裁判所・部 千葉地方裁判所・刑事第二部B合議係
事件番号 平成19年(わ)第2113号 (公判前整理手続適用事件)
事件名 A、D:強盗致傷、監禁
B:強盗致傷、監禁、傷害
C:強盗致傷、監禁、大麻取締法違反
被告名 A、B、C、D
担当判事 大野勝則(裁判長)樋上慎二(右陪席)武富一晃(左陪席)
その他 書記官:中越
弁護人:中山、鈴木、他
日付 2008.2.21 内容 初公判

 官庁街の一角にある千葉地裁では、来る裁判員制度に備えてなのか長い間庁舎の改築が続いており、白い作業シートで大部分が覆われており、裁判もプレハブのような臨時法廷で行われている。その中の302号法廷で、強盗致傷事件の初公判は始まった。
 司法記者らしい人の姿は1人も見当たらず、大部分が被告人の関係者であった。
 やや年配の男女3人や上品そうな中年男女、ぐずる赤ん坊を抱いた黒い髪の女性や眼鏡をかけた中年女性、また事件現場の工場の関係者らしき2組のカップルなどがいた。
C被告:丸刈りで痩せ型の長身。目が細くて眉が薄い。姿勢が下向きでセーターを着用。
B被告:丸刈りで痩せ型の長身。目が細くて眉が薄い。角張った顔でパーカーを着用。
D被告:髪を若干伸ばして少し小柄だがガッチリしている。黒いセーターを着用。
A被告:スポーツ刈りで中肉中背で眼鏡を掛けている。白いカッターを着用。
 大野裁判長の刑事2部B合議係では、香取リンチ殺人(斎藤俊介・高木淳雄・古徳昭元ほか)や一家毒殺未遂事件(萩野ベッキー)も係属(担当)しており、検察寄りの判決を下す傾向が強い。

 裁判長が開廷を宣言して、被告人を一列に立たせて人定質問を行う。

C被告「昭和58年1月14日生まれ、旭市在住、Z1勤務」
B被告「昭和58年12月11日生まれ、旭市在住、Z2勤務」
D被告「昭和57年8月30日生まれ、旭市在住、鉄工所勤務」
A被告「昭和57年10月25日生まれ、旭市在住、鉄工所勤務」

 検察官は髪をやや伸ばした吉岡似の若い男性で、弁護人は紳士4人。
 強盗(致傷)は詐欺系と比して、ある程度計画を練らないと起訴された場合の量刑に見合った収益を出すのが困難であるというハイリスク・ローリターンな犯罪だが、今回の事件はむしろ粗暴的な色彩の濃い犯行で、アルコールの影響も多少なりともあったかもしれない。

−起訴状朗読−
○平成19年10月17日付け公訴事実。
 被告人4名は共謀のうえ、金員を強取しようと企て、平成19年7月29日の午前4時ごろ、旭市のセブンイレブンでa当時24年に因縁をつけて連れ出し、同店の駐車場で腹部にナイフを突き付け、顔面を金属棒で殴打したり足蹴にするなどの暴行を加えて駐車中の車に押し込み、その顔面を手拳で殴打して「財布を出せ!」と言って、同人管理に係る現金9000円やキャッシュカード等4点を強取した。カードの暗証番号が合致しなかったことから、嘘を言われていると思い、「命と金どっちが大事なんだ」と言ってガムテープを巻いて有限会社Z2の作業所内に連れ込んで「正直に言えば解放してやるぞ」「てめえ、暗証番号嘘言ってんな」「海に捨てられるか山に捨てられるかどっちがいいんだ」などと語気鋭く申し向け、バットで殴打したり足蹴にするなどして、敷地内に駐車中の車を再び発進させるなどし、もっと被害者を以上に至るまでの間、脱出できないように成らしめ、加療3週間を要する鼻骨骨折や全身打撲などの傷害を負わせた。
 Cは旭市の警察署の駐車場内の車に大麻0.65gを所持しているのが発見された。
 Bは平成19年8月23日の午前3時ごろ、居酒屋「Z3」で被害者に因縁をつけて、頭突きをして、転倒した被害者に馬乗りになって手拳で殴打するなどし、加療5日間を要する顔面打撲や頸部擦過傷などの傷害を負わせた。

 裁判長は被告人に黙秘権の説明をし、罪状認否に入る。

裁判長「今検察官が読み上げた逮捕監禁や強盗致傷の事実に間違いはないですか」
C「間違いないです」
B「間違いありません」
D「間違いないです」
 弁護人が傍に言って何かを耳打ちする。
D「あのーZ2の所内の暴行のときは自分は眠っていたので分からないです」
裁判長「そこでも暴行を加えて、車を疾走させて発進させたということは知っていますか」
D「寝ていたので、どういうことをしているかは分からなかった」
弁護人「工場内での暴行の事実は、被告人には責任がなく、無罪です」
裁判長「前段だけ認めると」
弁護人「はい」
A「間違いないです」
 弁護人もそれぞれ「同様です」と述べ、裁判長は検察官の立証になったので「座って聞いていてください」と被告人らを着席させた。

−冒頭陳述−
 検察官が証拠により証明しようとする事実は以下の通りであります。
 まず4名の身上・経歴等ですが、被告人Cは千葉県内で生まれ、高校を卒業後、会社員やとび職などの職を転々とし、両親と同居していました。前科はありません。
 被告人Bは千葉県内で生まれ、高校を中退後、土木作業員などを経て鉄工所で働いていました。両親や妻と同居し、前科はありませんが、窃盗による前歴が1回あります。
 被告人Dは千葉県内で生まれ、高校を中退後、土木作業員などを経て鉄工所で働いていました。A方や知人方を転々としていました。前科はありませんが、業務上過失傷害で2回、傷害で1回の前歴があります。
 被告人Aは両親が経営する鉄工所で働いていました。Aには組織犯罪処罰法、詐欺の前科が1回、傷害や恐喝の前歴が6回あります。

○被告人4名にかかるもの
 犯行に至る経緯であるが、DとBとCは居酒屋で飲酒後、風俗店に行ったが、女性従業員のサービスに不満があり、レストランでDがBとCにコンビニで因縁をつけて金を取る計画を話し、友人のAもレストランに呼び出して「誰かブッ飛ばして金取っちゃうべ」と言って、Aも賛同し、旭区のコンビニのアサトZ5店で座り読みをしていた被害者に因縁をつけて店外に連れ出し、腹部にナイフを突き付けて、こもごも被害者に殴る蹴るなどの暴行を加えたり、Bは金属製のバットで殴打するなどした。
 Cは見張りをして、店員が通りかかったときに口止めをした。
 車内でCとDとAはこもごも被害者を殴打していたが、Bが被害者の着衣から財布を取り出し、キャッシュカードやビデオレンタルカードなどを奪った。被害者からクレジットカードの暗証番号を聞き出そうとしたが、被害者は失念しており適当な番号を言ったため、コンビニのATMで現金を引き出すことに失敗した。
 その後Aの父親が経営する鉄工所に連れ込み、BとAは金属製のバットで殴打した。
 被害者はセブンイレブンに駐車中の車がお金があると言ったので、そこに向かったが、通報により臨場していた警察官の姿を発見したため断念した。
 着衣に多量の血液が付着した被害者に着替えをさせ、警察官から携帯電話に電話があったときは被害者に成りすますなどして、監禁を継続した。
 午前8時ごろ、警察に通報しないよう被害者に口止めしたうえで通りの路上で解放した。
 被告人らは2ヶ月にわたって逃亡し、その間口裏合わせをしたり、Cはナイフを投棄するなどした。結局セブンイレブンに設置された防犯カメラの画像により逮捕された。

○Bにかかるもの
 BとDは平成19年8月23日、飲酒したうえさらに飲酒しようとしたところ、居酒屋「Z3」の駐車場で「こいつさらっちゃうべ」と言い、Bの顔を知っていた被害者が「bです、顔知ってますよね」と言ったところ、態度が生意気ということで、頭突きを加えたりしたが静止され、被害者は警察に通報した。

○Cにかかるもの
 Cはかねてより大麻や覚せい剤の使用を繰り返していたが、密売人から買った大麻の残りを、平成19年9月27日に逮捕されたときに、車中に残していたことから警察官により発覚した。

−D被告の弁護人−
 Dはセブンイレブン「Z4」店を出たところからウトウトし始め、Z2における暴行には眠っていて関与していない。
 情状としては強盗がDの提案であることは争わないが、主導的なのはAやBで、むしろ関与は消極的で、途中から眠ってしまいZ2内の暴行には加わっていない。
 反省して謝罪しており被害弁償をすることを考えていて、伯母であるY1が示談に向け努力している。
 被告人は未だ25歳で独身であり、2回の罰金前科のほかは前科はなく、更生は可能だ。

 裁判長が訴訟指揮で、公判前整理手続きの結果、DはZ2内における暴行には関与しておらず、3名の被告人についてはそれは争わないこと、弁護人は情状証人等から立証していくこと、同意があった証拠は採用して取り調べること、次回については2名ずつ(DとA、BとC)とすることを決定した。

−検察官の要旨の告知−
○甲号証
・被害者の供述調書(「犯人にナイフのようはものを宛がわれ、本当にこのまま殺されると思った。あまりにも強い恐怖を感じたため、事件後どんなお客さんが来るか分からないという接客のときにも恐怖を感じた。鼻を骨折し、歯を折られた。2人しかいない職場だったので、勤務先の同僚1人にも迷惑を掛けた。恐怖で何もできなかった。犯人はこのような酷いことをしたので、一生刑務所に入れてほしい。できる限り重く厳しい処罰をしてくれることを心の底から願っています」)
・被害者の診断書(医師による、全治3週間を要する鼻骨骨折などの診断結果)
・被害者の、顔面が腫れ上がって、鼻の辺りから出血した写真で、着衣はワイシャツの胸からお腹あたりにかけて多量の血液が付着し、ネクタイは血だらけであった。
・犯行関係書
・被害者立会いのもと被害再現の実況検分調書(セブンイレブンで取り囲まれて殴打され、車中ではナタのような金属製の棒で殴打されたこと)
・Z2の概観と中の状況
・「Z5」店の防犯ビデオの画像で、被告人らが被害者を発見して連れ出す様子が記録されている。
・コンビニ店員の供述調書で、警察に通報するに至った経緯を話している。犯人(C)から「店員さん、チンコロすんなよ」と口止めされた。
・Aと思われる男がATMを操作している画像で、被害者のキャッシュカードが使用された裏付け状況
・警察官と携帯電話に出た者とのやりとりで、被害者のふりをして警察官に対応した記録がある
・マクドナルドにおける防犯ビデオに、被害者を監禁継続中のAやCの容貌やCが運転していた自動車のナンバープレートが映っている
・Cの供述に基づき、Dが使用していたと思われるナイフの写真を示したもの
・Bの車内から押収された鉄棒
・引き当り結果報告書
・ここからはBの傷害事件の証拠関係で、被害者は鼻血が止まらない状態で歯も欠けたが、一切謝罪はなく治療費も自分で拠出した、もともと腰痛持ちだったこともあり1ヶ月間ぐらい仕事ができなかったという証言
・被害の再現状況で、Bに馬乗りになられて殴打されたこと
・被害者の負傷状況を示したもの
・現場についての実況検分報告書(目撃者による調書)
・Cに対する大麻取締法違反の関係で、大麻の差押さえ調書や確認状況

裁判長「えっとブツは・・?」
 検察官は証拠物をやや厳しい物言いで、被告人たちに示した。どれも透明なビニール袋に入れられていた。まずナイフをC被告に示した。白銀のペン状の細くて長いナイフ。剃刀に似ているかもしれない。
検察官「あなたがガストから持ち出してきたナイフですね」
C「はい」
検察官「もういらないね」
C「はい」
 続いて黒い鉄棒のようなものをB被告に示す。
検察官「これは見覚えありますか?」
B「あります」
 この鉄棒そのものを犯行に用いたわけではなく、これを同じようなものが使われたとされた。
 最後に袋に入った大麻をC被告に示す。海苔を四角に細切れにしたようなもの。
検察官「あなたの使っていた大麻の残りだね」
C「はい」
検察官「もういらないね」
C「はい」

○乙号証
・Cの、共謀状況や犯行状況についての検察官調書で、Aと合流してDが「誰でもいいからブッ飛ばして金取っちゃうべ」と提案して被告人自身も応じたこと。
・A、B、Dが被害者に駐車場で暴行を加えるのを見て、「このままではこの男は死んでしまうのではないか。やばいな」と思ったこと。
・店員が来たので「陽ちゃん、来た」と言って車で被害者を連行したこと。
・Z2内で、高く響く声で被害者が「ぎゃあ!!」と泣き叫ぶように言い、「勘弁してください、嘘言ってません!」これに応じて「ふざけんじゃねえよ!」というやりとりがあり、Aたちは本当に相沢さんを殺してしまうのではないかと思ったこと。
・Aから「金はお前が取ったことにしろ。お前が主犯ということにならないか。奪った金は隠せ」と言われたこと。
・Bの、共謀状況や犯行状況についての検察官調書で、Aと合流してDが「金ねえな〜誰でもいいからブッ飛ばして金取っちゃうべ」と提案して被告人自身も「そうっすね」と応じ、Aも「取っちゃえばいいっしょ」と言ったこと。
・(B自身が)被害者を自ら素手で殴り、金属バットで地面に倒れている被害者の鼻筋を目がけて殴打したこと。
・Aは体育座りでいた被害者の脛を3回ぐらい思い切り金属の棒で叩き、「勘弁してください、嘘言ってません!」これに応じて「ふざけんじゃねえよ!」というやりとりがあったこと。
・Bの前歴について
・Dの、共謀状況や犯行状況についての検察官調書で、自分から犯行をCとBに持ちかけ、Bも「やっちゃうべ」と応じ、合流したAも「生意気な奴をブッ飛ばして金取っちゃうべ」と持ちかけたところ応じたこと。
・ガストから持ち出したナイフを被害者のお腹に突き付けて「お前ナメてんじゃねえよ」と言って、太ももや腰をサッカーボールを蹴るように思い切り蹴りつけたこと。
・被害者を連行中の車中で眠ってしまい、途中で目を覚ましたこと、Z5店に行ったら警察官がいる状況であったこと。
・犯行後、Aと弁護士のところに行って何年ぐらいの懲役になるか聞きにいったこと。
・Aの、共謀状況や犯行状況についての検察官調書で、Aが「取っちゃうか」と言ったら、BとCも「そうっすね」と応じたこと。
・セブンイレブン「Z5」店において、倒れた被害者の顔面を10回以上殴りつけたこと。
・Bが肩ぐらいの高さからバットを振り下ろしたら被害者は「ギャー!」と叫んだこと。
・車に連れ込んだとき、自ら「金を出せ!」「(金額が)少ねえな」「(暗証番号を言わせるために)命と金どっちが大事なんだ」と言ったこと。
・工場内で金属の棒でBが殴っていて、被害者は「ギャー!」と叫んでいたこと。
・Aは鉄板の切れ端を相沢の口にあてがい、「山に捨てられるのと、海に捨てられるのとどっちがいいんだ」と言い、被害者は「ギャー!」と叫んだこと。
・捕まっていないときに、強盗にならず傷害になって罪が軽くなるよう共犯者間で打ち合わせしたこと。
・Aの前歴と前科の内容、前科についてはその判決謄本。
・Bの傷害事件の関係で、Dの犯行目撃状況や、Bの自白調書。
・Cが大麻所持の犯行を自白したもの。

 要旨の告知が終わると、被告人4名の弁護人は、罪体に関する質問を行っていくことを明らかにして情状関係に関する書証を何通か裁判所に出した。裁判長は「これは原本をいただいてよろしいですね」と言っていた。
 情状関係の証人尋問と被告人質問は次回行い、罪体関係でランダムで被告人質問を進めていくことにした。公判前整理手続きが終了しているので、争点は明確にされていて、洗練された質問も出なかった。
 まずC被告が証言台に立って、D被告の弁護人からの質問に答えた。

−D被告の弁護人によるC被告への被告人質問−
弁護人「何点か確認のために伺いますが、事件についてですが、Dはセブンイレブン『Z4』店に行ったときも出るときにも寝ていたことは間違いないですか」
被告人「はい」
弁護人「Z4店を出てから、Aさんのほうからコウバン(作業所)のほうに行こうよという話が出たと」
被告人「はい」
弁護人「車を運転しているあなたに作業所のほうに行けという指示があったのですか」
被告人「はい」
弁護人「Aさんが行き先を指示しているときに、Dは寝ていたのですか」
被告人「はい」
弁護人「車内で工場に連れていくことに互いに相談することはあったのですか」
被告人「いいえ」
弁護人「工場内で何をするか具体的な話はあったのですか」
被告人「いいえ」
弁護人「もちろん寝ていたDも関わっていないと」
被告人「はい」
弁護人「その工場でいろいろあったあと、車を発進させるのですが、そのときもDは寝ていたのですか」
被告人「はい」
弁護人「大網を通って旭方面に向かったわけですね」
被告人「はい」
 D被告が目を覚ましたのは、東金の古着屋に着いたあたりだという。
裁判官「被害者を車に乗せて、Z2の工場に行くとAが言い出したのはいつですか」
被告人「Z4のセブンイレブンに行くときです」
続いてC被告の中山弁護人からB被告へ質問。
弁護人「あなたはC被告人に対し、殴ったり、暴行を加えていたことはありませんか」
被告人「ありません」
弁護人「・・・。1回もないですか?C君から殴られたことがあると聞いていますが」
被告人「冗談でとかいうニュアンスで殴ったりしたことはあるかも」
弁護人「C君がD君に居酒屋とか風俗店で、代金を払っていることを知っていますか」
被告人「払っているときは見ていないです」
弁護人「遊んでいるときは誰がお金を負担したのですか」
被告人「Cさんとかが負担したと思う」
弁護人「誰が一番お金を負担していたと思いますか。飲みに行ったりするときに」
被告人「飲みに行くほど親しくない」
弁護人「あなたがC君と付き合っている目的は何ですか」
被告人「飲み仲間という感じですね・・」
弁護人「C君からタカッていた記憶はないですか」
被告人「はい」

−C被告の中山弁護人によるD被告への被告人質問−
弁護人「あなたはA君と一緒に工場内で、C君に殴る蹴るなどしたことがありますね」
被告人「ふざけて、ということはありますね」
弁護人「C君とあなたはどうやって知り合ったのですか」
被告人「サーフィンの大会で、共通の友達の紹介で知り合った」
弁護人「あなたのほうから連絡して、飲みに行くようになったのですが、しばらくして連絡を取り合ってC君を工場内に連れ込んでA君と暴行を加えたことがありましたね」
被告人「過去に自分が付き合っていた女のことで殴ったりしたことはあります」
弁護人「付き合った当初から殴っていた覚えはないですか」
被告人「ないです。ふざけてたという感じではあったかも」
弁護人「飲みに付き合っていたときは、誰がお金を負担したのですか」
被告人「C君が払ったときも自分が払ったときもある」
弁護人「半々ぐらいで負担していたのですか」
被告人「はい」
弁護人「あーそう。あなたがC君と付き合う目的は何だったのですか」
被告人「友達だから。タカるということはなかった」
弁護人「あなたはAさんと一緒にBさんを殴ったことがありますね」
被告人「はい」
弁護人「かなり大ケガを負わせて、入院もしたんですね」
被告人「はい」

−C被告の弁護人によるA被告への被告人質問−
弁護人「あなたはD君と一緒にC君を工場内で暴行を加えたことがありますね」
被告人「殴ったことはあります。2〜3回です」
弁護人「それは長時間にわたり、体中にアザができるくらいの暴行だったと」
被告人「はい」
 今回の事件との関連性を強く伺わせるものだった。
左陪席「カードの暗証番号を聞いてお金はどうするつもりだったのですか」
被告人「取っちゃうつもりでした」
左陪席「お金を分けるときは平等だったのですか。誰かが余計に取るとかそういう関係にはない?」
被告人「はい」
裁判長「本日はこれまでで」

 Aの弁護人は傍聴席の中年男女に話しかけて、Aの関係では情状証人の尋問もできると伝えたが、次回の期日に持ち越しになった。
 また次回から2名をそれぞれ分離し、結審までいくことを決め、D・Aは3月13日の午後13時15分、CとBは3月27日の午後15時からと指定して閉廷した。

 被告人が退廷したあと、被告人関係者は弁護人とそれぞれ話し合っていた。

※後日、千葉地裁はAに懲役6年、CとBに懲役5年6月、Dに懲役5年(いずれも未決勾留日数140日算入)の実刑判決を下した。控訴の申し立てはないとのこと。

事件概要  被告人らは共謀のうえ、2007年7月27日午前4時ごろ、旭市内のコンビニで飲食店従業員に言いがかりをつけて、車内や倉庫で監禁・暴行したうえで、現金9000円やキャッシュカードなどを強奪したとされる。
報告者 insectさん


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