裁判所・部 東京地方裁判所・刑事第二部
事件番号 平成16年合(わ)第354号
事件名 銃刀法違反等
被告名 熊谷徳久
担当判事 毛利晴光(裁判長)
日付 2005.3.18 内容 被告人質問

 開廷前、休憩室で、熊谷の前科を、あの量刑は重い等と話していた人達が居た。
被告は、スキンヘッドだった。

 検察が以下の証拠の追加。いずれも採用される。
・被告人の知人の調書
・被告人が電話で「ごめん」と言っていた、等という供述
・その知人のHさんの調書

 この日は、被告人質問が行われた。

−弁護人の被告人質問−
弁護人「貴方は本件で取調べを受けたとき、事実とは違う供述をしたことがありますね」
被告「はい」
弁護人「この供述調書の署名は貴方がしたものですね。
被告「はい」
弁護人「東京駅の放火未遂の件で、貴方は、灯油を持っていった理由として、灯油を従業員に振り掛けて逃げるためだといいましたね」
被告「はい」
弁護人「その後、私が、それは違うんじゃないの、と言った時、違うと言いましたね」
被告「はい」

−検察官の被告人質問−
検事「公判と捜査時で、貴方の話が変わっていますが、それは公判の方が正しいということですね」
被告「はい」
検事「これ以上訂正するところはありませんね」
被告「はい」
検事「自分としては事件の責任をとるつもりだったので細かいところは構わなかった、ということで正しいですか」
被告「はい」
検事「その他にはありませんか」
被告「余りありません」
検事「貴方は自分が自白したのが七月一日というのが解らなかったんですね」
被告「いえ、それは解っていました」
検事「他に捜査時と公判段階の供述が変わった理由はありませんね」
被告「はい」
検事「公判段階で変わった話は、捜査官が勝手に話にしたという事ですか」
被告「いえ、勝手にという事はないでしょう」
被告「自分がこういうことをやったんですから、言い訳は言いたくないです」
検事「何故、自分の言ったことが調書になっているのに内容を争うんですか」
被告「いえ、争いません」
検事「貴方が話してもいないのに、勝手に書かれたことはありますか」
被告「日付だけが違うと」
検事「他には」
被告「他には何も無いです」
検事「日付だけが納得できない」
被告「はい」
検事「貴方が言ったことを誤解したり、貴方が誤解したことは」
被告「少しはあります」
被告「僕もその当時は興奮していたんで、よく覚えてません」
検事「嘘をついたことは」
被告「ないです」
検事「虚勢を張ったことは」
被告「余り無いです」
検事「少しはあるんですか」
被告「無いです」
検事「犯行日時の記憶は?」
被告「覚えています」
検事「裁判になったことで死刑になるのが怖くて隠していることはありますか」
被告「無いです」
検事「(取調官が)貴方の話を聞いてくれないことは」
被告「無いです」
検事「取調べで納得できないことは」
被告「無いです。納得できないとか」
検事「何のためにお金が必要だったか」
被告「借金と、後、店がやりたい」
検事「店はディスコ店でしたっけ」
被告「はい」
検事「借金は、知人からお金を借りていて、それを二倍にして返したいということでしたね」
被告「はい」
検事「貴方にとって男気(この法廷では、おとこっけ、と発音していた。)とは」
被告「借りたものは返す」
検事「それは普通ですね」
被告「やったらやり返す、やってもらったら返す、そういうことです」
検事「貴方は周りの人から、熊谷はすごい人だと一目置かれたかったということですか」
被告「はい」
検事「そういう気持ちがこの事件を招いたんじゃないですか」
検事「自分は日本を股にかけた悪党となる、金や金や金や。というメモがありますが、これはどういう事ですか」
検事「当時としては、貴方は赤の他人に対し冷たい所があったのではないですか」
被告「いいえ、それは検事が勝手に作ったことです。私は、別に、そんな事は無い」
検事「そうだからこんな事件を起こしたのではないですか」
検事「貴方の調書には、事件になった人との戦争である、という所がありますが、これはどういう意味ですか」
検事「そういう考えから、被害者になった人との戦争だと供述したわけですね」
被告「そうです」
検事「今は如何考えます」
被告「間違いです」
被告「何の関係も無い人をやったのは間違いです」
被告「自分はこんな事件を起こしてしまったから、自分はどんな罪でも、細かい法律のことは解りません」
被告「悪いことは悪いです」
被告「まず、変装して入って、エレベーターに入って、五階に行くつもりでした」
被告「天井か壁に撃って、相手を驚かせようと」
検事「驚かなかったら」
被告「それは無いと思います。私の経験から言って」
被告「その時はその時の状況によって、一人ぐらい撃つ事になると思います」
検事「一人殺して大人しくならない場合は?」
被告「それは無いと思います。全部撃つなんてないと思います」
 裁判長が、議論になっていると注意。
被告「なるべく人を撃たないつもりにしていました。でも、やってしまった以上、もうこれはしょうがないです」
検事「山陽警備には、五人ぐらい社員が居て、もし抵抗すれば二人ぐらい殺していた、と言いましたね」
検事「お金が奪えるまで何人でも殺そうという気持ちがあったんではないですか」
被告「いえ、何人殺しても、ということは無いと思います」
検事「周囲の貴方の知人に対し、貴方は拳銃を見せていますね。何故?」
被告「男っ気があって見せてしまいました」
検事「熊さんすごいなあ、恐ろしいなあ、と思って欲しかったんですか」
被告「それほどでは・・・・・」
検事「何故貴方は、でかいことをやる、と言ったんですか」
被告「自分はそういう人間ですから、そういうことをやったと思います。男っ気のようなことをやったと思います」
検事「(キオスク事件について)灯油は何故持ってきたんですか」
被告「自分が捕まるような事になったら、火をつけて自殺しようと思いました」
検事「逃げようとして持っていったという供述がある」
被告「それはないです。500mlしかないし、自分がかぶるしかないですから」
検事「逃げるために持っていったという話は無いんですか」
被告「そういう話は無いです。自然にそういう話になってしまったんだと」
検事「何故自分を燃やさなければいけないのか」
被告「私がやったということを解らないために」
検事「誰がやったか解らない方が良いと」
被告「失敗したらもうだめです。ここに来たのは間違いなんです。責任は取ります」
検事「何故他の事件では灯油は使わなかったのか」
被告「場所が違います」
被告「(キオスク事件について)苛々していた、ここまで来たのに何も出来なかった。自分がやったんだと、そういう気持ちで。唾つけたみたいな感じです」
被告「恥ずかしいというか、そういう気持ちです」
被告「自分がこういう事件を起こした目印として、火をつけました」
被告「(目印は)Eに対してです」
被告「(他の人についてはどうかと聞かれ)それは無いです」
検事「自分がキオスクに対する強盗をやった目印つけるんなら、Eに言えば良い」
被告「落ち着いたときはそういう話はでるが、その時は出ませんでした」
検事「どのくらい燃えると」
被告「ゴムが燃えるくらい」
検事「グリスや機械油があることは解っていた」
被告「はい、ありました」
検事「(ダンボールなどを千切って撒いたことについて)何故そんなに燃えるようにしたんですか」
検事「小火になるくらいならEに知られなかったのでは」
被告「テレビに出るくらいだから」
検事「東京駅を全焼させたいと話していますが」
被告「そういうことは余り無いです。言わないです」
検事「調書読み聞かせてますよね」
被告「自分はそういうことは気にしませんでした」
 被告は、日本の駅の顔である東京駅に火をつけることによってテロと変わらないぐらいの被害が出るかもしれない、と供述していた。
検事「どのくらい燃えましたか」
被告「明るくなって、見る暇が無いです。そのままバッグを持って出てきました」
被告「一メートルぐらい・・・・よく見てません(炎の高さについてか?)」
被告「(ニュースを見て)どうも思いませんでした」
被告「ただ、怪我人が出てないな、良かったな、と思いました」
被告「(自分が話さなければ)失礼ですが、解らなかったと思います」
検事「山陽警備事件について、貴方は何故すぐに強盗をやらなかったんですか」
検事「貴方が脅したのは、知人のSさんだったんですね」
被告「はい」
検事「貴方は逃げるとき、Sさんと握手した」
被告「はい」
被告「言うなという意味で、手を握りました」
検事「横浜の強盗殺人ですが、これは服役中に計画していた?」
被告「いいえ、そういうことは無いです。突発的な出来事でした」
検事「Xさんに家族が居ることも考えていましたね」
被告「はい」
検事「どうやって金を?」
被告「先ずおしこんで」
被告「拳銃を突きつけて、黙ってろ、奥に入れ、と」
被告「撃ってしまったのは本当に申し訳ないと。申し訳ないじゃすまないです」
被告「その日は家族が居ないと思っていました」
検事「根拠は」
被告「電気がついていない、玄関が閉まっている、全然物音もしないし、居ないと思ってました」
検事「万一、被害者やその家族が抵抗してくれば、一家皆殺しにしても仕方が無いと供述していますが」
被告「それは言ってないです」
被告「余りその時は気にしませんでした」
被告「僕の気持ちを見て、そういう風に書いたんじゃないですか」
被告「僕はどうなっても良い、と言う気持ちでしたから、そういう風に書いたんじゃないですか」
検事「一家皆殺しについて、貴方はそうだと言った?」
被告「いえ、それは無いです」
被告「一家皆殺し、それは考え方がおかしいです」
検事「何故それを訂正しなかった?」
被告「何でも良いや、と思っていました」
被告「一回もしてないなあ、そういう話は。何で、そういう話を考えたのか。それはないです」
検事「Xさんは抵抗したから撃った?」
被告「はい」
検事「撃たれたとき、振り返ったんですよね。どんな様子?」
被告「びっくりしていた。腕を挙げたりして足掻いていました」
検事「貴方の調書では、顔面蒼白で脅えている様な様子だったとありますが」
被告「そういうことはありません」
検事「どういう抵抗に対して、貴方は撃ったんですか」
被告「中に入れといって、その時抵抗したから、撃っちゃったです」
検事「相手を撃つ時、何の躊躇も感じなかったんですか?」
被告「いや・・・・感じてましたね」
検事「そんな様子は無いんですがね。調書によれば」
検事「Xさんの顔面を撃ってから逃走する時に、懐中時計とかぼろぼろ落としてるでしょう。何故ですか」
検事「(被害者の)家族はどんな衝撃を受けると思ってました?」
検事「思いながら金を奪ったんですか?」

 ここで、休憩が入る。

検事「警察、検察に対する調書については、貴方は細かいことだったので訂正を求めなかったと」
被告「はい」
検事「ならば何故、法廷で訂正を?」
被告「どの部分ですか?」
検事「例えば、Xさんのところにいって、抵抗すれば一家皆殺しにする、という所について、如何でもいいから調書に記載させた?」
被告「はい、如何でもいいと思って」
検事「ならば、何故」
被告「そこばかり突いてくるからです。気持ちにも無いことを書いていたので、自分からすればそれほど大きくならないと思っていました」
検事「悪い情状にならないと」
被告「はい。ここまで来てしまったんだから」
検事「違った話は許せないと?」
被告「はい。その時はそれは違うんじゃないかと」
被告「小さい話だったので、調書のことは気にしなかったです」
検事「Xさんを撃ったのは弾みですか?」
被告「自分も焦っていた、弾みのような気持ちで撃っちゃったです」
被告「(拳銃を?)見せれば絶対に大丈夫だと思ってました。そういう感じですね」
検事「弾みで起こったなら、相当動揺したはずですね」
被告「はい」
検事「でも、貴方、この後の頃から渋谷事件の準備を始めてますね」
検事「この時期、予想外で人を殺してしまった人の行動とは思えないんですがね。全然動揺してないでしょう」
被告「その時は、まともな人間じゃなかったです」
検事「何故この時期、パスポートの申請を?」
被告「なくしてしまって、とりあえずとっておこうと思いまして。逃げようと思うなんてそんな」
検事「免許もってたんなら、身分証明書としてパスポート必要としないでしょう」
被告「いえ、一応なくしてしまった時のために持っていようと」
検事「頭丸めたみたいですが、この後も事件起こして、駅員さんどうなってもいいと思っていたんですよね」
被告「いえ、どうなってもいいなんて」
被告「金が欲しくて盗ろうと思ってやったことですけど、抵抗しようとしなければ撃つつもりはありませんですけど」
被告は、駅員の後ろから追いかけて、おい待て動くな、と言って銃を突きつけた。
被告「Yさんが引っ張ってきたから撃ってしまったんです」
被告「びっくりしたような様子でした」
検事「かかってくる様子は」
被告「その時はそういうことは解りませんでした」
検事「相手は二歩ぐらい後ずさりしたのでは」
被告「はい、そうですね」
検事「Yさんは紙袋を離さずに後ろに下がっただけなのでは」
被告「はい、そうです」
検事「貴方の抵抗しないとは、どういう」
被告「よこした時です」
検事「渡さない場合は抵抗ですか」
被告「自分はそう感じました」
検事「何故、(銃を)近づける必要が?」
被告「それは、撃てないと思って」
検事「2,30センチまで近づかなければ撃てないんですか」
被告「そうですね、やっちゃったんですからしょうがないです」
検事「何故出頭したのか」
被告「友達と相談して、自首しようと」
検事「友達と相談して?」
被告「自分の人生終わりだ、綺麗さっぱり捨てようと」
被告「人二人殺めてしまってはだめです」
検事「一人殺めた時点では思わなかったのか」
被告「いえ、その時点でも大変でした」
被告「もう事件をやりたくなかったです」
検事「なら、何故拳銃を捨てなかったか」
被告「それはないです」
検事「何故」
被告「やったことはやったことです。やったものはきちんと出そうと。拳銃は一番の凶器ですから」
被告「自分の人生、もう終わりなんです」
被告「電車の中で諦めたです」
検事「それなら、証拠品の隠滅なんかしないで、そのまま出頭すればいいでしょ」
検事「鈴木に話をしてしまい、すぐに警察が自分の身辺に来るから自首したんではないですか」
被告「いいえ」
検事「Xさんの屍を乗り越えて、渋谷事件をやっているでしょう!」
検事「何故自首する前に相談したのか」
被告「つい男っ気をだしちゃって、そういうことを言ってしまったんです」
検事「それは事件を自慢したかったということ?」
被告「まあ、そうです」
検事「なぜNHKの記者にも話したのか」
被告「自分は屋台村をやっていて、その時に来てくれた義理があったのでかけたんです」
検事「自首する気持ちの中に、被害者や遺族に済まないと言う気持ちはあった?」
被告「何と言うか、どうしようもないです。何と謝罪していいかわかんないです」
検事「人として最低の事をやった人が、どうして堂々と自首したのですか」
被告「なら、自首したら何か悪いんですか?」
 この時、被告は憮然としていると言うか、開き直っていると言うか、そんな感じだった。
被告「自首するなら堂々とした方が良いからです。自分は犯罪者ですが、国は愛してます。それだけです」
検事「被害者は如何思うと思いました?」
被告「悪いと思います。それだけです」
被告「(X事件について)聞いてくれないんです。自分も興奮していて」
被告「とっさの事ですから。はっきり言って、頭、こんがらがってます」
検事「自首した理由は、警察が自分の身辺に迫ってくるから、それなら自首しようという気持ちがあったからじゃないですか」
被告「いえ、そういう気持ちは一切無いです」
検事「貴方は、自分が堂々と自首するところを報道してもらいたいと」
被告「はい」
検事「貴方は、一世一代の自首をしたかったのでは?」
検事「それはパフォーマンスではないですか!」
検事「貴方に被害者に謝罪する気があったなら、謝罪する気が無いと書いた調書には署名しないのではないんですか」
被告「いえ、僕は、その気はあるんだが、謝罪にならないと」
検事「すぐに事件を話さなかったのか」
被告「頭がこんがらがっていて」
検事「堂々と自首するなら、すぐに全部供述するのでは」
検事「貴方が被害者に悪いと思っていたのなら、すぐに話すのではないですか」
検事「Oさんの質問に対して、やってないと言ったのは?」
相手の態度がやくざみたいだった、等と被告は供述した。
被告「相手の態度が悪いので、すぐに、関係ないよ、と」
 この後、検察官が被告の言動について質問した。
被告「いや、オフレコのつもりで言ったんですけどねえ」
検事「貴方のオフレコって?調書にならないという事ですか?」
 その意味について、被告は、政府の偉い人が如何とか、説明をしていた。
検事「横浜事件で弾がわれてるっていうのは知っていた?」
被告「まあ、大体」
検事「誰から?」
被告「いや、少し。知らない人から」
被告「いえ、関係の無い雑談ですから」
検事「前回の弁護人の質問に対して、余罪三件を話した前日の日が仮釈放され再逮捕された日だと言うのを、弁護人の再質問で言っていないと言っていますね」
検事「貴方、思い違いよくしますよね。自白された日も間違えているんじゃないですか」
検事「横浜の強盗殺人で、貴方否認してますね」
被告「俺関係ないよ、サウナ入ってたと言いました」
被告「また逮捕状かよ、と。それで、調べが若い人だったので言ってしまったんです」
検事「若い警察官をおちょくる気持ちがあったんですよね」
被告「はい」

弁護人の被告人質問に移る。

弁護人「平成十四年に、キオスクをやろうとして、自動車を盗ったということですよね」
被告「はい」
弁護人「何故?」
被告「金をごっそり入れていこうと思いました」
弁護人「共犯者を使わず一人で運ぼうと」
被告「はい」
弁護人「金が見つからず、火をつけて引き上げましたね」
被告「はい」
弁護人「引き返してまた来ようとは思いませんでした?」
被告「火をつけたので、もうだめだと思いました」
被告「自分がやったと、唾をつけたような気持ちです」
弁護人「三度目の実行で諦めてしまったのは?もう一度やろうと?」
被告「もうだめだと思いました」
弁護人「七年も八年も考えたのに?」
被告「その時は悔しかったけど、諦めました」
弁護人「貴方は、諦めは早い方なの?」
被告「はい。口に出したからには実行しますし、諦めも早いです」
弁護人「Eは、(キオスク事件について?)貴方のやった事だと知っていましたか?」
被告「薄々気付いていたと思います」
弁護人「何故渋谷では灯油を持っていかなかった?」
被告「逃げられると思ったからです」
弁護人「失敗しても逃げるのは可能だから?」
被告「はい」
弁護人「何故キオスクが失敗して悔しかったのか」
被告「金が盗れなかったからです」
弁護人「人が死ななかった事については」
被告「良かったと思います」
弁護人「何故刑務所に入っている間、Eさんにピストルを預けていた?」
被告「特別な理由は無いです」
弁護人「ピストルはあると思っていた?」
被告「はい」
弁護人「実包を撃った事は無い?Xさんを撃つまで」
被告「はい」
弁護人「弾、出ると思ってました?」
被告「はい」
弁護人「実射した事なかったんでしょう?」
被告「はい」
弁護人「弾出なくなる心配なかったの?」
被告「はい。オートマチックですから、出なくても、すぐに弾が出る、と」
弁護人「中に入れと言う言葉が、Xに伝わっていたと思う?」
被告「はい。私は大きな声で言いましたから」
弁護人「ピストルを突きつけられていることが解ったと思う?」
被告「今から考えれば、無いと思います。後ろから突きつけましたから」
被告「中華街で商売している人は、自分もそうですが、余り売り上げを銀行にもって行きませんでしたから。そういう感覚でしたから」
弁護人「気は動転していたの?」
被告「はい」
弁護人「(電話するのは)ただ、NHKであれば良かった?」
被告「はい」
弁護人「電話してどうなると思ってました?」
弁護人「報道してもらいたかった?」
被告「そういう気持ちは余り無かったんですけど、義理がありますから」
弁護人「告げておけば、義理は果たしたと」
被告「はい」
弁護人「(Y事件について)腹を狙って撃ったのか」
被告「はい」
弁護人「威嚇する余裕は無かったか」
被告「はい」
弁護人「はっきり狙いは定めていない?」
被告「はい」
弁護人「とにかく荷物を取りたかった」
被告「はい」
弁護人「現金を運んでいるのを見た事は?」
弁護人「現金があると想像しただけ?」
被告「はい」
 キオスク事件については、Eには見栄があって、自分がやった事を知らせたかった。火をつけた直後、歩いてエレベーターに乗った。五メートル離れたとき、横を振り向いたら明るくなったのが解った。六メートルぐらいの所で、火が一メートルぐらいになっているのを見た。火をつけたらすぐにそのまま歩いていった、等と被告は述べた。
弁護人「渋谷事件では、貴方は抵抗しようがしまいが撃つつもりだったんですか?」
被告「いいえ」
弁護人「自首の意味は」
被告「けじめをピシッとつけなければいけない、と」
弁護人「報道されれば言う、というのは」
被告「何も隠さない、という意味で言いました」
弁護人「放送して欲しいから言わなかったというのではない、と」
被告「はい」

 この後、次回期日を指定して閉廷した。
 被告は、この時は、真摯な反省と言うより、虚栄の為に、潔い態度を示し、謝罪の弁を述べているように感じられた。同時に、被告の露悪的な供述も、虚栄心の賜物であるように感じられた。
 また、検察にたやすく矛盾を突かれ、証言を後退させる事があった事から、余り頭が良くないのか、とも感じた。
 被告人の言動に失笑している傍聴人もいた。

報告者 相馬さん


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