裁判所・部 東京地方裁判所
事件番号 平成17年刑(わ)第52号等
事件名 強盗致死
被告名
担当判事
日付 2005.8.9 内容 証人尋問

 被告は、眼鏡を掛けた、一見温厚そうな印象を受ける小太りの老人だった。薄い青いシャツと濃い青のズボンを身に着けている。

 この日は、証人尋問が行われた。名前を書き落としたが、確か証人は柏木信幸だったような気がする。少なくとも、Aの共犯者ではあった。
 証人は、丸顔の老人で、白いスラックスを身に着けていた。

−弁護人からの尋問−
弁護人「前回、貴方はこの法廷で証言しましたね」
証人「はい」
弁護人「貴方の記憶に基づいた事実の証言だね」
証人「はい」
弁護人「Aに対し、出来るだけ罪が軽くなるように思っていると言いましたね。事実を曲げていませんね」
証人「それはありません」
弁護人「捜査段階での貴方の供述、検察の前で述べた事と、食い違っているとこがありますね」
証人「はい」
弁護人「検察から供述の際に脅迫を受けた事は無いんでしたね」
証人「はい」
弁護人「前回の証言と捜査段階と、どちらが本当かですけど、今(つまり、前回)の方がよく覚えていると述べていますが」
証人「はい」
弁護人「そちらの方が正しい?」
証人「それははっきり解りません」
証人「証言のどのポイントが違うかわかりません」
弁護人「何処が違うか指摘されなければ解らないと」
証人「はい」
弁護人「貴方がこの事件にAを誘い込むとき、金を取るんだとはっきり言ったかが問題なんですが、検察官の取調べの時、『元やくざの私としては、金を持っている詐欺師をかくまうと言えば、Aさんも暴行を加えて金を取るという事は解ると思ったので、詳しくは言わなかった』と言っていますが」
証人「社長に貸した金を回収するとは言いました」
証人「Aさんを誘ったのは、私ではなくBという人で、その後、自分の所に来ました」
証人「(金を取る事について)言っていないと思います」
弁護人「馬鹿丁寧には言っていない」
証人「そうですね」
弁護人「この前の法廷の証言で、Aさんに金を奪うことについて話したかということについて、はいと言いましたね」
証人「Bに対しては」
証人「(Aにも)家にいる時に言いました」
弁護人「さっき話していないといったのは間違い?」
証人「はい」
証人「其の時、二人一緒にいましたから」
弁護人「二人居る時に、金を回収すると?」
証人「はい、それは言いましたから」
弁護人「他にもいろいろ違う点があって、証言している今日の方がはっきり覚えているといっていますが、それは本当に?」
証人「それは、冷静になって考えられますから」
証人「(冷静か否かについて)そういう風に思われますね」
証人「両方とも、こう・・・・(口ごもる)」
弁護人「貴方の弁護人と、この証言について打ち合わせをしました?」
証人「無いですね」
弁護人「貴方と私は」
証人「無いですね」

 これで弁護人の尋問は終了。余りにも早く終わったのが意外だったのか、裁判長は「終わりですか?」とAの弁護人に訊ねていた。
 裁判所が証人尋問する事がないか検討するため、5分間休廷となる。弁護人に尋ねた時、裁判長は少し困ったように笑っていた。

−裁判長の証人尋問−
裁判長「じゃあ、被告人は前に来て」
裁判長「裁判所から聞きますが、Aと何が話されたか聞きます」
裁判長「ロッテ会館で、Dから、被害者に貸している金を回収しようという話があったんですね」
証人「はい」
裁判長「BやCにも?」
証人「Bにある程度の話をしていると思いますけど」
裁判長「Bが、Aと二人でやります、と言っていたんですね」
証人「Bが、二人でやりますと言っていました」
裁判長「被害者を拉致監禁して、Dが貸した金を回収すると話しましたね」
証人「はい」

 これで証人尋問は終了。次回期日を指定し閉廷する。30分程度で終わった。

事件概要  A被告は他4被告と共に、2004年9月24日、東京都江東区の路上で会社経営者の男性を拉致監禁し、50万円やクレジットカードを奪い、その後殺害したとされる。
報告者 相馬さん


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