裁判所・部 千葉地方裁判所・刑事第三部
事件番号 平成18年(わ)第1599号等
事件名 強盗致傷、住居侵入、強盗未遂
被告名
担当判事 山口雅高(裁判長)
日付 2007.2.6 内容 被告人質問等

 Cの第4回公判は、301号法廷で、13時20分から行われた。
 被告人は、前頭部から頭頂部にかけて禿げ上がった、筋肉質で浅黒い初老の男だった。顔立ちは、眉が濃く、目つきは鋭く、鼻が高く鷲鼻で、下唇がやや突き出ている。上半身には黒いジャージ、下半身にはジーンズ様のズボンを着用している。刑務官に丁寧な口調で先導され入廷し、被告席に座ってからは、やや荒く息をついていた。
 昨年の初公判の時に隣にあった、妻であるG被告の姿は、今は無い。昨年に既に懲役11年の判決が下され、一審で確定していたからである。
 検察官は、眼鏡をかけた色白の柔和そうな風貌の中年男性と、髪の長い若い女性。開廷前、書類に目を通していた。
 弁護人は、髪の短い若い男性。
 傍聴人は、私を除いて3名ほどしかいなかった。

裁判長「それでは、被告人、前に立ってください」
被告人、証言台の前に立つ。
裁判長「貴方に対して、12月22日、さらに起訴がされています」
被告人「はい」
裁判長「検察官に起訴状読んでもらいますから、良く聞いておいてください。お願いします」

○平成18年12月22日付公訴事実
 被告人は、村上ことB、及びAことA’と共謀の上、金員を強取しようと企て、平成18年3月1日午後4時15分ごろ、埼玉県春日部市梅田三丁目24番地株式会社サイゼリア、サイゼリア春日部梅田店駐車場において、同所に駐車中の現金輸送車において、現金を搬入作業中の警備員、f当時58年、及び、同g当時57年に対し、上記Bにおいて、所携の包丁を構えながら、上記fに向かって走りより脅迫を、上記Aにおいて、数メートル先から所携の自動装填式拳銃の銃口を上記gに向けて構えるなどの脅迫をそれぞれ加え、上記f及びgの反抗を抑圧して金員を強取しようとしたが、同人らが同輸送車に設置された金庫の鍵を施錠した状態で逃走したので、目的を遂げなかったものである。
罪名及び罰条:強盗未遂、刑法第243条、第236条、第60条

裁判長「貴方に黙秘権があることは当初述べた通りです。それを踏まえて聞きますが、今検察官が読んだ事実はいかがでしょうか」
被告人「問題ないです。間違いないです」
裁判長「弁護人はご意見いかがでしょうか」
弁護人「被告人と同意見です」
裁判長「それでは後ろに座っておいてください」
 被告人は、被告席に座る。
裁判長「それでは立証していただきます」

○冒頭陳述
 それでは、検察官が証拠によって証明しようとする事実は以下の通りです。
 犯行情況等ですが、被告人は、平成18年10月1日付公訴事実記載の通り、同年2月2日、共犯者村上ことB、及び、Aと共にパチンコ店ビーナス船橋店での強盗致傷事件を敢行しましたが、予定していた高額の現金を奪うことはできませんでした。
 そこで、被告人、B、及びAは、再度強盗に及ぼうと話し合い、被告人が「南越谷駅付近で現金輸送車を見た。それを狙おう」などと言って、B及びAもこれに賛成し、現金輸送車を襲撃する強盗計画を立てた。被告人らは先ず、被告人が借りたレンタカーで、同年2月下旬頃、下見のために現金輸送車を追跡したがその途中で見失った。ついで、別のレンタカーを借り、同月末頃、被告人ら3名が2台のレンタカーに分乗して、現金輸送車を追跡し、その行程を把握した。そして、被告人ら3名は現金輸送車を襲撃する場所について、人通りが少なく警察からも離れているなどの条件を考え、埼玉県春日部市梅田所在のファミリーレストランであるサイゼリア春日部梅田店駐車場他数箇所を候補とした。
 被告人ら三名の役割分担につき、被告人が自動車を運転し、Bが包丁を、Aが自動装填式拳銃を使用して、現金輸送車の警備員を脅して現金を強奪すること等を決めた。その後、同月26日ごろ、借りていたレンタカーの一台がレンタカー業者によって引き上げられたところ、同月28日ごろ、Bが被告人に電話をかけ、「明日、現金輸送車を襲う。大きい車を用意しておく。サイゼリア春日部梅田店の駐車場で現金輸送車を襲う」などと言い、被告人が、翌3月1日、千葉県松戸市内のレンタカー業者から普通乗用自動車日産キャラバンを借りた。そして、被告人は、同日午後1時ごろ、B及びAと合流し、同日午後3時ごろ、被告人はキャラバンで、B及びAは他の自動車で、サイゼリア春日部梅田店近くの店舗の駐車場に行き、B及びAはキャラバンを降りた。その後、被告人ら3名は、キャラバンの後ろナンバープレートにカバーをとりつけて偽装をするなどの細工をした上、サイゼリア春日部梅田店付近の脇にキャラバンを止め、それぞれ目だし帽を被って、現金輸送車を待った。
 警備員fおよびgが乗車した現金輸送車は、同日午後4時ごろ、サイゼリア春日部梅田店駐車場に到着した。fは、現金輸送車から下車して、同店に入り、同店の売り上げ金等を受け取った上、現金輸送車に乗った。
 被告人は、現金輸送車の到着を、B及びAに伝え、f及びgが、現金輸送車に戻って現金の搬入作業をしていたところへ、キャラバンを運転して現金輸送車に近づいた。そして、B及びAは、同日午後4時15分頃、キャラバンから下車し、Bが包丁を構えてfに走りより、Aが自動装填式拳銃の銃口をgに向けて構えた。ところが、f及びgが、現金輸送車の金庫に施錠した状態で逃走したため、被告人ら3名は現金を強取することが出来なかった。
 その後、被告人ら3名は、キャラバンに乗って逃走し、途中でBが用意していた自動車に乗り換えて、逃走した。
 以上の事実を含め、情状に関することを立証するため、関係カード記載の各証拠の取調べを請求します
裁判長「弁護人、ご意見いかがでしょうか」
弁護人「はい、あの、証拠については全て同意します。ただし、B、A、及び被告人の調書のうち、平成18年2月22日の被告人宅のやり取りの内容については信用性を争います」
裁判長「あの、三人の供述とも信用できないという事ですか?」
弁護人「えー」
裁判長「三人の供述共信用できない?被告人の供述は信用できて他の二人は信用できないとかいう事ではないんですか?」
弁護人「三人共ですね。被告人は結局このとき話をあわせていたので、同じ話になっているので、本人の認識とは違うという事です」
裁判長「ああ、それを被告人質問でご意見を明らかにすると」
弁護人「はい」
裁判長「では、要旨の告知をお願いします」

○要旨の告知
・甲165〜167:fの供述調書。「現金輸送の仕事に携わっている。そして、当日、サイゼリア春日部梅田店に行き、売上金を受け取り、現金輸送車に戻った。そして、現金輸送車の方に回収バッグを入れて、そしてロックをかけたちょうどその頃、バンのような車がやってきた。そして、目だし帽のようなものを被った男が降りて駆け寄ってきて、包丁や拳銃などが見えて、そのまま逃走した」という内容。厳重な処罰を望んでいる。
・甲168〜170号証:gの供述調書。内容はfとほぼ同様。
・甲171号証:被害者二名立会いによる犯行現場の実況見分調書
・甲172号証:被害者二名による被害当時の状況再現
・甲173号証:本件犯行に使用された拳銃について写真撮影した報告書
・甲174号証:共犯者のAによる犯行再現の実況調書
・甲175号証:Aの調書。前回のビーナス店の強盗事件が失敗に終わったが、その後、被告人湯浅のポケットの中からパチンコ店の鍵が見つかった事で、被告人に対して非常に怒った。そうしたところ、被告人から、「南越谷で現金輸送車を見かけた。あれを襲えば成功するかも知れない」と言われた。そこで、多額の現金が手に入るという事で、現金輸送車を襲う話が持ち上がった。その後、2月下旬頃、車で現金輸送車を追跡するなどし、最初一台でやったけれども見失ってしまったので、二台を使ってやるなどした。その後、同月下旬頃、被告人と連絡が取れなくなり、その後、被告人と普通に連絡が取れた段階で、被告人に聞いた所「体調が悪くて寝ていた」などといっていた事で、被告人を仲間から外そうという話も出ていた。しかしながら、Bが被告人に電話をかけたところ、被告人が言った話としてBから聞いた所では「湯浅は、金が欲しいからどうしてもやりたい、と言っているので、もう一回チャンスをやろう」という風に言っている、という話で、三人で強盗をする事に決めた。役割分担等については、下見の中や、それぞれ部屋で話をしているときに決めた。役割分担は冒頭陳述の通りです。そして、3月1日以降の犯行状況につきましても、拳銃などを用意し、目だし帽を被り、犯行に及んだ。被告人については、現金輸送車が到着した後、車を運転して、その現金輸送車の近くに車を止めておく。そして、自分(A)とBとで警備員の方に向かった。しかし、警備員はじりじりと段々下がっていき、逃げてしまった。逃げてしまっては現金を奪うことは出来ないので、諦めてそのまま逃走する事にした。という内容。
・甲176号証:共犯者村上ことBによる犯行再現調書。
・甲177号証:Bの供述調書。内容としてはほぼ同様。ビーナス事件が失敗に終わり、パチンコ店の鍵が見つかったことで、被告人を責めた。そうした所、被告人から、現金輸送車に関する情報を得た。そこで、現金輸送車を襲う事にした。追跡の状況については同様。サイゼリア春日部梅田店の他数箇所の候補も上がったけれども、最終的にはサイゼリア春日部梅田店に決めた。決めた経緯については、下見をする中で決めた。その後、湯浅が下見に来なかったことがあって、そのことで湯浅に聞いた所、「金が欲しいのでどうしてもやらせてくれ」と言ってきたので、もう一度チャンスをやることにして、「ちゃんとやれよ」と言った。役割分担については冒頭陳述のとおり。3月1日の状況についても、冒頭陳述の通り。
・甲178号証:被告人の引きあたり調書。
・甲179号証:被告人による犯行再現の調書。
 続いて、乙号証。
・乙44、45は、何れも被告人の供述調書。
・乙44号証:犯行に使ったレンタカーについて。
・乙45号証:被告人の供述調書。やはり同様であり、パチンコ店の鍵の事で、Bから怒鳴られてしまった。それで、私は、現金輸送車に関する情報を話し、これを狙おうと言った。その後の状況などについても、他の共犯者と同様の話をし、冒頭陳述でくわしく述べた通り。「2月28日の状況について申し上げます。28日になって、Bとリュウ(A)が私の部屋に来て『何で電話に出ないんだ』と言って怒鳴ってきた。『体の調子が悪くてずっと寝ていた』と答えた。Bとリュウが帰った後、Bから電話があって、「やるのかやらないかはっきりしろ」と聞かれたので、『金が欲しいのでどうしてもやりたい』という風に答えた。そして、実際に現金輸送車を襲うことになった。その日のうちに、Bから電話で、『明日現金輸送車を襲う。大きい車を用意しておいてくれ。サイゼリア春日部梅田店で襲う。逃走用の車はBが用意』などといわれたと思う。ただ、このへんについて若干記憶が曖昧で、この点についてはその前に決まっていた事もあるかも知れない」
 その他、犯行準備状況、犯行状況については、冒頭陳述で詳しく述べたとおりです。
 以上です。

裁判長「弁護人、立証どうしますか」
弁護人「被告人質問を行います」
裁判長「では、被告人、前に出てください。座ってください」
 被告人は、促され、証言台の椅子に座る。
裁判長「弁護人、どうぞ」

−弁護人の被告人質問−
弁護人「えー、では、弁護人のほうから質問します、えーと、先ず、えー、最初にね、今回の、その、サイゼリア、埼玉のサイゼリアを襲った件について聞くんだけれど」
被告人「はい」
弁護人「あのー、共犯者のね、B、A、それから、貴方の調書、あの、一部ね」
被告人「はい」
弁護人「違うというと話していますね」
被告人「はい」
弁護人「あのー、具体的にいうとね、2月28日、去年の2月28日にね、BとAがあなたの部屋に怒鳴り込んできた」
被告人「来ましたね」
弁護人「うん、其の時にね、具体的にね、どういうやり取りがあったんですか?」
被告人「えーと、女房と、あー、他の人が、自分も一緒に、女房とゴイシさんという方が一緒に居たんですけど、其の時、3人を殺してやると、殺してやるからなと言うんで、電話かかってきたんですけど、そうしたら、拳銃持って、えー、来ました」
弁護人「拳銃を持って」
被告人「ええ」
弁護人「その拳銃、誰が持ってきた?」
被告人「Aが」
弁護人「その拳銃を、Aはどうしたんですか?」
被告人「えー」
弁護人「発砲したんですか?」
被告人「発砲はしません。えっと、脇、脇っ腹につけられたんで」
弁護人「脇腹に突きつけられたの」
被告人「はい。それから、もう一回チャンスやるから、チャンスやるからっていわれて」
弁護人「チャンスやるからな、といわれたの」
被告人「はい。それで、もう一回手伝えと言われて」
弁護人「ふーん、貴方としては其の時にね」
被告人「はい」
弁護人「あのー、この強盗しようと思っていた?」
被告人「いいえ」
弁護人「それは、えー、いったんはやる気はなくなったわけ」
被告人「そうですね、はい」
弁護人「そうすると、拳銃まで突きつけられて」
被告人「ええ」
弁護人「押さえつけられた」
被告人「あいつに憎まれてた。真剣に、真剣になってたから」
弁護人「そうすると、もう、やらざるをえない」
被告人「そうですね」
弁護人「そういう気持ちになった」
被告人「はい」
弁護人「うん。いや、ただね、貴方もね、あのー、警察段階ではね、そのー、AやBと同じ事をね、言ってるんだけれども、それは何でですか?」
被告人「それは、調書をまくのに、えー、三人三人ばらばらのことを言ったら何時までたっても終わらないと言う事で、そこは、じゃ、目えつぶって、えー、そういう事が無かったって事にしてくれと」
弁護人「要するに、調書が会わないのがおかしいから」
被告人「そうですね」
弁護人「だから、合わせるためにね」
被告人「はい」
弁護人「ちょっと、自分のね、意思とは違う事をね、言っちゃったという事なんですけど」
被告人「そうですね」
弁護人「うん、それはね、何か、脅迫とか、警察に脅されたりそういう事があったわけではないんですか?」
被告人「いや、お前の家で三人の命とるっていうんだから、それはやっぱり」
弁護人「あ、そうじゃなくてね」
被告人「ええ」
弁護人「警察から脅されたりとか、そういうことはされた事は無いですか」
被告人「警察からは脅されません」
弁護人「脅されたことは無かった」
被告人「はい」
弁護人「ただ、そういう、調書取る関係上、食い違うとなかなか取れないからといわれたから」
被告人「そうですね」
弁護人「で、もうしょうがないと」
被告人「はい」
弁護人「ま、しょうがないと思ったのは、あれですかね、やっぱりもう、今までこれだけの、あのー」
被告人「事件、事件を起こしてるんで」
弁護人「事件起こしてるんで」
被告人「もう、一件やっても、二件やっても、もう、関係ないです」
弁護人「どうしようもない。と。あの、私の質問が終わってからこたえてくださいね」
被告人「はい」
弁護人「すると、もうこれだけ起こしてるんで、一件二件否認してもしょうがないと、そう思ってたわけですか?」
被告人「そうですね、早く、あのー、それだけ終わりにして、早く、あの、処罰受けたいんですけども」
弁護人「じゃ、ちょっとまた話変えるんですけど、今までの前科でね、あの、人を傷つけるような犯罪を犯した事はありますか?」
被告人「いいえ、ありません」
弁護人「はい。今回はなんで刃物などを使って金品を強奪するということを考えたんですか?」
被告人「えー、自分がやっぱり生活費が苦しくなって、えー、滝沢さんっていう方と連絡が取れたんで、滝沢が一つやるかって言うんで、そっから始まっちゃったんですけど」
弁護人「えー、貴方、元々は、運送会社で営業活動されていますね」
被告人「ええ、佐川急便で営業活動してます」
弁護人「じゃあ、昔は、まともな社会生活を営んでたんじゃないんですかね?」
被告人「ええ、まともだと、自分ではまともだと思ってました」
弁護人「じゃあ、どこで間違ったんでしょうかね」
被告人「クスリに手え出したからでしょうね」
弁護人「クスリってのは、覚せい剤」
被告人「ええ、覚せい剤」
弁護人「えー、貴方、前刑で出所したのが、平成17年3月ですか」
被告人「はい」
弁護人「次にね、犯罪をね、犯してしまったらね、また刑務所に入る事になるとは思わなかったんですか?」
被告人「えー、その時はやっぱり、クスリの勢いですねえ」
弁護人「クスリの勢い」
被告人「うん」
弁護人「なに?で、出てからまた薬をやったんですか」
被告人「ええ、あのー」
弁護人「ん〜、でもね、やっぱりね、滝沢さんだって貴方だって、結局悪い事やってまた刑務所に入ったわけでしょ」
被告人「はい」
弁護人「また次もばれて捕まるという風に思わなかったんですか?」
被告人「ん〜、やってる途中には思わなかったですね」
弁護人「はい。それからね、あのー、最初に襲ったジェイソン白井店ね」
被告人「はい」
弁護人「あのー、そこの後五ヶ月間ぐらい開いてますけれども、その間は何をしていたんですか?」
被告人「その〜、解体屋で仕事をしていました」
弁護人「えー、でね、その後ね、一月以降に急に強盗する回数増えてますよね」
被告人「そうですね、はい」
弁護人「うん。特に、あのー、ね、一月に民家を襲った件ね」
被告人「はい」
弁護人「これは、他の事件に比べると、襲う相手も共犯者も他の事件と違うんですけどね」
被告人「ええ」
弁護人「この民家を襲ったのはどうしてだったんですか?」
被告人「あのー、去年の十二月の、あのー、31日に、えー、電話が、あのー、岩手から電話があって、拳銃用意してくれっていわれて、その拳銃が用意できなくて、それに対してペナルティ?」
弁護人「ペナルティ」
被告人「ペナルティを払ってもらうとなって、金が必要だっていわれて」
弁護人「誰から言われた?」
被告人「青木学」
弁護人「ペナルティはいくらぐらいだったんですか」
被告人「全部で一千万500万ですね」
弁護人「1500万」
被告人「はい」
弁護人「貴方が拳銃を用意しておかなければいけない事になって」
被告人「なっちゃったんですね」
弁護人「それを用意できなかった」
被告人「用意できなかったんです」
弁護人「貴方から見てね、青木学は怖い存在ですか」
被告人「ええ、怖いですね」
弁護人「Gさんの調書にね」
被告人「はい」
弁護人「貴方達が宮城に連れて行かれた時に、青木学が別の人物にね、殴る蹴るの暴行を加えたり、銃を発砲したって事書いてありますけど」
被告人「そうですね」
弁護人「そういう事が在ったんですか」
被告人「はい」
弁護人「其の時Gさんはどういう状況でしたか?」
被告人「もう、半分気が狂っ、狂って、もう、泣き喚いて、それは大変でしたし」
弁護人「そんなに怖かったんですか?」
被告人「そうですね、隣の部屋でがたがたがたがたいって」
弁護人「でね、あのー、Aとね、Bってのは、誰から紹介されたんですか?」
被告人「小林ですか・・・青木学」
弁護人「青木学ね?」
被告人「はい」
弁護人「うん。そのときね、AとBはどういう人物と紹介されたんですか?」
被告人「何でも、オレからの指示は何でもやるって」
弁護人「でね、それでね、紹介されて、えー、結局具体的に何をしろといわれたんですか?」
被告人「強盗でも、・・・・とりあえず金もってこいって。強盗でもして金もってこいって言われました」
弁護人「そうすると、結局ね、青木学がね、えー、貴方とAとBで、強盗でもして」
被告人「そうですね」
弁護人「金作ってこいと」
被告人「はい」
弁護人「ということを言ったんですね」
被告人「ええ、そうです」
弁護人「貴方はね、その青木学が、その、何のためにね、BとAと貴方を組ませたと思いますか?単純にみんなで一緒に強盗してくれということになるんですか?」
被告人「そうですね」
弁護人「ふーん」
被告人「ええ」
弁護人「貴方はね、その二人とやることを如何思ったんですか?」
被告人「やらざるを得なかったんですよ」
弁護人「やらざるを得なかった」
被告人「ええ」
弁護人「そのためにね、その、一月から急に、そういう」
被告人「そうです」
弁護人「強盗が増えたと」
被告人「はい」
弁護人「うん。それから貴方、上申書を出して、進んで犯罪を告白していますよね」
被告人「そうですね、自分のやった事に対して、責任もって、上申しました」
弁護人「今回の内ね、どの事件を上申しましたか?」
被告人「薬円台です」
弁護人「薬円台?」
被告人「ジェイソン薬円台」
弁護人「うん、他は?」
被告人「ちょっと・・・・全部ですね」
弁護人「全部」
被告人「はい」
弁護人「うーん、じゃあ、えっと、市川の、あのABSを襲った件は?これも上申したんですか?」
被告人「これは上申しません」
弁護人「これは上申してない」
被告人「ええ」
弁護人「じゃ、私ちょっと聞いていきますね。じゃ、ジェイソン白井店のことは上申しましたか?」
被告人「上申しました」
弁護人「えー、民家を襲った袖ヶ浦の事件は上申しましたか?」
被告人「はい」
弁護人「サッポロの、サッポロビール園の、あの、朝日セキュリティの現金輸送車を襲った事件は如何ですか?」
被告人「それも上申しました」
弁護人「ビーナス船橋店は?」
被告人「上申しました」
弁護人「サイゼリアは?」
被告人「どこですか?春日部?」
弁護人「春日部」
被告人「サイ・・・・しました、サイゼリア」
弁護人「すると、要するに、ABS以外は全部上申したという事ですか?」
被告人「そうです」
弁護人「どういう気持ちで上申したんですか?」
被告人「えー、被害者、被害者の方に迷惑かけちゃったもんで、心身ともにね、早く、一日も早く立ち直って欲しいと思ってます」
弁護人「まあ、今の話では、貴方が言う被害者っていうのは、まさに直接体を傷つけた人ですね」
被告人「そうですね」
弁護人「ただ、その他にもね、こういうの襲って、当然、企業とかそういうとこにもね、あのー、莫大な、あのー、現金をね、奪われたんですけども、それについては如何思いますか?」
被告人「今の時点で、あの、はっきり言って、返せって言われても返せないんですけど」
弁護人「申し訳なく思っています?」
被告人「申し訳ないと思ってます」
弁護人「それは申し訳ないとは思ってはいる」
被告人「ええ」
弁護人「ただ、まあやはり、貴方としてはね、直接危害を加えちゃった人の方がいたものだから」
被告人「そうですね」
弁護人「やっぱりそっちの方が重いわけですか」
被告人「精神的に大きなショックだったと思うんで」
弁護人「まあ、今ね、お金払えないとおっしゃったけど、示談金とかそういったものを払う事は出来ないんですかね?」
被告人「ええ、ちょっと無理ですね」
弁護人「・・・・今度ね、あのー」
被告人「はい」
弁護人「出てくる時ね、これだけの事をしたんだから、そうとう長期間ね」
被告人「はい」
弁護人「刑に服さなきゃいけないと思いますけども」
被告人「はい」
弁護人「社会復帰したら、どういう生活をしたいですか?」
被告人「ごくごく平凡、平凡な生活をやります」
弁護人「平凡な生活でいいの?」
被告人「ええ」
弁護人「うーん、出来るんですか?」
被告人「えー、出来ると思います。もう年齢が年齢だし、それはやろうと思うんですけども」
弁護人「今何歳ですか?」
被告人「今、57、6、6歳です」
弁護人「56」
被告人「はい」
弁護人「そうすると、もう、えー、確かに相当な年齢になっちゃうから」
被告人「ええ」
弁護人「まあ、年齢もね、そうだけれども、やっぱり気持ちとしてね、かわろうという気持ちはありますか?」
被告人「毎日びくびくびくびく脅えながら生活するのも、疲れたんで」
弁護人「はい」
被告人「この辺で抜けたいなと思ってたんですけど」
弁護人「そうですか」
被告人「はい」
弁護人「最後に何か言いたいことはありますか?」
被告人「とりあえず、あの、被害者の方に、あのー、心身ともに傷つけてしまって、まだたぶん立ち直るには大分時間がかかると思うんですが、本当に、申し訳ないなと思っています」
弁護人「以上です」
裁判長「検察官どうぞ」

−検察官の被告人質問−
検察官「今回の事件の時に」
被告人「はい」
検察官「今日起訴された事件の時に」
被告人「はい」
検察官「直前に、ビーナスの失敗事件がありましたよね」
被告人「はい」
検察官「で、その後に、まあ、実はパチンコ店の鍵を貴方が持ってたという事が判明して」
被告人「はい」
検察官「Bたちから怒られたという事ですけども、その後、貴方のほうで、南越谷で現金輸送車を見たことがあると話をしましたよね」
被告人「ええ」
弁護人「その時点では、それで、その現金輸送車を襲ってお金を作るという事を考えて、その話をしたんですか」
被告人「そうですね、ええ」
検察官「で、その後下見を何回か重ねますよね」
被告人「ええ、重ねます」
検察官「で、2月28日に、BとAが怒鳴り込んできたということだけれども」
被告人「ええ、はい」
検察官「これは、どういう事で怒鳴り込まれるような事態になってしまったんですか?」
被告人「自分がね、あのー、その前の日に、2日間連絡しなかったんですよ」
検察官「うん、連絡をしなかったのは何でですか?」
被告人「え、自分も、あのー、やばいなって思ってたし」
検察官「うん」
被告人「レンタカーでやればすぐ解っちゃうでしょ、借り手でね」
検察官「うん」
被告人「だから、その、あまり気が進まなかったです」
検察官「レンタカーについてだけども、それは貴方の名前でレンタカーの契約をしていますね」
被告人「そうですね」
検察官「ま、偽名を使ったらレンタカーを多分契約できないと思うんだけど」
被告人「ええ」
検察官「自分の名前でレンタカーを契約する事について如何思っていたんですか?」
被告人「自分がレンタカー、今回春日部をやるって言ったけど、そんな気持ちは全然無かったんですよ。ただ、運転をしてくれって言われたんで」
検察官「んーと、情報、あるいは下見やってる時はまだ少しは気持ちあったけど、その後」
被告人「そうですね」
検察官「は、無くなってたとそういう事?」
被告人「そうですね」
検察官「それはまあその、2月28日の、貴方の言う所の」
被告人「ええ」
検察官「やる事になった」
被告人「はい」
検察官「えーと、その、サイゼリアの事件だけれども」
被告人「はい」
検察官「例えば上手くいって、二千万から三千万とか取れるとしますよね」
被告人「はい」
検察官「貴方の取り分はどのくらいだったの?」
被告人「とりあえず、三分の一?」
検察官「とりあえず三分の一」
被告人「ええ」
検察官「ちょっと全体で話を聞きますけども、最後に服役していた刑務所ありますよね」
被告人「はい」
検察官「その刑務所にいる時にはね、娑婆に戻ったら、社会に出たら、どういう生活送ろうと思っていたの?」
被告人「いや、普通の解体屋でもやろうかなと思ってましたけど」
検察官「貴方の調書にはね」
被告人「ええ」
検察官「その、服役中には、滝沢と同じ刑務所だったんですよね?」
被告人「そうです」
検察官「滝沢との間でね、出たら大きな事やってやろうと話をしたっていうのがあるんですが、これはどうなんですか?」
被告人「それは、社交辞令ですね」
検察官「ふーん、社交辞令ってのをもう少し解りやすく言ってもらえますか?」
被告人「あのー、あい、合言葉ですか?二人の合言葉」
検察官「うーん、まだちょっと解りにくいな。どういう意味?普通の日常的な挨拶みたいなものを言ってたの?」
被告人「そうです」
裁判長「まあ、あれでしょ?あのー、やる気がなくて」
被告人「ええ」
裁判長「面白おかしくそういう話をしてたと言いたいんでしょ?」
被告人「そうです」
裁判長「まさか、実行するとはその当時は思ってなかったんでしょ?」
被告人「思ってなかった。自分もホントに始めて、こういう事件を起こしているんで、解らなかったんですけど」
裁判長「ああ、そういう意味ですか」
検察官「それでね、出所してからね」
被告人「はい」
検察官「職探しは何かやりましたか?」
被告人「やりました」
検察官「うん、どんな事やりましたか?」
被告人「解体屋」
検察官「うん、解体屋はどのくらいの期間・・・・実際やれたんですか、解体屋?」
被告人「ええ、やれました」
検察官「どれくらいの期間?」
被告人「半年ぐらいですか」
検察官「うん、半年ぐらいで終わってしまったのは何で?」
被告人「やっぱり金に行き詰っちゃって」
検察官「・・・・覚せい剤だけれども」
被告人「ええ」
検察官「貴方は出所してからね」
被告人「はい」
検察官「また覚せい剤に手を出してしまったのは、出所してからどれくらい経ってからですか?」
被告人「出所して一月ぐらい経ってからです」
検察官「刑務所にいる時に、もうこんな刑務所に来たくないと思ったでしょう?」
被告人「思いました」
検察官「覚せい剤なんてやったら、また刑務所に逆戻りすることになる事は明らかでしょう」
被告人「そうですね」
検察官「何でそれで覚せい剤なんて使用しちゃうんですか?」
被告人「周りの人がちょっとやってたもんですから」
検察官「周りの人との縁を切る努力はしたんですか?」
被告人「うーん」
検察官「努力はしたんですか?」
被告人「ぜんぜんですね」
検察官「えーと、強盗については、ま、未遂や致傷、様々ありますけれども、去年、平成17年の五月から、平成18年2月」
被告人「はい」
検察官「今日起訴された、平成18年3月、今日起訴されてる事件まで、7件」
被告人「はい」
検察官「強盗をしてますね」
被告人「はい」
検察官「最初、ジェイソン白井店をやった頃は、お金はどれくらい得たかったんですか?多ければ多いほど良かった?」
被告人「多ければ多いほど良いけど、とりあえず、生活、生活ですから」
検察官「うん。でね、上手くいって金が手に入ったと思いますけど、上手く取れたお金とかは、結局生活費とか」
被告人「ええ」
検察官「あるいは、覚せい剤の代金とかに使っちゃったりした」
被告人「そうですね」
検察官「今年に入ってからは、貴方、所持金とかお金とか、ぜんぜん無い状態だったんですか?」
被告人「市役所から、生活保護受けてるんで、多少は。後は実家から仕送りしてもらって」
検察官「えーと、今、えーと、奥さんとの間はまだ籍は、入ってますか?」
被告人「入ってます」
検察官「奥さんも、事件のことで刑務所入ってますね」
被告人「はい」
検察官「奥さんとの関係は、今後どうするつもりですか?」
被告人「二人で立ち直ろうと思ってます」
検察官「それで、今回の共犯者の関係は?奥さん除いてですよ」
被告人「あー、縁を切ります」
検察官「はい、結構です」

−女性裁判官の被告人質問−
裁判官「最初の弁護人からの質問の時に」
被告人「はい」
裁判官「青木学から拳銃を用意しろと言われて、それで用意できなくて、拉致された事に関して質問しますけど」
被告人「はい」
裁判官「まあ、簡潔にいうと、貴方は、青木学から拳銃を用意しなければいけない、理由っていうのは何かあるんですか?」
被告人「いえ、理由は無いです。とりあえず、あのー、頼まれたから用意してやろうと思って」
裁判官「頼まれて、引き受けたけど用意できないから、ペナルティがあったと、それだけの事ですか?」
被告人「そうですね、自分たちが口切っちゃったものだから」

−裁判長の被告人質問−
裁判長「あのね、えー、サッポロビール園以降のね」
被告人「はい」
裁判長「事件は、B、Aとやりましたね」
被告人「はい」
裁判長「ここで使った拳銃は、誰がどっから入手してきたんですか?」
被告人「小林学が」
裁判長「青木という事ですか?」
被告人「青木です」
裁判長「その前はね」
被告人「はい」
裁判長「ABS東京流通卸売りセンターでね」
被告人「はい」
裁判長「拳銃使ってないですか?」
被告人「いいえ、使ってません」
裁判長「じゃ、何を使ったの?拳銃のようなもの・・・・」
被告人「モデルガンですか」
裁判長「モデルガン」
被告人「はい」
裁判長「あのー、サッポロビール園の前ですね」
被告人「はい」
裁判長「ジェイソン白井店、薬円台」
被告人「はい」
裁判長「ABS、この関係の事件ね、誰が発案しましたか?誰がやろうと言い出しましたか?」
被告人「自分です」
裁判長「道具を用意したのは誰ですか?」
被告人「私です」
裁判長「スタンガンは誰が用意しました?」
被告人「自分が用意しました」
裁判長「モデルガンは」
被告人「自分が用意しました」
裁判長「ところでね」
被告人「はい」
裁判長「貴方、青木から脅されたと言うんですけども」
被告人「はい」
裁判長「これ、貴方、遠くの方まで連れて行かれたっていう事でしょ」
被告人「はい、そうです」
裁判長「なぜね、貴方の地元で強盗するという事になるんですか!?」
被告人「土地勘もあったし・・・・」
裁判長「それは、貴方が積極的にやると言い出さなければそういう話にならないわけでしょ?」
被告人「だって、もう、あのー、向こうでは出来ないから、関東でやれって言われたんで」
裁判長「やれって言われたといったって、適当な場所が見つからなければ、貴方が積極的に、まずね、ビーナス、それから、そこにいってできそうになければ、サッポロビール園を探し出してるわけでしょ」
被告人「はい」
裁判長「あなた自身が、ある程度、青木が関与するようになってから後も、積極的に役割を果たしていたと言わざるを得ないのではないでしょうか?」
被告人「そうですね、ええ」
裁判長「もう一つ言いますけどね」
被告人「はい」
裁判長「えー、被害者にね」
被告人「はい」
裁判長「怪我を負わせようと、積極的に刺したりね」
被告人「はい」
裁判長「傷つけたりするの、ありますよね」
被告人「積極的にはやってないと思いますけど」
裁判長「そう?えー、ABSの事件でね」
被告人「はい」
裁判長「木の棒で警備員の頭殴ったのは誰ですか」
被告人「タケダさんです」
裁判長「ジェイソン薬円台店でね」
被告人「はい」
裁判長「これ、スタンガン使って脅したのは誰ですか?」
被告人「私です」
裁判長「これはまあ、そう大したことではないのかな。その次、ジェイソン白井店でね、・・・・被害者を刺した時があったでしょ」
被告人「ABSですか?」
裁判長「ABS?・・・・被害者の背中を刺した事あったでしょ?」
被告人「いいえ」
裁判長「いや、貴方自身ではなくて、他の人が」
被告人「ああ、ありましたね。サッポロビール園ですか」
裁判長「ああ、サッポロビール園」
被告人「サッポロビール園で、Bが刺したって聞いていますけど」
裁判長「いや、もう一つ背中を刺した事あったんですよね。まあ、サッポロビール園でね」
被告人「はい」
裁判長「あのー、まあ、貴方以外の人ですけどね」
被告人「はい」
裁判長「いいですか、ビーナスでね」
被告人「はい」
裁判長「かなり被害者血だらけになったでしょ」
被告人「そうですね」
裁判長「最初に切りかかったのは誰ですか?」
被告人「切りかかったっていうより、もみ合いになったんです」
裁判長「え?」
被告人「もみ合い」
裁判長「もみ合いになった?」
被告人「はい」
裁判長「被害者抵抗したから怪我したんですか?」
被告人「そうですね」
裁判長「あなた自身が、切りかかる行為を、してませんか?」
被告人「行為、行為はしてません」
裁判長「ただ、あなた自身が、刃物で相手を傷つけているんですね?」
被告人「そうですね、握り締めちゃいまして」
裁判長「ああ、相手が」
被告人「はい」
裁判長「あのー、そうしてね、全体的に見て、被害者に積極的に怪我を負わせる行為が行われているんですけどね、どう思います?」
被告人「いやー」
裁判長「強盗でね、やむをえず金取る時に怪我しちゃったというのではないですね」
被告人「・・・・ええ」
裁判長「拳銃も使ってるし、かなり暴力的な行為だとは思いませんか?」
被告人「思います」
裁判長「ご自分がね」
被告人「ええ」
裁判長「お金を取るために」
被告人「ええ」
裁判長「被害者に対して、かなり酷い行為に及んだとは思いませんか?」
被告人「思ってます」
裁判長「どうしてこういう事を繰り返すようになったんでしょうか?」
被告人「あのー、当時の生活が、荒れ、荒れてたからだと思います」
裁判長「今後ね、社会復帰した時に、同じことになりませんか?」
被告人「いえ、あのー、方法を変えます」
裁判長「何の」
被告人「いえ、あのー、生きていく方法を」
裁判長「どういう風に」
被告人「二人で、出てきてから」
裁判長「え?二人で、何?」
被告人「出てきてからね、あのー、二人で大人しく、暮らそうっていう事で」
裁判長「今回も、だけど、そういう機会は十分あったわけでしょ」
被告人「んー、機会というか、そういうチャンスはあったと思いますけど、立ち直れなかったです」
裁判長「何故でしょうか」
被告人「自分の意志の弱さですか」
裁判長「先ほどの話ですとね」
被告人「はい」
裁判長「解体の仕事をしていたけど、お金がなくなったからこうなったって言われましたよね」
被告人「はい」
裁判長「どうなんでしょうか」
被告人「そうです」
裁判長「そうしたら、また同じことになるんじゃないでしょうか?」
被告人「いや、もう其の時には、多分、年、年齢的にも、そういうあれはないと思うので」
裁判長「もう一度聞きますけどね、普通の人で」
被告人「ええ」
裁判長「お金がなくなって、こういう事をやろうとは考えませんよね」
被告人「そうですね、普通は考えないですね」
裁判長「奥さんは、本当に貴方と一緒にやっていくつもりがあるのかな?」
被告人「あの、刑事さんを通じて、やっていくって話は聞いてます」
裁判長「じゃ、後ろ座ってください」
 被告人は、被告席に座る。

裁判長「それでは、2月の15日、論告弁論と。よろしいですか?では、被告人、前に立ってください」
 被告人は、証言台の前に立つ。
裁判長「2月の15日、午後4時、検察官から論告求刑、弁護人からの意見、貴方の意見を聞いて手続きを終える事にします」
被告人「はい」
裁判長「302号法廷に来てください」
被告人「はい」
裁判長「今日は終わりました」

 14時30分まで予定されていたが、14時に公判は終わった。
 被告人は、感情を表さず、質問者のほうに向いて、ざらざらした感じの声で、質問に答えていた。傍聴席に目をやることなく退廷した。

事件概要  A夫婦は他の被告と共に強盗目的で以下の犯罪を犯したとされる。
1:2005年5月23日、千葉県白井市のディスカウント店駐車場で従業員に傷を負わせ、約815万円を奪った。
2:2005年10月10日、千葉県船橋市のディスカウント店駐車場で従業員に傷を負わせ、約230万円を奪った。
3:C被告は2006年1月13日、千葉県袖ケ浦市の無職男性方で、3000円を奪った。
4:2006年1月15日、千葉県市川市の家具店で従業員に傷を負わせ、従業員所有の外車を奪った。
5:2006年2月3日、千葉県船橋市のビール園で従業員に傷を負わせ、約1900万円を奪った。
6:C被告は2006年2月20日、千葉県船橋市のパチンコ店で従業員に傷を負わせ、1万5500円等を奪った。
報告者 相馬さん


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