裁判所・部 東京地方裁判所・刑事第十一部
事件番号 平成12年合(わ)第457号等
事件名 準強姦、準強姦致傷、準強姦致死、猥褻誘拐、死体損壊
被告名
担当判事 栃木力(裁判長)中尾佳久(右陪席)長池健司(左陪席)
日付 2006.3.8 内容 被告人質問

 Aの公判は、425号法廷で行なわれた。この日も、傍聴券を求めて多くの人が並んだ。
 入廷前に、荷物預かりと、金属探知機によるチェックが行なわれた。
 傍聴人が一番最後に入廷する事になる。
 13時15分から開始する予定となっていたが、入廷が許されたのは、13時20分だった。傍聴人の入廷が許された時、被告人は既に証言台に座っていた。
 被告人は、後頭部が禿げ上がっており、柔らかい髪は白髪交じりだった。口髭と顎鬚を生やしており、サングラスをかけ、黒いスーツ姿だった。
 前回に引き続いて、被告人質問が行なわれる。

−弁護人の被告人質問−
弁護人「既に何人もの人が起訴を取り下げるように上申書を出していますが、平成13年6月付け起訴のY・Mさんによると、Aさんが酒を出して、その、変な匂いのする薄気味悪い酒(フィリピンないしモンゴルの酒、と称する物)を、織る原さんが飲んで、彼女たちが飲み、またAさんが飲んだという事ですが、その通りですか?」
被告人「はい」
弁護人「何故二度飲んだのですか?」
被告人「それを飲むと、羞恥心が無くなる」
弁護人「興奮剤は飲みますか?」
被告人「私だけ飲みます」
弁護人「女性は飲まない」
被告人「はい」
弁護人「フィリピンの酒、と言っている物は、ボトル三本を8万円で買っていますね」
被告人「はい」
弁護人「成分は解っていましたか?」
被告人「既成薬物でない事は解っています」
弁護人「飲んだ後、検査をしてもらった事はありますか?」
被告人「飲んだ相手が尿検査もしましたので」
弁護人「(飲んだ相手に)検査をさせることも考えましたか?」
被告人「プレッシャーをかけて」
弁護人「どんなプレッシャーですか?」
被告人「・・・・・『じつは、これ、初めて飲んだんだけど、毒かもしれなかった。』あるいは、部屋の中でガスが漏れたとか、他に飲んだ人がいて具合が悪くなった、と相手に言うと、検査すると」
弁護人「検査をすると考えた」
被告人「はい」
弁護人「平成14年12月付け起訴のY・Fさんの電話の通話を録音したものを文章化したもので、『あれは何年もたってるんでしょう』というY・Fさんの問いに、『年代物だよ』と答えていますね」
被告人「はい」
弁護人「どうして血液検査や尿検査をさせようと考えたのですか?」
被告人「最初、検査機で、最新機器で調べる・・・・・、機器が新しくなっているんですね。その結果、ドリンクがどういうものか解るのではないのか、体内に入って変化するとか、そういう事が、機器が新しくなれば解るのではないか、という事です」
弁護人「平成12年11月付け起訴のD・Hさんは、如何も無かったと言っている。Y・Fさんも正常値。そういうことでよろしいですか?」
被告人「はい」
弁護人「Aさんとプレイを行なった女性との出会いについて聞きます。バーやクラブにどれくらいの頻度で行っていましたか?」
被告人「2000年は2回、その前年も二回ですね」
弁護人「夜な夜な六本木を徘徊していたわけではない」
被告人「それはマスコミの出鱈目であって、それは検事が良くご存知です」
弁護人「酒は何時から飲んでいましたか?」
被告人「高一からです」
弁護人「何処で飲む事がありましたか?」
被告人「元赤坂タワーズのホームバーで殆ど飲んでいました」
弁護人「逗子マリーナでプレイする女性とは、どのようにして出会っていましたか?」
被告人「外人の場合は仲介者がいました。日本人女性の場合は、ツーショットダイヤルで」
弁護人「プレイする女性の条件は?」
被告人「醜い事です」
弁護人「プレイを撮影したビデオの中で、先ほどのY・Mさんは、ビデオに『豚』と表示されていますが、醜さを表しているのですか?」
被告人「プレイは醜さが条件、という事です」
 ツーショットダイヤルで会う場合は、声で顔は予想できる、と被告人は述べる。被告人は、寸胴タイプの女性を求めていたらしい。
弁護人「(タイプの女性は)ウェストが余り差がない?」
被告人「はい」
弁護人「会わないまで相手がわからないのもプレイですか」
被告人「はい」
弁護人「Y・Fさんの事は、何故検察官から顰蹙を買ったのですか?」
被告人「私がY・Fの事を、『河馬だと思っていました』と言ったら、顰蹙を買いました。本当の気持ちを言って、と言われて、言ったら顰蹙を買った」
被告人「本人は非常に怒っていた・・・・・、当然ですが、本庁にやってきて、バッグを振り回して、私に会わせろ、と言われて、大変だった、と聞きました」
弁護人「取調官に、プレイする女性の条件はどう聞かれましたか?不細工な女性を選んだとは?」
被告人「そういうことも聞かれました。どうして、今仰ったような相手を選んだのか聞かれました」
弁護人「どう答えましたか?」
被告人「それが私のプレイだった、と言いました」
弁護人「覆面を被ってする?」
被告人「醜い相手と、覆面を被って、自分が更に醜いプレイをするのがプレイです」
弁護人「何故、二人だけなのに覆面を被るのですか?」
被告人「それがプレイです」
 外国人女性に関しては、被告人が電話をかけて、紹介を依頼するらしい。
弁護人「紹介者は?」
被告人「不良外国人女性と言って良いと思います」
弁護人「名前は?」
被告人「Y20です。本名は知りません」
弁護人「国籍は?」
被告人「本人はアメリカと言っていました。本当かは解りません」
弁護人「何時知り合いましたか?」
被告人「今から10年以上前、1994年ごろです」
弁護人「プレイする女性に条件は?」
被告人「Y20に対しては、私は、ビッチ、と言っていました。薬が好きなビッチと」
弁護人「ビッチという言葉の意味は?」
被告人「男が女性に言う場合は、尻軽女、という意味が多いと思います」
弁護人「何故ドラッグをやる女性を望んだのですか?」
被告人「面白いんです。発想が豊かで。ホステスをやっているから、ジャンキーではないと思いますし。面白い」

−坂根弁護人の被告人質問−
弁護人「プレイの個別の人について聞きます。Aさんを告訴して逮捕された平成12年12月付け起訴の女性、平成12年11月付け起訴の女性二人ですが、D・Cさんは非公開の法廷で、日本語の勉強をしていた、と言っていますが、事実ですか?」
被告人「違いますね。Y20から聞いたところでは、マカフィーでホステスをやっていて、客とトラブルになって六本木に来た、という事です」
弁護人「証明するものは?」
被告人「マカフィーのカードの、彼女の名前とシークレットナンバーが書かれたものを、検察官が持っていると思います」
 検察庁で、担当の検事が持っていた、と述べる。
弁護人「番号を控えましたか?」
被告人「東京拘置所で刑事さんにリストを見せられて、了解で控えました。それは、写真のネガ番号ですね」
 坂根弁護人は、番号を述べ、それで良いか尋ねる。
 被告人は、肯定する。
弁護人「そのカードには、D・Cさんの名前と、マカフィーの電話番号、シークレットナンバーが書かれていますね」
被告人「はい」
弁護人「D・Cさんは、Aさんと10月10日、逗子のマンションへ右ハンドルの車で行ったんですか?」
被告人「私は右ハンドルの車は持っていません」
弁護人「何故そう言ったと思いますか?」
被告人「判断力が鈍っていたと思います」
 被告人は、D・Cはマリファナをやっていた、と述べる。
弁護人「D・Cさんはどういうルートで逗子まで行きましたか?」
被告人「飯倉の高速で首都高に入って、それからは以前と同じルートです」
 被告人は、当時の弁護人から言われた事もあったが、黙っている事もできない雰囲気で、あやふやな表現にしました、と述べる。
弁護人「当時の弁護人は、黙秘しろ、という方針だった」
被告人「当時はですね」
 10月10日の出来事をD・Cは覚えていなかったので、11日にA被告が葉山のレストランに行ったことを言っている、と被告人は述べる。
弁護人「Aさんでの部屋での出来事は?」
被告人「調書を見る限り、彼女の使ったストーリーだと思います」
弁護人「D・Cさんは、ジンを一なめして倒れた、と言っていますが」
被告人「一舐めで倒れるジンは存在しないと思いますよ」
弁護人「D・Cさんは、シャンパンは飲まなかった、と言っていますが」
被告人「写真を見れば、彼女が飲んだと解りますよ」
弁護人「Aさんの部屋の写真」
被告人「はい。私のシャンパンには泡が立っていない」
弁護人「警視庁本庁でそういう写真を見せてもらった」
被告人「はい」
 被告人は、プレイ代として、プレイ前に10万円を渡した、と述べる。D・Cは被告人の部屋でもマリファナをやっていた、とも述べる。マリファナをするときは酒を飲む、とも述べた。
弁護人「D・Cさんから東京の生活を聞いたことは?」
被告人「昼に起きると言っていました」
弁護人「何時間寝るとは?7,8時間寝るとは言っていませんでしたか?」
被告人「そうですね、勤務台帳を見ると、そうなる」
弁護人「10月ですが、暖房器具は使っていましたか?」
被告人「はい」
弁護人「窓を閉め切っていた理由は?」
被告人「彼女、マリファナを吸っていたでしょう?警察から通報されるので」
弁護人「D・Cさんは法廷で、10月10日にD・Cさんが倒れた後でAさんが部屋に飛び込んできて、ガス漏れがあった、と言った。窓はその時締め切っていた。と言っていますが、ガス漏れと言いましたか?」
被告人「言ったかもしれません」
弁護人「ガス漏れを誰にも言うなとは?」
被告人「言っていません。言う意味が無いでしょう」
 D・Cへのタクシー券についても、弁護人から質問が成される。被告人は、それに答え、黒眼鏡を取って、タオルで汗を拭った。
弁護人「Aさんの所から、東京への通貨券が多く押収されていますが、それを使おうとして使えなかった事は?」
被告人「ありました」
弁護人「逗子から東京まで、タクシーをどれくらい利用しましたか?」
被告人「バブル時期と言われていた頃ですね。その頃に数回使った事があります」
弁護人「何故?」
被告人「アルコールを飲みすぎて運転できなかった」
1992年、aさんとタクシーに乗ったことがある、と被告人は述べる。
弁護人「aとタクシーで行った日の事で覚えている事は?」
被告人「彼女の姉のY19が数週間居ないので、羽を伸ばすということで、彼女の店に連れて行かれたことがあります」
弁護人「平成13年1月付け起訴のC・Mさんについて。逗子の部屋に何回行った事がありますか?」
被告人「2回です」
 マライア・キャリーのコンサートを見てから逗子の部屋に行ったらしい。
弁護人「警視庁から言われた事は?」
被告人「彼女は、深夜に、神に誓って逗子の部屋に行っていないと言っている、と言われました」
弁護人「それで?」
被告人「彼女が私の部屋で歌を歌っている写真が出てきたので、私の言っている事が本当だと解りました」
弁護人「取調官は何と言っていましたか?」
被告人「『C・Mの奴、また嘘をついてしょうがないな』と、そういう表現で仰っていました」
弁護人「C・Mさんの事も、Y20から聞いた」
被告人「はい」
弁護人「プレイの日も、会った時に決める」
被告人「はい」
弁護人「顔合わせしたのは、C・Mさんだけ?」
被告人「いいえ、Y21という女性が」
弁護人「どういう関係?」
被告人「同居していたと思います」
弁護人「何故マライア・キャリーのコンサートにC・Mさんと行ったのですか?」
被告人「女性好きだったんですね。それで、行こうとなりました」
弁護人「その日は何曜日ですか?」
被告人「日曜だったと」
弁護人「その日プレイをするつもりだった?」
被告人「いいえ」
弁護人「夜中の1時に逗子の部屋に行っていますが、プレイする事も出来ましたね?」
被告人「そうですね」
弁護人「何故しなかったのですか?」
被告人「後の方と決めていたので」
弁護人「どれくらい部屋に居ましたか?」
被告人「1時間半と思います」
弁護人「覚えている事は?」
被告人「刺青を見せてくれました」
弁護人「父親の事で何か言っていませんでしたか?」
被告人「父がフィリピン人だと言っていました」
 C・Mは、アーティストになりたいと言っていたらしい。
弁護人「入れ墨の場所、図柄は覚えていますか?」
被告人「下半身で、文字のような烙印だったと思います」
弁護人「見せた時、何か言っていましたか?」
被告人「『カナダの時、パートで売春していて、客から危険な目に会い、魔除けとして入れた』と言っていました」
弁護人「ドラッグの話は出ましたか?」
被告人「出ました」
弁護人「ドラッグを使用している話は出ましたか?」
被告人「彼女は好きでしたから」
弁護人「東京で使用しているか聞きましたか?」
被告人「聞きました」
弁護人「何と言いましたか?」
被告人「色々ルートがある。イラン人からテレカを買い、他にもそういう物を買うと」
弁護人「明け方の5時ごろ、Aさんの車でアパートに送ってもらった」
被告人「はい」
弁護人「3月11日、プレイを行うことになるが、何か言った事はありますか?」
被告人「パーティーをやっていたのでちょっと寄ってみる、と言った事は覚えています」
 C・MはA宅に泊まるつもりだった、逗子マリーナという名前も聞かれた、と被告人は述べる。
弁護人「どう答えましたか?」
被告人「逗子マリーナ、と言いました」
弁護人「1996年3月31日にプレイを行ないましたね」
被告人「はい」
 被告人は、C・Mの証言について、車の車種が違う、待ち合わせも赤坂ではなく原宿である、と反論する。また、C・Mはコカインをやっていた、とも述べた。逗子マリーナまでは、第三京浜を使って行った。D・Cと同じく、11と13のNシステムを見てもらえれば裏付けられる、とも述べる。そして、「弁護人が求めても開示されないでしょうから、裁判長と裁判官から検察官に言ってもらえれば良いです」と言った。
弁護人「この日以外に、シルバーのポルシェでC・Mに会った事はありますか?」
被告人「ありません」
私が逮捕されてから色々情報が得られた、とも述べる。
弁護人「3月末ですが、寒くありませんでしたか?」
被告人「寒かったですよ」
 C・Mには、ネックレス、5万円、タクシー券をあげた、と述べる。C・Mの希望で5万円とネックレスという事になり、ネックレスは真ん中にダイヤの入っている20万ぐらいのもの、とも述べる。D・Cには、10万円の他に、チップとして8万円を渡している、と述べる。
弁護人「20万円のネックレスは、プレイ前に代金として渡しましたか?」
被告人「はい」
弁護人「ネックレスについて、C・Mから言われた事はありますか?」
被告人「電話で、『気に入って、毎晩店につけて行っている』と言っていました」
 C・Mは逗子マリーナでフィリピンの酒を10本飲んだ、風呂に入っている時の会話をテープに録音した、C・Mに欲しいといわれたのでその場でダビングしてあげた、と被告人は述べる。
弁護人「部屋にいる間に、C・Mさんが固定電話を使って電話した事はありますか?」
被告人「カナダの数名の愛人、日本の友人、Y14’に電話をかけていました」
弁護人「Y14’は、ドラッグを売っている人物?」
被告人「はい」
弁護人「調書では、Y14’はC・Mに指輪をあげて、親しくしていた人物となっていますが」
被告人「調書ではそうなっていますね」
弁護人「(Y14’は)bさんにもドラッグを売っていた?」
被告人「Y8も買っていた、と聞きました」
 被告人が、Y14’事Y14の調書を弁護人に依頼したところ、Y14は、平成15年4月25日に暴力団組員に拳銃で二発撃たれて射殺されていたらしい。 この事件は、薬物のトラブルが原因と報告されている。
弁護人「C・Mは、逗子から帰った後に、Y21にAさんの事を話した、と言っていますが、3月31日から4月1日にかけて逗子に行っていますが、その後にC・Mさんから電話がかかってきた事はありますか?」
被告人「あります。数日後に」
 被告人の弁によれば、C・Mは、Y21も10万円でプレイをやりたいといっていた、と電話で話したらしい。5月にプレイをする段取りとなり、5月にプレイをした、と述べる。

 2時25分から50分まで休廷となる。傍聴席には白人男性もいたが、途中で退席した。
 2時55分に再び入廷が許される。被告人は既に証言台に座り、タオルで顔を拭っていた。

−坂根弁護人の被告人質問−
弁護人「C・Mという人の事ですが、C・Mではなくて、K・Mですね?平成12年10月付け起訴の事件の事について供述してきた。あと、Y14の調査について(聞き取れず)」
被告人「その様に記載がありました」

−オオツワ弁護人の被告人質問−
弁護人「平成12年12月付け起訴のO・Yさんについて聞きます。ツーショットダイヤルに電話をかけて、(O・Yさんは)今、キャバクラで働いていて、彼氏は慶大生だと言ったという事ですが、それで良いですか?」
被告人「ホストクラブに借金があって、すぐ返さなければ慶大生のホストに殴られる、少し足りないといっていました。援助交際の相手を探していると」
 値段は、5万円だった。
弁護人「どのような女性がツーショットダイヤルに電話をかけてきていたのですか?」
被告人「5人の内4人が売春目的でした」
弁護人「残りの一人は?」
被告人「物を求める方が多かったです」
弁護人「赤坂ホテル前で、O・Yさんと会う事になりますが、何故ですか?」
被告人「ホストが慶大生なので、気になったという事ですね」
弁護人「貴方が慶大出なので」
被告人「はい」
弁護人「O・Yさんは、逗子マリーナに行くといっていましたか?」
被告人「私は湘南と言ったかもしれませんが、逗子と言ったかもしれません」
被告人は、シャンパンを持っていた。
弁護人「O・Yさんは、待たされて頭に来たと言っていますが、文句を言われた事はありますか?」
被告人「言われましたよ」
 車の中では、被告人とO・Yは、交互に「インドの酒」を飲んだという。
弁護人「インドの酒とは、フィリピンの酒とか言っているものですか?」
被告人「はい」
弁護人「インドの酒を飲んだ時、O・Yさんは、気味が悪いと言っていますが、どのような様子でしたか?」
被告人「笑いながら飲んでいましたよ(笑)。嫌なら飲まなければいい」
弁護人「O・Yさんは、(Aを)客にしたいから酒を飲んだ、と言っていますが」
被告人「彼女は、当時としては無職だったと思うんですよね・・・・、もう一度質問を」
 弁護人は、質問を繰り返す。
被告人「私は、外で飲むのは嫌いなので、そういうことを彼女たちに言った事はありません」
弁護人「インドの酒を飲んだ後に、胸の辺りがむかむかして意識を失ってしまった、とあるが」
被告人「彼女は酒が好きだったんですよね。調書でもそう言っていたと思いますけど」
 被告人によれば、O・Yは、ブランデーも飲んでいたらしい。
弁護人「O・Yさんの声を、逗子マリーナで録音した事はありますか?」
被告人「はい、ありました」
弁護人「何故録音したのですか?」
被告人「彼女の、ホストクラブのホストと電話で大喧嘩し初めて、それで録音してしまった事はあります」
弁護人「開示をうけているカセットテープが翻訳されていますが、『要は払えばいいんでしょ、月曜までに。私が何もしてないわけじゃない。貸して下さいと言っているよ』と言っていますが、彼との会話ですか?」
被告人「Y22というホストです」
弁護人「ピー音で会話が打ち消された事は?」
被告人「日本記録協会にテープを持ち込んだところ、ピー音で42秒消されている、と言われました。私は改竄をしていないので、したのは捜査側の人間ですね。彼女は借金を返済しようとしているが、出来ないので、体で稼いでいる、と言っていたと思う」
弁護人「捜査側と、日本記録協会の反訳で違っている事はありますか?」
被告人「ありました。警視庁のものでは、まるで私とやりあっているようになっている」
弁護人「Aさんは、ホストクラブの馬鹿さ加減を、O・Yさんに諭しているのですか?」
被告人「まあ、そうですね」
弁護人「(O・Yは)Aさんが東京まで送ってくれて、その後、タクシー代を1万貰って帰った、と言っていますが」
 O・Yはその時ホストの話をしていた、と被告は述べる。
弁護人「その後、O・Yさんと話をした事はありますか?」
被告人「あります」
弁護人「どんな話ですか?」
被告人「7,8回電話をかけてきた着信履歴があったので、かけました」
弁護人「平成12年12月付け起訴のY・Fさんについて聞きます。いつもY・FさんがAさんに電話をかけてきて、履歴を見て、Aさんが返す、という形だったのですか?」
被告人「はい」
 Y・Fさんの勤めていたクラブは夜の12時に終わり、それからY・Fさんからの電話はかかってくるらしい。
弁護人「毎回どのぐらいの時間話をしていましたか?」
被告人「結構長かったです。一時間から、長ければ三時間ぐらい」
弁護人「どんな話をしていましたか?」
被告人「大変面白い話で、彼女の武勇伝、店の客から金を取る話をしていました」
弁護人「何か覚えている事はありますか?」
被告人「電話をしている途中で泣き出すことがありました。それを良く覚えています」
 被告人の述べるところによると、Y・Fさんは、気が強い人だったが、他愛の無い事で泣き、それにはアルコールも関係しているらしい。
弁護人「Aさんの方からは、どのような話をしましたか?」
被告人「いい加減な話でしたよ」
弁護人「どんな話をしていましたか?」
被告人「ストレス解消の目的で電話をするので、当初は本名を名乗らず偽名でかけてくる。つまり、いい加減な話をしていた」
弁護人「Y・Fさんの性格は、どう感じましたか?」
被告人「面白い、というか、暴力的で面白い、という事ですね」
弁護人「Y・Fさんの店が変わった時に、蘭の花を送っていますね」
被告人「5人は花を贈って欲しくて、3人は(花を)確保できた、送ってくれ、と言われたので、送りました」
弁護人「3月14日に、Aさんと電話で喧嘩する、とY・Fさんの手帳にかかれていますが」
被告人「銀行問題で集中しなければいけないので、電話をかけるな、と彼女に言ったら怒ったという事ですね」
 弁護人は、被告人の2000年〜2001年までの手帳を示す。
弁護人「2000年4月6日から4月10日(左)、右が4月7日付になっていますが、4月7日には銀行名や役員名が記載されていますが、2000年の欄に書いてある安田とは何の事ですか?」
被告人「安田銀行です」
弁護人「2000年4月10日のY23は?」
被告人「私の顧問弁護士のY23氏です」
弁護人「Y・FさんとAさんの喧嘩のきっかけは、銀行問題であって、ギターではない?」
被告人「そんな事は喧嘩の原因になりませんね」
弁護人「Y・Fさんの手帳には、3月4日から4月10日までAさんと電話をしたという記載がありませんが、電話をしていないのですか?」
被告人「いいえ」
 弁護人は、Y・Fさんから小笠原旅行をせがまれた件に関しても質問する。Aは、銀行問題の事があったので、その頼みを断り、近くならば可能であると答えたらしい。
弁護人「Y・Fさんは逗子マリーナのことを知っているとは?」
被告人「行ったことがあるとは言っていました」
弁護人「Y・Fさんの法廷での証言は、午前2時の予定だったが午後7時ごろに最終的に会ったとなっている。何故時間をずらしたのですか?」
被告人「怒って、やめると言ってくれないかな、と思っていました」
弁護人「会いたくないと言えば良いのではないのですか?」
被告人「まあ・・・・・そうですね・・・・・それは、心理学者の言うところの、病気ですね」
弁護人「Y・Fさんは、Aさんの部屋に泊まるつもりだったのですか?」
被告人「そうです」
弁護人「法廷において、Y・Fさんは、モンゴルの酒をAさんが二杯のみ、Y・Fさんが一杯飲んだと言っていますが、どういう飲み方をしましたか?」
 Aの言う所によれば、モンゴルの酒を二人で交互に飲んだらしい。
弁護人「その後に、大量の興奮剤を飲んで、Aさんを覚醒させる」
被告人「はい」
弁護人「5月3日に、Y・Fさんに金を渡しましたか?」
被告人「はい」
弁護人「幾らですか?」
被告人「10万ですね」
弁護人「ツーショットダイヤルでは5万では?」
被告人「その時、彼女はサラ金に借金があったんですよね」
 Aは、Y・Fさんから金が取られた、とも述べた。
弁護人「何か言いましたか?」
被告人「言ってもしょうがないと思って言わなかったと思います」
弁護人「Y・FさんがAさんの部屋から出るとき、番号を控えた事を見て、どう思いましたか?」
被告人「やってきたな、と思いました」
弁護人「それはどういう意味ですか?」
被告人「相手から金を取る武勇伝を聞いていたので、そういう意味の、やってきたな、です」
 Aによれば、Y・Fは、一緒に北海道旅行に行った男性から100万円を取った話をAにしていたらしい。Y・Fさんを健康の事で脅したのは、Y・Fさんに健康チェックをさせてドリンクの秘密を知りたいと思ったからだ、とも述べる。
弁護人「Y・Mさんについて聞きます。一度会う予定が、Aさんが日にちを変更したのでずれてしまった、とありますが」
被告人「私は、プレイ相手は18歳以上と決めていたので、相手は20と言っていましたが、4月に20になる、と相手が言っていたので、中止しました」
弁護人「Aさんが覆面を被ってY・Mさんと行なったプレイを録画したビデオのタイトルに、『豚』とつけていますが、何故ですか?」
被告人「彼女は、男性を求める話ばかりだったんですね。アメリカに行って若い男の子を求める。だから、イメージとしてね、雌の豚が求める、とイメージを描いていたので、それがぴったり一致したという事です」
弁護人「薬用酒は、モンゴルの酒と一緒ですか?」
被告人「そうです」
弁護人「Y・Mさんは、Aさんから貰った新幹線往復券を金券ショップに売っていますが」
被告人「知らなかったです」
弁護人「Y・Mさんは、2月14日に手作りチョコをプレゼントしたと言っていますが」
被告人「はい」
 Aは、T・Mさんと会った経緯を説明した。
弁護人「検察官の調書で、『逗子の部屋で8万円受け取り、ありがとう、と言った』、とありますが」
被告人「はい」
弁護人「何を食べましたか?」
被告人「寿司です」
弁護人「『風邪気味だと言ったら、市販されている粉薬をくれて、寿司の来る前に飲んだ』と言っていますが、薬は何ですか?」
被告人「パブロンです」
弁護人「寿司が来て、Aさんが、スペシャルワインだ、と言って、茶色いビンを持ってきた」
弁護人「スペシャルワインとは、モンゴルの酒なんかと同じ?」
被告人「そうです」
弁護人「パブロンは、水ではなく、オレンジジュースで飲んだ?」
被告人「はい」
弁護人「O・Yさんは、今まで出てきた女性と同じく、起訴を取り下げるように頼んでいますが、ご存知ですか?」
被告人「はい」
弁護人「金貨をT・Nさんにあげた理由は何ですか?」
被告人「クラブで、あるプレイをするならプラス2万と言われたので、法廷では言えないのですが、幼児プレイみたいなものです。それで、それはいいから、と言って、金貨を渡しました」
Aによれば、T・Nの低温火傷は、風呂かガスストーブが原因らしい。
弁護人「T・Nさんに、人が映っているパンフレットを見せた事はありますか?」
被告人「ないです」
弁護人「友人の写真を見せた事は?」
被告人「ないです」
弁護人「Y24というT・Nさんの友人と話したことは?」
被告人「ありません」
 Y・Fさんとの連絡についても否定する。
弁護人「T・Nさんが10万円受け取ったにもかかわらず、8万円と言った理由は何だと思いますか?」
被告人「何故そう言うのかと思っていましたが、理由付けとして、何を何日休むから、という事で言っていると思います」
 T・Nさんは、店のペナルティーについて、低温火傷の診断書をもらえればペナルティーを科せられない、と言っていたらしい。
弁護人「平成13年6月28日付起訴のC・Mさん、及び、6月23日付起訴のM・Mさんについて聞きます」
 Aがクラブの電話番号を聞いて其処に電話をかけると、C・Mさんは、店が変わる、と言っていたらしい。
弁護人「Y20さんから注文を出した事は?」
被告人「オーストラリアのパースから来ているホステスが居たら、とY20に言いました」
弁護人「C・Mさんは、店の名前を何と言っていましたか?」
被告人「ボル赤坂です」
 弁護人は、1999年のAの手帳を示す。
弁護人「この、ボル赤坂というのがそうですか?」
被告人「そうです。それがY20から聞いた名前です」
 (逗子の部屋では?)C・Mさんは、風邪をひいて咳き込んでいた。
弁護人「逗子の部屋にはマラカスはありましたか?」
被告人「ありません」
弁護人「C・Mさんは、あったと述べていますが」
被告人「他の人と間違えているか、幻覚でしょう」
弁護人「C・Mさんは、東京に帰る前に、スープを食べましたか?」
被告人「スープではなくクルトンポタージュで、彼女は二杯食べました」
 急病の為に金を渡したのではなく、プレイ代金として金を渡した、とAは述べる。1月5日に、C・Mさんは、東京に帰ってきたらしい。
弁護人「M・Mさんについて聞きます。M・Mさんの醜さとは何ですか?」
被告人「当時、あの・・・・彼女の付き合っていた男性と、過去に付き合っていた男性を天秤にかけて、電話で話していたので、裏切りという点で、私は醜さを感じました」
弁護人「プレイの代価については何と言っていましたか?」
被告人「バッグが良いと言いました」
弁護人「バッグをあげましたか?」
被告人「自分で選べ、と言いました」
弁護人「M・Mさんが選んだものを買ってあげる、という意味ですか?」
被告人「はい」
弁護人「会った後、ブティックに行きましたか?」
被告人「いいえ」
弁護人「何故行かなかったのですか?」
被告人「まだ決まらない、と言っていましたので、決まったら買ってやる、と言いました」
 Aは、M・Mさんの低温火傷の原因について、ガスヒーターであると考えている、と述べる。また、M・Mさんは、バンドエイドを自分に会った時から貼っていた、とも述べる。
 弁護人は、甲89号証を示す。
弁護人「この、逗子マリーナの部屋の中央に書いてあるのがガスヒーターですか?」
被告人「当時は二台あり、その内の一台がこれです」
弁護人「それから、Aさんが先ほど言った、M・Mさんが貼っていた大きな絆創膏は、裁判所に退出された写真に既に映っていたのですか?」
被告人「はい。場所は違いますが」

−鈴木弁護人の被告人質問−
弁護人「貴方は、高校時代からアルコール依存症だったという事ですね」
被告人「はい」
弁護人「高校時代、入院した事もある」
被告人「はい」
 数ヶ月入院しており、その時の傷は、口の中に、上も下も残っているらしい。
弁護人「その間、アルコールは飲みませんね」
被告人「口からはね」
弁護人「口からでなく、どのように飲んだのですか?」
被告人「あの・・・・、15歳ぐらいからアルコール依存症にかかっていたので、口からでなく、鼻から吸いました」
弁護人「アルコールを吸引して、どのような状態になりますか?」
被告人「結構酩酊しますよ」
弁護人「モンゴルの酒とか呼ばれているものは、意識を喪失している状況を継続させる効果はあったのですか?」
被告人「フィリピンの酒でですか?あの液体はそういう液体でしたのでね」
弁護人「アルコール度が高いものを吸引して意識を失ったりはしますか?」
被告人「それは無いです」
弁護人「酩酊はしますか?」
被告人「高濃度のアルコールを鼻から吸引すると酩酊のレベルですよ」
弁護人「意識の喪失を継続させる」
被告人「それはありました」
弁護人「何故、エーテルを使用したという調書に署名をしたのですか?」
被告人「どれが一番強力な薬物か、と取調べで聞かれて、エーテルと答えたら、じゃあエーテルにしようと」
被告人「逮捕された後、一時的に、如何でも良くなってしまったんですね。それで、これでいいや、と署名をしてしまった」
弁護人「エーテルの使用は、その後は取調べでどうなりましたか?」
被告人「クロロホルムに変えてくれないか、と言われました」
弁護人「その理由は?」
被告人「言いませんでした」
弁護人「要求に応じましたか?」
被告人「応じませんでした」
弁護人「弁護人に相談しましたか?」
被告人「相談したら、応じるな、と言われたので、応じませんでした」
 Aによれば、マスコミ向けのA名義の文書は、Y25弁護士が作成したらしい。
弁護人「声明差し入れの手続きをしたけど、手元には来なかったと」
被告人「はい」
 Y27検察官は、声明文を出すな、(Aにとって)大変な事になる、とAに言ったらしい。
弁護人「声明文について、何かY25弁護士に言いましたか?」
被告人「卑怯じゃないか!と言いました。Y23弁護士も当時私の弁護団に入っていましたが、Y23弁護士が私に署名捺印を求めたように、声明文はなっていたので」
 Y25弁護人が声明文を出した後、Y23弁護人は辞任したらしい。
弁護人「声明文についてはどう思いますか?」
被告人「関係ない北朝鮮の事が書いてありましたし、私の知らない『佐川くんからの手紙』についてや、『これからの日本はますます警察国家になっていく』と書いてありました。私はそんな事は思っていないのに」
 声明文の所為で、警察官、検察官のAに対する態度は変わったらしい。
弁護人「Y25弁護人は、平成13年12月に辞任しますが、報道によれば、理由はAさんが非協力的であるから、としていますが」
被告人「そうではないんですよ。弁護人の差し入れた冒陳を差し入れられたら、私は不安になって、他の人に相談したんですが、それを知られて、辞任しました」
弁護人「Aさんは、大学時代から逮捕されるまで、数千万円の寄付を行なっていますね」
 Aは、偽名を使って寄付をしていたらしい。そのことを検察官に言うのがいやなので、世の中の幸福を願う男という偽名を使って寄付を行なった、と供述していた。ユニセフに30万円寄付した事もあった。また、天皇、皇后両陛下が出席されている、ホテル・オークラで行なわれたチャリティーの会合の席に出席した事もあったらしい。その席上では、天皇皇后両陛下はダンスをし、それは報道もされている、と述べる。Aは、そうした会合に、5,6回ほど招待された事があったらしい。寄付の関係で親しくしていた皇族も居た、とも述べる。

−坂根弁護人の被告人質問−
弁護人「取調べの時、幼年期、学生期の事について聞かれた事はありましたか?」
被告人「はい」
 弁護人は、写真を見せる。
弁護人「田園調布の本宅を撮影したものですね」
被告人「はい」
弁護人「Aさんが入っていたのは、殺傷事件があった大阪教育大学付属小学校ですか?」
 Aが通っていたのは、天王寺にある小学校で、名前だけが池田小学校と同じ。Aの小学校時代のIQは、全生徒の中でトップだったが、成績は良くなかったらしい。
弁護人「これは、Aさんが、10代の頃につけていたノートですか?」
被告人「そうですね」
弁護人「この、Y26撮影の件、とありますが、Y26とは?」
被告人「当時付き合っていた女性です」
弁護人「肉体関係はありましたか?」
被告人「はい」
弁護人「この人の特徴は?」
被告人「彼女は同じ大学の数年下、社長の娘、容姿端麗でした」
弁護人「『自分を犠牲にしてはならない、写真を撮れ、あいつを犠牲にしろ、気付かれるな』という記載がありますが、どういう写真を撮っていたのですか?」
被告人「普通の、顔がアップになったものですね」
被告人「外見は綺麗だが、性格は極めて悪い。だから・・・・・・、ん・・・・・、それをですね、其処に書いてある事を書くことによって、いろいろな事が想像出来たと。それが結構エネルギーになった。良いか悪いかは別にして、書く事がエネルギーになった。そういう意味での利用ですね。エネルギーが沸くという意味で」

−マルイ弁護人の被告人質問−
 弁護人は、逗子マリーナでのプレイのパターンについて質問する。
被告人「一緒に行ってプレイをしない相手もいましたが、プレイをした相手はそうです」
弁護人「プレイの相手と会話して、それをテープにとっていた」
被告人「はい」
弁護人「その中に、起訴はされていませんが、O・Sという女性も居ますね」
被告人「はい」
弁護人「その女性は、付き合っている男性が居るのに、援助交際をAさんに持ちかけ、フィリピンの酒を飲んで、病院に運ばれた」
被告人「はい」
弁護人「テープは他にもありますか?」
被告人「様々にありました」
弁護人「(取調官に)テープの事で言われた事はありますか?」
被告人「残していたら起訴されなかった、と言われました」
弁護人「プレイの条件は醜いことですが、O・Sさんは、何処が醜かったのですか?」
被告人「想っている男性を裏切って援助交際をしている。確か男性はソニーの社員でしたが、裏切るのは醜いですね」
弁護人「そういう女性と、仮面を被ってプレイを楽しんだ。その他のプレイは何ですか?」
被告人「終わった後、卑猥な会話を楽しむのも、プレイの一つですね」
 プレイのビデオは警視庁にある、と述べ、ビデオ番号も言う。
弁護人「プレイを行なった女性について、警察官、検察官から意見を言われた事はありますか?」
被告人「Y27検事が、こういう風に言われたんです。『私も馬鹿じゃない。彼女たちがどのような女性であったかは私にも解っている』と言われました」
弁護人「取調べの刑事は何と言っていましたか?」
被告人「もっと露骨な言い方で、『bの事を言わないから逮捕する』と言っていました。彼女達とやっても事件にしない、と言われた事もありました」
弁護人「『売春婦が腰を痛めていて、バックからセックスする事を拒否されて、無理やりしても、セックスについては同意を得ているので強姦とは思いませんでした』という記載が調書にありますが、そういう趣旨の事を言いましたか?」
被告人「検事との会話の中で言いました」
弁護人「準強姦で起訴されていますが、その事について何か言う事はありますか?」
被告人「アメリカ等がバグダットに爆弾を落としていますが、それは許せません。しかし、相手の国にも言い分がある。あのビデオだけを見ていると、強姦しているように見えるかもしれませんが」
弁護人「覆面を被ってプレイして、それをビデオに映し出すのですね?」
被告人「はい」
弁護人「何故そういう事をするのですか?」
被告人「自分はそういう醜いことをやっている・・・・・・」
弁護人「それが視覚的に解るという事ですか?」
被告人「はい」
弁護人「準強姦で起訴されていますが、女性の立場に立って何か思うことはありますか?女性の状態について」
被告人「外国人女性ホステスは、既にドラッグをやってきている。そのために、判断できにくい状態になっているわけですね」
弁護人「今回起訴された女性に、一定の金銭を支払っていますが、何故ですか?」
被告人「ルール違反、という事です」
弁護人「どういう事ですか?」
被告人「こういう言い方で申し訳ないが、ボクシングで肘打ちをやってしまった、という事です」
弁護人「今回のプレイでは?」
被告人「プレイの内容を説明していなかった。しかし、貞操を売り渡す契約はしていました」
弁護人「プレイの内容に承諾を受けたと思っていたという事ですか?」
被告人「はい」
弁護人「2000年4月に、ブルーシー油壺に行っていますね」
被告人「はい」
 1997年の事については写真がある、Nシステムを調べれば行った事は解る、と述べる。ブルーシー油壺に女性を連れて行ったことは無い、連れて行っていないので手は無い、とも述べる。
弁護人「bさんが発見された洞窟の事は知っていましたか?」
被告人「知りません」
弁護人「平成13年Y28検事作成の調書について・・・・・」
被告人「ちょっと」
弁護人「後にして下さい」
裁判長「質問に答えて下さい」
 Aは、調書のbの件の記述に関しては「仮の話でいいからやって、とY28検事に言われて、言ってみたら、次の日には言った事が全てワープロで打たれていて、つまり、想像で書いたものです」と述べた。
 マルイ弁護人とAは、書類を見ながら何か相談をしていたが、今日の被告人質問はここまでとなった。
 どちらからかは忘れたが、請求のあった、甲51,55,72,87,107,115〜117、649,653,657、ビデオテープは、採用して取り調べる事となった。
 検察官は、乙3,4,5,12,15〜18,20,23,27,29,38,39,42,43,46,47号証を請求する。
 弁護人からは、23通の書証の取調べ請求が行なわれた。検察官は、1番は同意、2,3は留保、4、同意、5,6留保、7同意、8,9留保、10〜18同意、19不同意、20〜23は同意、と意見を述べる。
同意のあった書証については、採用して取り調べる事となった。弁護人請求のナイトウ証人については撤回される。
 検察官は、告訴の経緯及び存在についてを立証趣旨として書証を提出する。弁護人は、それに同意する。
 次回は、検察官による被告人質問であり、3月23日13時15分からとなる。

 16時30分まで予定されていたが、17時5分に終了した。

事件概要  A被告は以下の犯罪を犯したとされる。
1:1992年2月、神奈川県逗子市のマンションでオーストラリア国籍の女性に催眠導入剤入り飲料を飲ませて暴行し死亡させた。
2:2000年7月2日、神奈川県逗子市のマンションで英国籍の女性に催眠導入剤入り飲料を飲ませて暴行し死亡させた。
 その他、準強姦致傷、準強姦5件を起こしたとされている。
 A被告は、同年10月12日に逮捕された。
報告者 相馬さん


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