裁判所・部 東京地方裁判所・刑事第十一部
事件番号 平成12年合(わ)第457号等
事件名 準強姦等
被告名
担当判事 栃木力(裁判長)津田敬三(右陪席)長池健司(左陪席)
その他 検察官:川見裕之、溝口修
日付 2005.12.22 内容 証人尋問、被告人質問

 38枚の傍聴券に対し、30人前後の希望者が並んだ。締め切りは1時15分。入廷前に、荷物の預かりと、金属探知機によるチェックがあった。
 被告は、太っていて、後頭部が禿げ、前髪が後退している。髪は白髪交じり。口髭や顎鬚を生やす。黒いスーツ姿で、黒眼鏡を掛ける。開廷前に、何か書類を見ながら、弁護人と話をしていた。
 検察官は、三十代位の男性と、眼鏡を掛けた太った40代ぐらいの男性。
 弁護人は、確か3〜4人は居た様な気がする。

 公判は、1時30分から、425号法廷で開廷した。
 本日は、先ずは証人尋問が行われた。証人の名前は聞き落としたが、証言からすると、X1という姓だと思う。証人は、黒スーツ姿の5〜60代ぐらいの男性。がらがら声で、相手の言う事を最後まで聞かずに喋る事がしばしばあった。
 証人は、宣誓を行う。その後、偽証罪の注意について、裁判長は強い口調で述べた。
 先ずは、眼鏡を掛けた、下原弁護人による証人尋問。

−下原弁護人の証人尋問−
弁護人「証人は、X1組の組長」
証人「はい」
弁護人「何時からある組?」
証人「大正15年」
弁護人「子分は何人?」
証人「十数人」
 Y1は頼りになる部下で、また、証人を慕っていた。相談もされていた、と、証人は述べる。
弁護人「相談に乗ってやった?」
証人「はい」
弁護人「X1さんの所で、何を?」
 Y1は、運転手のような事をやっていたらしい。
弁護人「それは、Y1が自ら望んで?」
証人「はい」
弁護人「それ以外には」
証人「不動産関係のトラブル、労働者の派遣」
弁護人「何でもやる?」
証人「はい」
弁護人Y1はS、スピードをやっていた?」
証人「はい」
弁護人「売ってもいた?」
証人「そうですね」
弁護人「何処で?」
証人「新宿のあたり」
 客は、日本人も外人もいた。また、Y1は、体も悪く、2月頃肝臓の病気を再発。その時は手術しなかった
弁護人「平成12年の夏頃手術しなかったのは?」
証人「解らない」
弁護人「病名は?」
証人「肝硬変、ですかね」
証人は、Y1の入院の身元引受人になっていた。Y1の家は三鷹にある。
弁護人「Y1の職は、何と記載を?」
証人「無職で、生活保護、と」
弁護人「Y1の体格は?」
証人「痩せていました」
弁護人「髪は?」
証人「長いです」
弁護人「身長は?」
証人「165センチくらい」
指の欠損、刺青は無し。
弁護人「暴力団員には?」
証人「見えない」

 続いて、眼鏡を掛けた50代ぐらいの木村弁護人の証人尋問

−木村弁護人の証人尋問−
弁護人「Y1から、Aの話は?」
証人「平成12年のAの逮捕ぐらいに、話を聞いた」
弁護人「内容は?」
証人「六本木のマンションのトラブルで相談を受け、仕事をした」
証人「Y1も顔が広いな、と思った」
弁護人「平成12年10月の話」
証人「はい」
弁護人「Y1から、bの話は」
証人「平成13年の12月の初め」
証人「(Y1の入院は?)12月20日からですが」
証人「(話を聞いたのは?)その1日、2日前と」
 車に乗って二人だけの時、聞いた。
証人「(Y1は)非常に悩んである事があり、相談したい事がある、と」
弁護人「Y1の悩みは?」
証人「b事件の事」
弁護人「どのような?」
証人「平成12年ごろ、(Y1に)A氏から連絡が入り、冷凍保存していた愛犬の墓を、犬の命日に作って欲しい、と」
弁護人「何時?」
証人「平成12年6月の話と」
弁護人「(場所は)何処とか、報酬は?」
証人「Aの伊豆にある別荘で、Y1の他にも一名。50万円と」
弁護人「犬の命日は」
証人「7月に入ってと」
弁護人「Y1は作ったと?」
証人「いいえ」
弁護人「Y1は何と?」
 Aから電話が入り、その電話でAは、伊豆の別荘で体の大きい外人ホステスが如何とか言っていたらしい。
弁護人「伊豆と言ったが、逗子ですね?」
証人「はい」
弁護人「それで?」
証人「別荘に行って、ホステスを東京まで連れて行ったと」
弁護人「ホステスは誰と?」
証人「bと」
弁護人「Y1は、b以外に誰か居たと?」
証人「いいえ」
弁護人「部屋にはbだけ」
証人「はい」
弁護人「bは?」
証人「トリップ状態だったと」
弁護人「bのやっていた薬はどういった物か?」
証人「しました」
弁護人「どんな」
証人「錠剤のドラッグを何十錠も持ち、瓶に入った透明な物を吸ってもいた」
弁護人「他には?」
証人「Sが欲しいと言われ、(Y1は、bに)たっぷり与えた、と」
弁護人「外国人は、Sと?]
証人「スピードと言う」
弁護人「与えられるほど、bさんは金を?」
証人「100万円以上持っていたと」
弁護人「bさんの死因は?」
証人「覚醒剤のやりすぎでショック死したと」
弁護人「Y1の目の前で?」
証人「はい」
弁護人「覚醒剤をやる方法は?」
 鼻から吸う方法が一般的だが、bさんがどのような方法で使用していたかは聞いていない、と証人は述べる。
弁護人「副作用は?」
証人「10月ぐらいに」
弁護人「蕁麻疹?」
証人「はい」
弁護人「逗子から連れ出してから、死亡するまでの期間は?」
証人「聞いていない」
弁護人「死亡するまで薬を使っていたと?」
証人「はい」
弁護人「薬以外に食べたものは?」
証人「生野菜などを食べた、と」
弁護人「Y1は生野菜が好きだった」
証人「はい。あと、巨峰を」
弁護人「Y1の好きな物をbさんに与えた」
証人「はい」
弁護人「bさんは何処で死んだと?」
証人「それは聞いてません」
弁護人「死体を如何したと?」
証人「何処と、具体的には言っていない」
弁護人「Y1の目の前でショック死したと、Y1はAに正直に伝えた?」
証人「いいえ」
弁護人「何と?」
証人「bと薬をやっていて、ショック死したと」
弁護人「Y1の悩みは?」
証人「Y1の目の前で(bが)ショック死したので、組に迷惑がかからないようにしよう、と。Y1も頭がおかしかったので、この件を話したほうがいいのか、実家の事もあって悩んでいた」
弁護人「Aはb事件について黙秘しているが、Y1はbの話が出ることについて心配を?」
証人「していました」
弁護人「Y1は、Aに本名を教えた?」
証人「いいえ」
弁護人「薬を与えすぎてbがショック死した事を、Y1はX1さん以外に話を?」
証人「いや、他に誰にも言っていないと」
弁護人「X1さんは、詳しく話を聞きたいとは?」
証人「言いました」
 翌年の新年会のあと、詳しく話を聞くつもりだった。
弁護人「Y1の死亡は?」
証人「4年前の12月22日」
弁護人「今日が命日」
証人「はい」
弁護人「(Y1の)死因は?」
証人「肝臓癌ということになっているが、覚せい剤の打ちすぎでショック死だと」
弁護人「12年の夏頃、病院には?」
証人「事件があって行かなかったと」
弁護人「Y1の死ぬ前の事は?」
証人「電話がかかってきて、訳の解らない事を」
弁護人「何を?」
証人「bが燃えるとか、燃やしているとか」
弁護人「取り乱していた」
証人「はい」
弁護人「新年会の後話を聞いて、如何するつもりだった?」
証人「出頭させるか決めようと」

 次は、5〜60代の眼鏡をかけた男性の、前田弁護人が証人尋問を行う。

−前田弁護人の証人尋問−
弁護人「Y1は、bは薬を与えすぎてショック死したと」
証人「はい」
弁護人「場所は」
証人「詳しい事は。新年会の後聞こうと思っていたので」
弁護人「Y1は英語が喋れた」
証人「はい。商売で外人と話したり」
弁護人「Y1はワープロを持っていた?」
証人「一回だけ、報道されてる頃、車の助手席にあったのを見たことが」
弁護人「何時ごろ?」
証人「bが失踪した事件が報道された後ごろ」
弁護人「同じ頃、Y1が油壺に行ったのを聞いたことは?」
証人「あります」
証人「ロンドンとか言うブラジャーを探しているのを聞いたことがある」
弁護人「如何思った?」
証人「三浦に女がいると」
弁護人「伊豆大島にY1が行った事を聞いた事は?」
証人「あります」
証人「行ったかは解らないが」
弁護人「Y2という中国人のことをY1から聞いた事は?」
証人「あります」
弁護人「どういう知り合い?」
証人「若い中国人で、英語が上手いと」
弁護人「Y1に中国人マフィアの知り合いは?」
証人「いたと思う」
弁護人「中国人マフィアについて、Y1は何と?」
証人「人でも何でも平気でやると」
弁護人「Y1は、何でも屋をして、ドラッグを売っていた」
証人「はい」
弁護人「珍しい?」
弁護人「新宿西口でドラッグを売りさばいていた」
証人「はい」
弁護人「そのSを、bさんが欲しいと言って、あげたと」
証人「はい」
弁護人「それを、間違いなく聞いた?」
証人「はい」
弁護人「あげたとは、bさんに売った?」
証人「はい」
Y1は、死体遺棄の時効についても、話していたらしい。
弁護人「葡萄の巨峰や、生野菜を、bさんに与えた」
証人「はい」
弁護人「Y1は、暴力団員?」
証人「まあ。でも、そうは見えない」
弁護人「Y1は、Aに暴力団員とは?」
証人「言っていないと」
弁護人「Y1は、円形脱毛症に?」
証人「はい」
弁護人「b事件報道の頃」
証人「はい」
証人は、Y1が落ち着きがないと思った。
弁護人「bさんの死体発見、Aの、4月27日の起訴の頃、Y1が言っていた事は?」
証人「・・・・」
弁護人「bさん事件で何か」
証人「・・・・」
弁護人「今の話では、Y1は関わっている」
証人「はい」
弁護人「心配は?」
証人「大分悩んでいた」
証人「その事だと解りました」
弁護人、Y1の肝臓の注射について尋ねる。
弁護人「Y1の事を、その頃、X1さんは如何考えていた?」
証人「何でもやる便利な男と」
弁護人「Y1は睡眠剤を常備していた?」
証人「していました」
弁護人「どのような?」
証人「言ってもらえれば」
弁護人「ビビットエースと」
証人「聞いたことがある」
弁護人「覚醒剤と併用していた」
証人「はい」
弁護人「そういうことはよくある」
証人「そのようです」
弁護人「副作用が生じたとY1は言っていた」
証人「蕁麻疹が出来たと」
弁護人「蕁麻疹の薬の服用は?」
証人「聞いていました」
弁護人「どんなものかは?」
弁護人「ポララミン、キスタール・・・」
証人「聞いたことがある」
弁護人「キスタールは聞いていた」
証人「はい」
 他の睡眠薬についても質問する。
弁護人「Y1は、b事件について、X1さんの組については?」
証人「悩んでいたと」
弁護人「Aさんの関係は?」
証人「何も言ってません」
弁護人「X1さんから、Aさんについて質問は?」
証人「しません」
弁護人「Y1は、Aについて何か?」
証人「言ってません」
弁護人「X1さんは、Aについては」
証人「知りません」
弁護人「調査会社から、Y1を探しているとは」
証人「ありました。Y1を探していると」
弁護人「他の所から問い合わせは」
証人「ありません」
弁護人「他の組からは」
証人「あります」
弁護人「問い合わせの記録は」
証人「記録しませんので」
弁護人「X1さんは、Y3主任弁護人に陳述書を書いている」
証人「はい」
弁護人「何故?」
証人「他の所に迷惑がかからないように」
証人「それと、部下の不始末は、上の者が始末をつけると」
弁護人「陳述書を書くまで三年あるが、何故?」
証人「悩んだが、このような大事件に関わりたくなかったし、九州の実家の者が不憫と」
弁護人「X1さんに、泣きながら、死の直前、Y1が電話を・・・・」
検察官「泣きながらとは、さっき言っていない」
証人「泣いてもいましたけど」
証人「bを燃やしているとか、訳の解らない事を」
証人「ニュージーランドに行くとも言っていた」
弁護人「言ったか言っていないか」
弁護人「なぜそう言ったと?」
証人「注射をやりすぎておかしくなった」

 30代の溝口検察官の証人尋問

−溝口検察官の証人尋問−
検察官「Y1からは、bさんの報道の時と、死ぬ前に一度ずつ?」
証人「はい」
検察官「Y1と知り合ったのは」
証人「平成12年ごろ、Y1が家の内装をすると」
検察官「盃を交わしていない」
証人「はい」
検察官「それで何故、Y1と親しく?」
証人「何故か慕ってきた」
検察官「それで、貴方も?」
証人「はい」
検察官「Y1の家族の関係も聞いた?」
証人「はい」
検察官「Y1の前科については」
証人「逮捕もあるだろうが、余り聞いていない」
検察官「車の中で聞いたというが、何処から何処に向かう車の中?」
検察官「告白を受けたとき、Y1さんから先ず何と?」
証人「b事件のことで悩んでいる事がある、と」
検察官「それで?」
証人「今12月で忙しくなるから、今話せと」
検察官「b事件の事です、の次は?」
証人「bが薬の打ちすぎでショック死したと」
証人「どういうあれでしたのか、と(証人が)言ったら、(Y1は)Aから、犬の墓を作ってくれ、と」
検察官「bの死の状況を聞いていない」
証人「聞こうと思った」
検察官「それで、bさんが何処で、何時亡くなったか聞かなかった」
証人「はい」
検察官「何故、Aの依頼の話を聞き、bの死の状況を聞かない?」
証人「びっくりして」
検察官「貴方も、bさんの死の状況に興味があった」
証人「はい」
検察官「なのに、何故Y1は、Aの依頼の事を長々と?」
検察官「それで、貴方も聞かなかった」
証人「知人の所とは聞いていた」
検察官「調査会社から、Y1を知らないかと、問い合わせがあった」
証人「はい」
検察官「それで、どんな?」
証人「Y1を知らないか、と」
検察官「それで、調査会社からは?」
証人「ありませんが、宣誓から問い合わせがあり、陳述書を書きました」
検察官「平成16年末まで、陳述書を書こうか迷っていた。何故書こうと?」
証人「このままにしておくわけにはいかない。他の所に迷惑もかけたくない」
検察官「何故、Y1について、この件と思った?」
証人「Y1から聞いていたので」
検察官「Y1は、組に関係ない」
証人「はい」
検察官「他の組に迷惑がかかると言うのは?」
検察官「どういう迷惑?」
証人「まあ、嫌でしょうし」
検察官「(Y1が)いません、と言えば済むのでは?」
証人「色々調べられると」
検察官「陳述書には何と?」
 思い出して書いた、と説明する。
検察官「メモは?」
証人「ありませんが、思い出して」
検察官「先程、Y1が、犬の墓を作って欲しいとAに頼まれた事も?」
証人「大体正確だと」
検察官「日付は覚えられる?」
証人「今までは良い方だが、最近は」
検察官「Y1が、被告の六本木のマンションに行った事がある、と言う話を聞いたのは何時?」
弁護人「六本木のマンションに行ったと言った?」
証人「いいえ」
検察官「すみません」
検察官「(一度会ったという)話をしたのは?」
証人「告白を聞いたときです」
検察官「それ以前に、Y1から、被告の話を聞いたことは?」
証人「ありません」
証人「実はAとあったことがある、二、三回会った事がある、と」
検察官「いつ話を?」
証人「Aが騒がれている頃」
検察官「何時?」
証人「平成12年の7月過ぎ」
検察官「Y3主任弁護人に陳述書を渡して、証言まで一年経っている」
証人「はい」
検察官「その前に、弁護人と話は?」
証人「はい」
検察官「何回?」
検察官「陳述書を渡してから、どのくらい経ってあった?」
検察官「その時は、どんな話?」
証人「記憶が良いね、と言われた」
検察官「被告の裁判の話は?」
証人「聞いてません」
検察官「被告が裁判で何を話したかは?」
証人「いいえ」
検察官「その後、二回打ち合わせを」
証人「はい」
検察官「何時と何時?」
証人「今月22日に証人喚問で呼ばれる、と」
検察官「その前は会っていない」
証人「はい」
検察官「それで、何回?」
証人「一、二回」
検察官「どのくらい?」
証人「2,30分」
検察官「どんな話?」
証人「証人尋問で呼ばれると」
検察官「具体的な話は?」
証人「陳述書に書いてあること、と」
検察官「打ち合わせは?」
証人「しました」
検察官「それで30分?」
証人「一時間かも知れない」
検察官「これ(陳述書)はワープロで?」
証人「はい」
検察官「貴方が?」
証人「はい」

−カワベ検察官からの証人尋問−
検察官「X1組組長さん」
証人「はい」
検察官「Y1とは平成10年ぐらいに知り合った」
証人「はい」
検察官「きっかけは」
証人「事務所の内装のときに口を利いてくれた」
検察官「シャブを打っていることは?」
証人「Y1から聞いた」
検察官「やっているのは?」
証人「解ります」
検察官「使っている事は?」
証人「様子で」
検察官「どうなる?」
証人「訳の解らない事を言う」
検察官「他は?」
証人「引きこもって出てこなくなる」
検察官「怒りっぽくは?」
証人「なる」
検察官「泣き出すことは?」
証人「ある」
検察官「どんな相談にのっていた?」
 証人(Y1は)体が悪かったので、その事で」
検察官「よく会っていた?」
証人「はい」
 東京に居る時には顔を出していた。
検察官「平成13年入院前に告白を受けた」
証人「はい」
検察官「その前に会う機会は」
証人「ありました」
検察官「当時も、Y1は三鷹に住んでいた」
証人「はい」
検察官「週1,2回は会うのでは」
証人「はい」
検察官「運転手をしてもらった」
証人「はい」
検察官「盃を交わしていないが、組員と同じに見られた」
証人「はい」
検察官「bが覚醒剤を使って死んでしまったと」
証人「はい。やりすぎで」
検察官「覚醒剤を売った」
証人「はい」
検察官「Y1は、何時もクスリを持っていた?」
証人「私の前ではないが、人から聞くと、持っていたらしい」
検察官「bは、100万円持っていた、と」
証人「はい」
検察官「(bが)死んでしまった後は?」
証人「ロッカーに運んだとか」
検察官「それで?」
証人「クスリをやって頭がおかしくなっていて、ああなったと」
検察官「報道とY1の話を区別して。如何したか聞いた?」
証人「それは、新年会の後に聞こうと」
検察官「死体を如何したとも」
証人「聞かない内に逝ってしまった」
検察官「Y1からそんな話を聞いて如何思った?」
証人「びっくりしました」
検察官「如何すべきと?」
証人「(Y1は)体が悪いが、出頭させねば、と」
検察官「何故最初に詳しく聞かない?」
証人「新年会の後に全てを聞いて、出頭させるか決めようと」
検察官「話を聞いたとき、貴方は(話に)興味無かったのでは?」
証人「いえ、びっくりしました」
 この後の検察官の問いに、弁護人は、(Y1が)泣き喚いていた、という件について、誤導である、と述べる。
検察官「事件が話題になっている時に、その被害者の最後を知っている」
証人「はい」
検察官「話をしようとは?」
証人「大事件でしたし、実家の事で悩んでもいたし」
検察官「(Y1の)入院先のキョウリン病院は、貴方が?」
証人「いえ、Y1が行っていました」
検察官「Y1が死んだ時は?」
証人「Y1は、自分の家で死にました」
検察官「何時退院を?」
証人「いえ、抜け出した」
検察官「Y1の家で死んだ」
証人「はい」
検察官「家の片付けは?」
証人「実家の人が」
検察官「お母さんと姉と妹?」
証人「はい」
検察官「お母さんも片付けに?」
検察官「実家の人と、Y1が死んでから会った?」
証人「いいえ」
検察官「貴方の組の人も行っていない」
証人「一人位行ったかな、でも、立会いはしてない」
検察官「Aと以前会った事は」
証人「一回も無い」
検察官「組の人間も」
証人「ありません」
検察官「仕事の関係、手紙のやり取りも」
証人「ありません」

−裁判官の証人尋問−
証言の趣旨について、Y1が油壺に行った事について、質問する。
証人「(Y1が)電話していました」
証人「ブラジャーが如何したとか、知人に電話していました」
裁判官「(Y1は)何でも屋で、不動産トラブルのほかには?」
証人「何事でも、言えばやる」
裁判官「肉体労働や、技術のいる事も?」
証人「(Y1のしていた事は)労働派遣です」
裁判官「犬の墓のような、土木関係の事を、他にもしていると?」
証人「Aから聞いて、話半分で引き受けたと」

−裁判長の証人尋問−
裁判長「平成13年のY1の入院前、bの事を聞いた」
証人「はい」
裁判長「Y1の運転する車で、事務所に連れて行ってもらうまで」
証人「はい」
裁判長「事務所へは?」
証人「すぐつく」
証人「事務所の前に車を止めて話をしました」
裁判長「何故行く前に話さない?」
証人「相談にのって欲しかったと」
裁判長「何をして欲しいと?」
裁判長「(bが)クスリをやりすぎてショック死して、何を悩んでいたと?」
証人「自首するにしても、時効になってからしようか、それとも、前にしようかとも思うが、家の事を思うと悩む、と」
裁判長「クスリのやり過ぎで死んで、何を自首すると?」
証人「クスリのやりすぎだから俺には責任は無いけど、とY1も言ってましたけど」
 死体遺棄の話も出た。
裁判長「12月中にY1が死んで、Aが起訴されているのは、貴方は知っている」
証人「はい」
裁判長「何故言わない?」
証人「関わりたくなかった」
裁判長「でも、関係無い人が起訴されてるんでしょう?」
証人「Aには申し訳ないことを・・・・」
裁判長「Y1の問い合わせがきていた」
証人「(問い合わせについて)ああ、あの事だな、と」
裁判長「何故そう思った?」
証人「Y1がbをショック死させたので探していると」
裁判長「何故調査会社から聞かれているのでそう考える?」
証人「ええ・・・」
裁判長「警察でなくて、調査会社でしょう?」
証人「何か・・・・警戒心と言うか・・・」
裁判長「一般の会社とすると、金銭関係と思うのでは?」
証人「そうですね・・・・」
裁判長「何故?」
証人「そう感じてしまった」
裁判長「何故陳述書を?」
証人「先生から連絡が入り、もう、聞いた事を・・・」
裁判長「其処を聞きたいが、どの会社に、(Y1の捜索につき)如何話を?」
証人「うちにY1というのがいたと」
裁判長「それで?」
証人「先生からファックスが」
裁判長「Y3先生?」
証人「はい」
裁判長「ファックスとは?」
証人「Y1がいるなら・・・・こういう話をして・・・・」
裁判長「だから、どんな?」
証人「Y1の事で会いたい、と」
裁判長「それで?」
証人「隠しておけないと思い、会って話そう、と」
裁判長「Y1は、他の人に話していない」
証人「はい」
裁判長「なら、何故貴方は話そうと?」
裁判長「何故貴方しか知らない事実を弁護人が問い合わせしてきたと?」
証人「それは、ちょっと・・・」
裁判長「Y3先生は、どういう資格で?」
証人「Y1というのがいなかったか、と」
裁判長「誰の代理人かは話していない?」
証人「聞いてないです」
裁判長「誰がどういう理由で会いたいと言うのか、聞いていない」
証人「はい」
裁判長「貴方は、如何連絡を?」
証人「ファックスに電話番号を」
裁判長「それで?」
証人「会いました」
裁判長「何時?」
証人「提出前」
裁判長「去年の何時?」
証人「5月か6月」
裁判長「弁護人からどういう話を?」
証人「b事件でY1を探していると」
裁判長「なら、Y1は死んだと言えば良いのでは?」
証人「言いました」
裁判長「何故陳述書を?」
証人「部下の不始末を」
裁判長「Y1から貴方に話があったことは、弁護人は知らないんでしょう?」
証人「はい」
証人「黙ってしまえばばれてしまうような・・・・」
裁判長「Y1は死んでしまって知らないと言えば良いのでは?」
裁判長「何故、Y1の話を伝えようと?」
証人「・・・・」
裁判長「貴方は関わりたくないんでしょう?」
証人「もう隠しきれないと」
裁判長「どの程度知っているか解らないでしょう」
証人「そういう風に感じた」
裁判長「陳述書は何時?」
証人「去年の11月、12月ごろ」
裁判長「一年以上前?」
証人「はい」
 証人、退廷する。

 3時5分から、3時25分まで休廷となる。
 記者席は4席用意されていた。
 被告は、証言の間、後ろを向いて弁護人と話したり、書類を読んだりしていた。
 休憩中、傍聴人は退廷させられた。被告は、被告人席に座ったままだった。
 傍聴人の中には、3〜40代ぐらいの白人男性もいた。その男性は報道関係者なのか、休廷中、廊下で法廷関係者に何か質問しメモを取る、報道人の日本人女性と話す等していた。
 30分近くに再入廷が許される。被告は、証言台についていた。

 被告人質問が行われる。先ずは、弁護人から、供述調書の訂正に関する質問が行われた。
 油壺の旅館、Nシステム、bがY4という米兵と知り合った時間帯について、被告は訂正する。

弁護人「33ページの下から12行目、Y5、というのは」
被告「太陽、月、の月です」
弁護人「35ページ、10から5行目、Aさんの供述で、『何でもやる人を知っている』と言う件ですが、これでいい?」
被告「『知っているか』と」
弁護人「『か』ですね」
弁護人「弁護人の質問で、bさんを下の車に乗せるのは困難だった、という件ですが・・・・」
被告「不可能、ですね」
被告「警備員、カメラがありますし、駐車場は目立って見える。困難ではなく、不可能(笑)と」
弁護人「180センチのbさんを運ぶのは不可能」
被告「はい」
 旅館について、Aの部屋は401号室だけで、401の部屋は外から見える、と被告は述べた。Nシステムについても、時間について訂正する。
弁護人「29ページ、マキタのチェーンソーについて、1999年に発売されたと思うとあるが」
被告「前年で、98年です」
弁護人「買わなかった?」
被告「買えませんでした」
弁護人「無かったので?」
被告「はい」
 日にちについて、何か訂正する。
弁護人「油壺の旅館について。旅館内?」
被告「外です」
弁護人「12月26日46回公判。2ページの下から10行目。8割がイギリスやアイルランド」
被告「はい」
 被告の証言の細かい点、「ドラッグについて、大臣でもやる」を「代議士」に訂正するなどといった事が行われる。
弁護人「弁護人の請求している黒い物質の鑑定、証拠調べについて意見を」
裁判長「述べてください」
 被告は、証拠請求に関して、弁護人に意見を述べる。
弁護人「写真は同意していい?」
被告「してください」
弁護人「不同意を同意に撤回します」
弁護人「これで良いですか?」
 弁護人は、被告に写真を見せる。
被告「私は良いんですよ。検察官と裁判長に」
 被告は、身振り手振りを交えて答える。
 弁護人は、冊子に載っている写真を検察官と裁判長に見せる。
裁判長「240号証は全部撤回と」
被告「はい」
被告「この、bの遺体からの溢れんばかりの黒い物質。番号を振っている。黒がかっていると真っ黒は全く違うので、検査しようと弁護人は地検に行ったが、検察は、(黒い物質は)無い、と(笑)。口の中から黒い物質が溢れていて、それは分析されていると思うんですよ。真空掃除機で、私の所からは全て持っていかれました。桜田証人は、警察が持っていったと思う、と。それで、科捜研は、無い、と(笑)。黒い物質は何だったか。何故それを捜査は除去したか。三点目、大きい黒いブロック、大きいのが二つ、小さいのもあり、何故それを除去したか。4点目、誰が、どの立場の人が除去したか。五点目、それが何処に在るか。死因が不明であり、繋がっている可能性もあるわけです。裁判長から検察官に釈明を求めて欲しい」
被告は、身振り手振りを交えて述べる。
裁判長「考えておきます。今日突然言われても(笑)」
裁判長「鑑定の必要性について」
被告「述べているつもりです」
裁判長「述べて」
被告「鑑定を行っていなかった、捨てていた場合、真相究明を放棄したとしか考えられないので」
被告「証拠物に手を加えて良いか、という事なんですよね」
 被告は、眼鏡を外し、汗を拭く。
弁護人「いろんな物質が付着しているが、それが最近の写真には無い。何故それを除去したのか、と」
裁判長「そうですか」
弁護人、証拠品の日記について何か言う。
被告「それも見せて。bの日記の原本に、書き加えられているんです。書き加えてないものを求めている。日にちの改竄もされているんです」
 弁護人、検察官に見せる。
 他の弁護人は、裁判長に、bの日記に関して何か話す。
 その後、弁護人は、被告に何か見せる。
 被告は、見ている間、
「出来ないんですよ」
「手を加えられているものしかない」
「原本すら改竄されている」
「既に、漢字や日付を手が加えられている。bは漢字を書けない」
 等と弁護人に意見を述べていたが、弁護人から説明を受け、最終的には一応納得したようだった。
被告「bの日記について。開示されたものは手を加えられている。売上表、日にち。弁護人は、地検に行き、手を加えられていないものを開示したいと言ったところ、原本にも手が加えられているというので、手の加えられていないものを証拠開示したい」
弁護人「英語だけの筈なのに、日本語でも書かれている。書かれていないものを開示して欲しい」
弁護人「検察官が開示したものは日本語が書いてあり、それが原本である、と」
裁判長「つまり、原本に書き入れた」
弁護人「はい」
裁判長「それ(書き加え)を除けば?」
被告「証拠物に手を加えても良いんですか」
裁判長「価値が毀損されたならそう主張すれば」
被告「今主張しています」
弁護人「証拠開示の時に言う事ではなく、弁論です」
裁判長「最後に言いなさい」
被告「改竄された物で被告人質問を?」
裁判長「後で証拠を見て判断しますから」
 この後、スピリッツに関して、弁護人と被告で少し言い争いになる。
裁判長「次回は、X2の証人尋問です」

 期日を指定し、閉廷する。

 傍聴人は、すぐに退廷させられた。
 4時30分までの予定だったが、4時5分に終了した。
 被告は、柔らかい声の持ち主で、愛想がよく、饒舌な印象を受けた。

事件概要  A被告は以下の犯罪を犯したとされる。
1:1992年2月、神奈川県逗子市のマンションでオーストラリア国籍の女性に催眠導入剤入り飲料を飲ませて暴行し死亡させた。
2:2000年7月2日、神奈川県逗子市のマンションで英国籍の女性に催眠導入剤入り飲料を飲ませて暴行し死亡させた。
 その他、準強姦致傷、準強姦5件を起こしたとされている。
 A被告は、同年10月12日に逮捕された。
報告者 相馬さん


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