裁判所・部 東京地方裁判所・刑事第二部
事件番号 平成13年合(わ)第349号等
事件名 強盗殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反
被告名 池内楯雄
担当判事 毛利晴光(裁判長)宮本聡(右陪席)大村るい(左陪席)
日付 2007.10.9 内容 冒頭陳述(予定)

 池内楯雄の公判は、この日はいつもと違い、610号法廷で13時30分から行われた。
 三十数人ほどの人が傍聴に来ていた。志村被告の公判にあぶれた人間がこちらに流れてきているのかも知れない。
 検察官は、眼鏡の痩せた中年男性と、丸顔の青年。
 被告人は、刑務官二人に付き添われ、入廷した。数ヶ月ぶりに見る被告人は、少し見て解るほど痩せていた。特に、顎の辺りの肉がごっそりと削げ落ちている。微妙に以前のような迫力がなくなっているように思えた。白髪交じりの髪は後退し、禿げ上がっている。日に長い間当たっていない所為か色白である。左目は常に細められ、左側の口元は常に歪んでいる。何らかの事故で傷害を負ったのだろうか。鼻は丸い。白いセーターと長ズボンを着ていた。下を向いて入廷するが、座ってからはこれまでのように傍聴席をしきりに見回していた。また、被告席に座ってからは、何時もの様に難聴者用のイヤホンをつけてもらっていた。
 13時31分になっても、弁護人達は入廷しなかった。そして、眼鏡の痩せた初老の男性である裁判長と、三人の裁判官が入廷する。しかし、それでも弁護人の席には誰も座らなかった。もしや、と思った時、裁判長が口を開いた。

裁判長「それでは開廷します。被告人の方から、弁護人4名の解任届けがありましたので、本日は弁護人が居ません。本件は弁護人が必要な事件ですので、これ以上審理を進めることが出来ません。被告人、聞こえますか!?」
被告人「は・・・・」
 何時もの様に、妙に甲高い掠れ声。この時、被告人は、刑務官からメモを受け取っている最中だった。
裁判長「したがって、本日はこれで終わりという事にいたします。次回期日は、10月15日から11月1日、19日、12月3日、20日と期日の指定ありますけども、これも取り消しという事にします。えー、期日はこれで終わりにいたしますので、傍聴人の方は退廷してください」
 5時までの予定だったが、1時35分に終わった。
 被告人は、公判の間、メモを取っていた。このような短時間であり、本人には解りきった内容であるはずの公判について、一体何をメモしているのだろうか?

 被告人のこれまでの様子を知っている傍聴人の人々は、ついにやったか、という感想を抱いたらしい。私も同じように思ったが、この時期に弁護士達を解任するとは思わなかった。もっと行き詰ってから解任するだろうと予想していたのだ。しかし、池内に抑制力が無くなっていると思われる点も、これまでの公判からは見受けられた。感情を高ぶらせ、同じ答えばかりを繰り返す池内を、弁護人が持て余しているように思えたこともあった。とすれば、池内は拘禁反応でも起こしているのかも知れない。
 それにしても、この公判は何時になったら終わるのだろうか?麻原の公判よりも長引く可能性は、極めて高いといえるだろう。

事件概要  池内被告は、東京都新宿区において、強盗目的で以下の犯罪を犯したとされる。
1:1999年8月7日、タバコ屋店主を殺害した。
2:2001年6月25日、タバコ屋店主を殺害した。
3:2001年6月30日、不動産会社役員夫婦を殺害した。
報告者 相馬さん


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