会社名でチラシを作成し民家に配布、被告人らは犯行場所を転々としそれまでは高田馬場で、平成20年6月27日からは豊島で犯行を行っていました。

裁判長「検察官の立証は以上で」
検察官「はい」
 若干の訂正があったあと検察官の証拠申請に対する意見を求められた、まずAの弁護人は一部不同意で「Cに対して聞いていました」の行は不同意、「店舗責任者まで」は同意云々述べて何行目から何行目までは不同意などと細かく注文をつけ「役割の評価の部分だけ被告人と相談したい」とした。Bの高齢で背の高い弁護人は全面的に同意。
裁判長「まあ同意のあった証拠だけ調べるということで」
検察官「要旨の告知ですが、膨大な量になりますので要点を中心に述べるということで」
裁判長「要旨の告知はいいでしょう。被告人が要旨を告げてほしい場合のみ言ってください」
 などと、厚くて重そうなファイルをドンと検察官が裁判長に渡してあえなく終了し、最終的に起訴された額がいくらかは分からなかったが、時間的に起訴状朗読は数十分に渡ったと推測される。

 弁護側の立証としては被告人質問と情状証人を1名申請し、各共犯者間で被害弁償の相談をしているとのことでそれぞれ情状証人として父親を呼んで尋問するのが10分・5分、被告人質問が5分・10分とした。
 被害弁償の関係で次回期日は少なくとも2ヶ月は見てほしいという弁護人の要請や差し支えがあったりで次回期日は4月15日の13時30分に指定されて、そこで結審まで進む予定。Bの弁護人も「(被害弁償は)我々全員でやっているんで」と言っていた。

 裁判長がその旨を被告人2名に説明して被告人は頷き閉廷となったが弁護人は閉廷後、関係者らしきスーツ姿の男女に「ちょっと待っててください」と言って待ち合わせ室で長い間協議し、待たされたままの関係者は「長い」と愚痴を零していた。

※後日、東京地裁はA被告に懲役7年、B被告に懲役5年8月を下した。

事件概要  被告人らは、共犯と架空の金融会社を装い、低金利の融資をうたったチラシを全国の民家に配布し、子どもの学費目的で融資を申し込んできたさいたま市のパート女性ら2人に「他社で借金できれば融資する。返済しておくので借りた金を送ってほしい」などと指示して、計56万円を専用の封筒を用いた小包であるエクスパックで送金させて複数の私書箱を経由させたうえで、最終的に犯行拠点から離れたコンビニエンスストア前の路上などを指定して受け取ったなどとされる。
報告者 insectさん


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