裁判所・部 | 東京地方裁判所・刑事第九部 | ||
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事件番号 | 平成14年合(わ)第543号、第551号等 | ||
事件名 | 銃砲刀剣類所持等取締法違反 殺人未遂 殺人 出入国管理及び難民法違反 | ||
被告名 | BことB’ | ||
担当判事 | |||
日付 | 2005.3.23 | 内容 | 論告求刑 |
この日は論告求刑が行われた。被告の容貌については書き落としてしまったが、丸坊主で目付きの鋭い男だったような記憶がある。 −論告− 被告は殺意を否認するが、 ・被告等中国人グループと暴力団に双方に怪我人を出す乱闘をした ・自分のアパートの住人を退去させた ・Aが拳銃を出して発砲した ・aを死亡させ、もう一人に治癒不可能な後遺症を与えた などから殺意は明らかである。 被告人は乱闘後、Aら中国人グループと路上へ行った。その後、銃をもってこい、などと話した。「やくざは金を取るつもりだ」「金を渡したら、歌舞伎町での俺のメンツがつぶれる」とも言った。 あえて被告人に不利な供述をする理由がないので、共犯者ら4人の証言の信頼性は高い。 被告人は、自分の身の危険を感じていた。「携帯の電源が入っていなかったら死んだと思ってくれ」とも言っていた。 aらc組の人間が風鈴ライターに結集していたので、aらとの交渉が決裂した時はAの合図で一斉に撃つ事を共謀し、拳銃を持って出かけた。Aは「俺が一発撃ったら続けて撃て、拳銃を持っていない者は持っている奴の隣に座れ」等と言っていた。 被告は、「拳銃を発砲してやくざを殺す事が解りました。やくざを殺して喧嘩に勝たねばうちに帰って来れないと思いました」と述べている。 現在は、不合理な弁解を重ねている。(犯行前は?)「生きて帰ってこれるか解らない」など、重苦しい表情で述べていた。 aは、謝罪や弁償を求めたが、Aは「此方にも怪我人はいる」等と言い、つっぱねた。aは、「日本語は解ってるんだろうな、言葉を間違えるなよ」と言った。 被告は、(発砲後)bを足で踏みつけるなどした。被告は、Aがbを撃った後、蹴ろうとしたが、bに逃げられた。 被告は、グループにおいてAにつぐ年長者、被告はAと共に交渉に当たっていた、等のことから、グループ内でAに次ぐ地位であった事は明白である。 パリジェンヌにおいて、被告人も、殺意を持って拳銃を発砲するのを助けた。 Aは、被告等に「今日はみんなに集まってもらう。ピストルを持って奴らと戦う」等と述べた。 被告は、(解散した後)リサに赴き、Aらと合流。被告は、「こうなったらやるしかない、絶対にやろう」と、Aが「俺が撃ったらみんな撃て」等と言った後に述べ、中国人グループを鼓舞した。 bは、被告に、Aから引き離され、撃たれて転倒し、頭部を狙撃されそうになった。 被告等が殺意の事前共謀をもって合流している事は明らか。 「私は、Aら拳銃を持っている人を助け、やくざとの喧嘩に勝ちたいと思い、パリジェンヌに向かいました」等と被告は述べた。 (その後は?)「リサへはAに誘われていった」 「拳銃を持っていると知らなかった」 「何故Aと同席する事になったか解らない」 「(被害者らと?)口論になり、Aが『それなら喧嘩してやろうぜ』等と言った」 「撃ちあいになったので私は逃げた」 等と供述を変遷させている。理由を聞かれても「捜査段階での供述の記憶が無い」等と述べており、変遷させるのに合理的な理由が無い。 被告人の本件加担の意図は明らかである。殺傷能力の高い拳銃を大量に所持しており、パリジェンヌでは極めて緊迫した状況で交渉が行われる事は予想していた。被告人も撃たれて死亡する危険が予想できた。被告人は、被害者らに対する確定的な殺意と事前共謀に基づいて事件に加わった事は明白。 aは34歳で、家族には内妻と母がいた。何の前触れも無く次々と発砲され、必死で逃げ回っていた。7時間余りで絶命した。 bは、訳も解らず撃たれ、テーブルに飛び乗った被告から胸部を蹴られ、大腿部を狙撃される。まだ病院に通院する状態であり、後遺症に悩まされている。 被告等は、不法滞在者であり、強盗窃盗を行う犯罪グループの一員だった。 本件は入念な準備を経た、極めて悪質な物。犯行に使用されたマカロフは、軍でも使用されているもの。店内には7名の客がいた。一歩間違えば、客や店員にも命中する危険があった。現に流れ弾に当たったものもいる。 本件の齎した社会的影響は重大。 本件は、動機に微塵も情状酌量の余地は無い。本件は食事中のトラブルに端を発するが、それを機会に自分らのグループの勢力を伸ばそうとしたものである。自己の勢力を拡大するためには人命を何とも思わず、また、被告等は羽振りがよく、他の不法滞在者からうらやましがられていた。 遺族らの処罰感情は大きい。(aの)母は、「未だにショックから立ち直れません。今でもaのことを考えています。脳梗塞で養老院に入っているお父さんにaのことを話そうか迷いました。aを殺した被告等に死刑で罪を償わせてもらいたいです」等と述べている。 本件の被告の役割は重大。反省の情も認められない。本件において、被告の責任は、他の共犯者と比べて重大である。被告は稼動目的で香港に不法残留していたこともある。 求刑は無期懲役だった 被告は、公判が終わり、退廷する時、検察官を(恐らくは母国語で)罵倒していた。 傍聴人は、法廷の外で、「検察官の論告の激しさから、死刑が求刑されるかもしれないと思った」といった意味の事を話していた。 | |||
事件概要 | 金被告は他数名と共に、2002年9月27日夜、東京都新宿区歌舞伎町の喫茶店で、交渉のもつれから住吉会系暴力団幹部を射殺したとされる。 | ||
報告者 | 相馬さん |