裁判所・部 東京地方裁判所・刑事第13部(合議A係)
事件番号 平成20年合(わ)第365号
事件名 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反
被告名 C、A、B、D、E、F、G
担当判事 戸倉三郎(裁判長)中村昌史(右陪席)関洋太(左陪席)
日付 2009.1.29 内容 被告人質問

 被告人は総勢7人で、Aをはじめ繁華街に出るとどこにでも居そうな壮年男性が5人、比較的若い男性が2人。若い男性のうち厚宏と思われる方は公判中ノートにメモを付けており、もう片方はやや遅れて女性職員と刑務官に連れてこられた。
 共犯として訴追された下地英雄、五十嵐岩雄、竹内廣昭の各被告は分離されたことは確認が取れた。
 傍聴席はほとんど空席で、裁判長は白髪の男性で冒頭書記官のパソコンのイヤホンが性能不良というトラブルから若干開廷が遅れた。

 Aの被告人質問からで、Aは報道当時と変わらないがやや顔がてかっており、にこにこと笑う仕草が多く言葉使いは至極丁寧で、ゆっくりとした口調。

弁護人「ここで破綻しちゃった、そして海外に逃げたと言われたんだけど14億円はあなたの一存であったわけです。平成19年5月には何の捜査もなかったんだけどその段階で何で2000万を持って海外に行ったのですか。逃げる意思はあったのですか」
被告人「とりあえず海外に行って様子をしばらく見させていただくのが本音でした」
弁護人「7月末に今裁判をやっている本件の捜査が入るわけですが、誰から聞きましたか」
被告人「確かニュースで見たと思います」
弁護人「12月に旅券法違反で捕まることになるのですが、とうとうその裁判が始まってしまった」
被告人「はい」
弁護人「これというか本件が追起訴になるということで待ってもらっていたのですね」
被告人「はい」
弁護人「ところが裁判が始まった執行猶予をもらった」
被告人「はい」
弁護人「旅券法違反のことは簡単に終わって、20年3月の捜査のときの罪名は何でしたか」
被告人「詐欺でした」
弁護人「組織犯罪処罰法ではない」
被告人「はい」
弁護人「なぜ詐欺の話が立ち消えになったのですか。実際に10億近い投資をしていたことや約束通りびっちり払っていることで詐欺の捜査はできなかったのではないですか」
被告人「私にはよく分かりません」
弁護人「財産権のことを聞きます。検察官の冒頭陳述では13億円ということになるんですけど心当たりありますか」
 ワールドオーターバンクの昇格、エグゼクティブ代理店の指導でうち6億円使った、それはAが現金で取り引きしていた、収益が1年間で2倍になったという話が出た。
弁護人「13億円はワールドオーシャンファームがシステム上位にランクしたことによる結果なのですか」
被告人「そうでございます」
弁護人「その13億円はどこでどうなりましたか」
被告人「2月に7億4000万円を基金に貸し付けました」
弁護人「今6億円の郵便貯金がありますが、弁護士を通じて破産管財人のところに移っていると」
被告人「はい」
弁護人「通帳に入っている分は分かったんだけど、あとの現金はどうですか」
被告人「厚宏のほうに7億円持たせました。段階的に1〜2月頃から増やしていきました」
弁護人「それは全部押収されていますね」
被告人「はい。全部管財人のところにいくようにサインいたしました」
弁護人「14億1300万円のうちあなたの給料はどれくらいでしたか」
被告人「1億1000〜2000万円です」
弁護人「実際に使ったお金はいくらですか」
被告人「1円も使っておりません」
弁護人「いや生活費とかあるんじゃないですか」
被告人「それは私の手元のお金で使っていました」
弁護人「全部管財人にいっているという勘定でいいですか」
被告人「はい」
弁護人「厚宏さんに1億3000いくらいっていると、どういうふうにいったのですか」
被告人「はい、給料として3000万、ワールドオーターバンクが厚宏の会社に貸し付けた利益が1億円ぐらいです」
弁護人「厚宏さんの給料の3000万はどうなったのですか」
被告人「本人が受け取ったのは2年間で500〜600万円で、あとは全部押収に係っています」
弁護人「息子はあなたに協力したと言われていますが、厚宏さんが自分でできる権限というのはあったのですか」
被告人「全くありません。私の指示で振り込んでいただけです」
弁護人「経理部の手足として」
被告人「はい。分配金やコミッショナーの支払いは管理部のほうですから、指示されて振り込んでいただけです」
弁護人「あなたは具体的に甲号証の被害者の調書を40名弱ぐらい全部読んだということですが、どういうことでこういうことになったと思いますか」
被告人「セミナーに参加して、ムードですとか、報酬とか褒賞とかそこでの会話の内容が相当影響したのだろうなと思っています」
弁護人「被害者のなかではエビの養殖事業で莫大な利益が出るということで出資した人が半数近くいたと」
被告人「ほとんどそういうふうだと思っています」
弁護人「そのなかの18名は紹介者や周りの通帳を見せられたとのことです」
被告人「インストラクターは自信を持って言っていたと思います」
弁護人「刑事責任は別にして多くの方に民事で大きな損害を与えたとして訴えられていますが、どういうふうに思っていますか」
被告人「私としては一生懸命やっていましたが、私の認識と世の中にギャップがあり、とくにアメリカの(聞き取れず)に対する勉強不足で、多大な迷惑をかけて申し訳ないです」
弁護人「社員に対してはどう思いますか」
被告人「一生懸命やっていただいた幹部の方に対しては、逮捕されてしまい心よりお詫び申し上げます」

 ここでAの弁護人の尋問が終了し、厚宏の弁護人の尋問に移った。

 平成電電事件やサムニン事件、L&G事件などの他の巨額詐欺事件と比べて容疑を認めているので結審までスムーズに進むのではないかと感じた。

報告者 insectさん


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