裁判所・部 東京地方裁判所・刑事第十九部(単独係)
事件番号 平成19年特(わ)第2288号
事件名 A、C、D:児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売、わいせつ図画販売目的所持
B:児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売目的所持
被告名 A、B、C、D
担当判事 津田敬三(裁判官)
その他 書記官:横溝
日付 2007.12.27 内容 判決

 主犯格のAはややボサボサの髪に、眉の濃い、褐色の肌のブレザーを着た男性で、Cはスエット姿の丸刈りの男性、DとBはスーツを着たフレッシュマン風の男性だった。
 身長はAとCが165cm程度、DとBが180cm程度。
 冒頭に弁論の再開が少し行われたあと、被告人3名は証言台の前に立った。

−主文−
 被告人Aを懲役2年4月、罰金350万円に、被告人Cを懲役1年10月、罰金50万円に、被告人DとBを懲役2年、罰金50万円にそれぞれ処する。被告人Cに対し、未決勾留日数中30日をその刑に算入する。罰金を完納できない場合は、金1万円を1日に換算した期間を労役場に留置する。被告人DとBに対し、4年間その刑の執行を猶予する。

−罪となるべき事実−
 公訴事実記載の通りで、児童ポルノにかかるDVDを客に販売して、猥褻なDVDをマンションに多数販売目的で所持していたものである。

−量刑の事情−
 本件は4名が共謀のうえ、客に猥褻なDVDを販売し、猥褻なDVDをマンションに多数販売目的で所持していたものである。(aやbやcやdという客で、被告人によって関与した犯行とそうでない犯行があった)
 犯行の手口は、ブラックDVDを同時に3名複写できる複製機を用いて、向島のマンションで、注文に応じて順次発送していったものだ。
 1年余りの間に1億円に上る売り上げがあり、本件犯行はその一端である。
 Aを頂点に、代金の集金役やインターネットでの宣伝役など役割を分担して行われた。
 起訴された数は少ないが、職業的な犯行で、警察の摘発を防ぐために架空人名義で20人以上の架空口座を作ったり、メールアドレスを多数取得するなどしていた。
 Aは平成18年の8月頃から、児童ポルノの販売を始め、共犯者を引き込んで犯行全体を統括し、少なくとも3500万円の利益を得ていた。単なる利欲目的の動機で犯行を犯しており規範意識が鈍磨している。
 Cは発送業務や宣伝業務などをしていたが、Cには平成16年の10月に窃盗や道路交通法違反の罪で、懲役2年6月、3年間の執行猶予に処せられた前科がある。にもかかわらず執行猶予期間中の平成19年1月にはAらと児童ポルノの販売に加わっており、依然として規範意識は鈍磨している。(日付的に微妙なラインだが、執行猶予はおそらく切れている)
 DやBも宣伝用の書き込みや客に対する発送業務を担当するなど重要な役割を果たし、利欲目的で犯行に加わっている。
 それぞれ刑事責任は重いが、とりわけAは重大であり、反省の態度を示していること、妻が出廷して監督を誓約していること、前科がないことを斟酌しても本件で執行猶予は相当ではない。
 Cも反省の態度を示していること、従属的な立場だったことを斟酌しても、前科が1犯あり、今回は実刑に処するのが相当である。
 DとBはそれぞれ事実関係を認めて反省していること、前科がないこと、Dは母親が、Bは母親と知人が今後の監督を制約していることから、今回は刑の執行を猶予することにした。

 裁判官は最後に執行猶予や控訴について説明したが、「執行猶予が終わっても、また犯罪行為を犯した場合は最初から厳しい判決つまり実刑判決におそらくなります」と指摘していた。

 4人の中で刑務官と拘置所から来ているのはCだけで、閉廷するとCは刑務官に連行されていき、DとBは安堵したように傍聴席に戻っていったが、保釈されていたAはがっくりと肩を落としていた。傍には保釈→実刑の被告の身柄を移すためのお決まりの検察事務官がいた。(裁判所から検察庁に実刑が濃厚な際は、非公式に伝えられるらしい)
 Aの奥さんらしき若い女性は号泣していた。

事件概要  被告達は、2006年8月−07年9月頃、インターネットを介し、少女のわいせつな映像などを記録したDVDを販売して利益を得ていたとされる。
報告者 insectさん


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