裁判所・部 千葉地方裁判所・刑事第三部
事件番号 平成18年(わ)第1599号等
事件名 強盗致傷
被告名
担当判事 山口雅高(裁判長)
日付 2006.9.19 内容 初公判

 被告人は、長袖のチェックのシャツ、ジーンズを着用し、黒眼鏡をかけている。柔らかい黒髪の持ち主で、リーゼントのような髪型だったが、所々禿げ上がっていた。痩せ気味で筋肉質な体格。肌の色は浅黒い。人相は悪く、ヤクザじみている。傍聴人の方を見て、入廷した。
 傍聴人は、私を除いて16名いた。マスコミらしき人のほかには、学生と思われるスーツ姿の若い男の集団が傍聴席には座っていた。
 検察官は、眼鏡をかけた色白の柔和そうな中年男性。湯浅夫婦や中村卓也の審理も担当していた。
 弁護人は、髪を立てた中年男性。

裁判長「それでは被告人、前に立ってください。証言台の所に立ってください」
 被告人は、証言台の前に立つ。
裁判長「被告人、名前は何と言いますか?」
被告人「Dです」
 消え入りそうな、小さな声だった。殆ど聞き取れない。
裁判長「生年月日は何時でしょうか?」
被告人「昭和30年1月20日」
裁判長「本籍は何処になりますか?」
被告人「えー、新宿区102丁目」
裁判長「えー、住む所は特に決まっていないと起訴状にあるけれど、それで宜しいですか?」
被告人「はい」
裁判長「仕事は特にしていなかったと起訴状にあるが、それで宜しいですか?」
被告人「はい」
裁判長「それでは、7月19日、8月9日、それぞれ貴方に対して強盗致傷ということで、起訴されています。検察官に起訴状読んでもらいますから、よく聞いていてください」

 検察官は、立ち上がり、非常に早口で起訴事実を読み始めた。

○平成18年7月19日付け公訴事実
 被告人は、C、及び、Gと共謀の上、金品を強取しようと企て、平成18年1月15日、午後7時37分頃、千葉県市川市コウヤ316番地の2所在の、株式会社ABM東京都重機卸売りセンター市川店敷地内で、同店従業員c当時58年の顔面等に、所携の拳銃様の物を、同店従業員d当時47年の上半身に、所携の刃物をそれぞれ突きつけ、「静かにしろ」等と申し向け、両名の両手を順次ガムテープ等で緊縛するなどした上、両名を前記c所有にかかる普通乗用車に乗せ、同車を運転して、2701番1所在の駐車場に移動し、さらに、同日午後8時47分頃、同所に駐車した前記普通乗用自動車内で、前記cの頭部に対し、前記拳銃様の物および前記刃物をを突きつけ、「店の金庫を開けろ、お前死にたいのか」等と申し向け、その右大腿部を、前記刃物で刺突する等の暴行脅迫を加え、前期dに対し、前記刃物を突き付けながら、「金庫の鍵を出せ」等と申し向け、その頭部を木製の棒で多数回殴打するなどの暴行脅迫を加え、同人等の反抗を抑圧して、前記cから、同人所有または管理ににかかる現金1万円他10点在中のポーチ、前記普通乗用車一台、時価合計時価280万4800円強取、その際、前記暴行により、前記cに全治約1ヶ月間を要する右大腿部切創、右小指末梢骨骨折等の傷害を負わせ、第二、前記暴行により、前記dに全治約10日間を要する頭部外傷、頭部挫傷の傷害を負わせたものである。
罪名及び罰状:強盗致傷、刑法第240条

○平成18年8月9日付け公訴事実
 被告人は、C、G、およびFと共謀の上、金品を強取しようと企て、平成17年10月10日午前0時40分ごろ、千葉県船橋市薬円台1丁目22番所在の、株式会社ジェイソン船橋薬円台店第二駐車場において、同店店長e当時33年の乗車していた普通乗用自動車に乗り込み、同車両内において、同人に対し、所携の包丁を突きつけながら、「テメー殺すぞ」等と語気鋭く申し向け、その顔面等を手拳で多数回殴打したり、その頚部等にスタンガンを押し付けて放電するなどし、同所薬円台二丁目23番24号つきみ野林第一駐車場に移動した前記車両内において、同人に対し、所携の包丁を突き付けながら、「大人しく金を出せ、金が無いんだったら見せしめになってもらう。お前、ゴカイに住んでるだろう、子供を攫うぞ」等と語気鋭く申し向け、その両手及び両足をガムテープで緊縛するなどの暴行脅迫を加え、その反抗を抑圧して金員を得ようとした上、同所薬円台2丁目21番3号前記ジェイソン舟橋薬円台店店内に同人を連行し、同日午前0時〜1時30分ごろ、同所において、同人管理にかかる現金854万7028円、ビール券281枚金額合計20万6535円、及び、手提げ金庫一個他一点時価100円相当を強取、その際、前記暴行により、同人に全治約一週間を要する顔面挫傷等の傷害を負わせたものである。
罪名及び罰状:強盗致傷、刑法第240条

裁判長「貴方には黙秘権がありますから、聞かれたことの内、答えたくないことは答えなくて良いです。それから、自分の方から述べたいことは自由に述べて結構です。貴方が述べたことは、この事件の証拠にもなります。不利な証拠にもなるという事を覚えておいて下さい。そう言うことで聞きますが、今、検察官の読み上げた、2件の強盗致傷の事実は如何でしょうか?」
被告人「間違いないです」
裁判長「認めて宜しいですか?弁護人、ご意見如何でしょうか?」
弁護人「被告人と同意見です」
裁判長「それでは、後ろに座って置いてください。じゃあ、立証して下さい」

−冒頭陳述−
 それでは、検察官の証拠によって証明しようとする事実は以下の通りです。

○第一・被告人の身上経歴
 被告人は、東京都大島町で出生し、中学校卒業後、自動車関係の会社員、飲食店従業員、工員、塗装工等として稼動し、現在無職の生活を送っている。結婚歴はなく、単身である。
 被告人は、傷害、殺人、窃盗、身代金目的拐取、身代金要求、監禁、銃砲刀剣等取締法違反、大麻取締法違反の前科3犯を有し、累犯前科4犯がある。

○犯行状況等
 被告人は、殺人事件で服役していた旭川刑務所で、同刑務所に服役していた共犯者Fと知り合い、出所後、Fと共に身代金拐取等事件を起こし、平成4年、宮城刑務所に服役した。被告人は、Fとの間で、出所した際にはまた誘拐事件を起こして金をもうけよう等と話し合っていた。また、被告人は、平成12年9月、宮城刑務所に服役していた共犯者Cとも親しくなり、服役中から、「出たら一発やるか」などと言い合い、出所した際には一緒に強盗するなどして、一攫千金を狙う約束をした。
 被告人は、平成16年1月に出所したが、Cに手紙を送るなどし、平成17年3月27日からはCと携帯電話で頻繁に連絡を取りあい、強盗計画を練った。そして、被告人は、平成17年5月ごろ、C及び妻の共犯者Gと共にジェイソン白井店に下見を行き、同月23日、初めての強盗致傷事件を敢行した。
 被告人はその後もCと携帯での連絡を取り、その際、CにFを紹介し、同年7月下旬頃から同年8月上旬までの間、約10回にわたりC及びFと会い、強盗や誘拐の計画を練り、下見をするなどして、その際Cも同行した。
 被告人らは、他の計画が上手く進まず、犯行のための資金や生活費に窮したところ、前回のジェイソン白井店での強盗事件に味を占め、同年7月中旬ごろから、同店の系列店であるジェイソン船橋薬円台店で強盗をすることを計画し、当初は、C及びGは下見を繰り返し、同年9月上旬からは被告人及びFが加わって下見を行った上、被告人及びCが実行犯役、Gが運転手役、Fが見張り役、という役割分担を決めた上、本件犯行を実行することにした。
 犯行前日である平成17年10月9日夜、被告人及びCは、あらかじめ準備していた覆面を被るなどしたうえ、同じくあらかじめ準備していた包丁やスタンガンを携行し、ジェイソン舟橋薬円台店の第二駐車場で、同店店長であるeが通勤用の普通乗用自動車に戻ってくるのを待ちぶせした。G及びFは、同店に隣接する飲食店の駐車場に車を止めて待機しながら、e店長の動向を見張っていた。
 e店長は、ジェイソン舟橋薬円台店の営業を終え、同店を閉めて、同店の第二駐車場に向かったが、同人の動向を見張っていたFは、e店長が第二駐車場に向かったことを、トランシーバーを添えて被告人に伝えた。これを受けて、被告人とCは、同月10日午前0時40分ごろ、e店長がe車両に乗り込もうとしたところを襲撃し、e店長を同車内に押し込み、自ら、車内に乗り込み、所携包丁を突きつけ、「テメー殺すぞ」等と申し向け、抵抗すると、e店長の顔面等を棒や手拳等で多数回殴打し、所携のスタンガンを同人頚部に押し付けて放電するなどし、さらには、周辺住民への発覚を恐れて、一般駐車場に移動した上、e店長に対して所携の包丁を突きつけながら、「大人しく金を出せ。金がないんだったら見せしめになってもらう。お前、五階に住んでるだろう。嫁か子供を攫うぞ」等と申し向けて、ガムテープで緊縛するなどして、その反抗を抑圧した。その上で、被告人とCは、e車両を使用して、e店長をジェイソン舟橋薬円台店迄連行し、セキュリティシステムを解除させ、警備員が臨場しないことを確かめるため、一旦その場を離れ、待機した。その間、G及びFが同店の見張りを継続し、20分が経過しても警備員が現れなかった事から、Fが被告人にトランシーバーでその旨を伝えた。そこで、被告人及びCは、e車両で再びジェイソン舟橋薬円台店にe店長を連行し、事務室内で金庫を開けさせた上、現金合計800万円あまり、及び、現金の一部が入った売上金入り金庫、売上金合計814万7028円、同事務室にあったリュックサックに入れて強奪すると共に、ビール券280枚が入ったビヤ樽を強奪し、e店長を連れ、e車両に乗車した。F及びGは別の自動車でこれを追尾し、当初から予定していた合流場所まで来て合流し、被告人及びCは、ガムテープでe店長を緊縛した上で、Fが乗車しているG名義の車に乗り込み、そのまま逃走した。
 e店長は、Cらの上記一連の暴行により、全治約一週間を要する、顔面挫傷等の傷害を負った。
 本件犯行後、被告人及びFはそれぞれ約190万円、C及びGは、合計約400万円を受領した。

○平成18年7月19日付け公訴事実
 被告人等は、平成17年12月頃になると、それまでの強盗事件で得た金も少なくなったことから、次の強盗計画を練った。Cは、Gと、ABS東京流通卸売りセンター市川店に買い物に行った際、同店の接客態度が悪かったことから、ABS市川店で強盗しようと考えるようになった。そして、Cは、ABS市川店で強盗することを被告人等に持ちかけ、被告人及びGと一緒に複数回に渡って同店に下見に行った結果、被告人、C及びGは同店で強盗する事にし、その際、閉店後最後に同店から出てくる従業員を襲い、金庫を開けさせて、売上金を奪う事を計画した。被告人は、当初実行日を平成18年1月9日と計画し、刃物やガス銃、木製の棒等を手にし、ABS市川店に行ったものの、同店で犬に吠え付かれたりしたうえ、従業員に顔を見られたものと考え、計画を中止して、逃走した。
 被告人らは、同店が防犯対策の為に敷地内に犬を放しているものと考え、犬を放される前に従業員が出てきたら襲い、金庫を開けさせ売り上げを奪うことを計画した。
 被告人、C、及びGは、平成18年1月15日、Gの運転する普通乗用車でABS市川店に向かい、同日午後ごろ到着すると、被告人及びCが同店で入り口近くの物陰に身を隠しながら、従業員が出てくるのを待ち伏せした。Gは、同店近くのホームセンター駐車場に車を止めた。すると、同店の従業員であるcが同店出入り口出てきたことから、同日午後8時37分頃Cはcに近付き、ガス銃を両手で構えて顔面等につきつけながら、同人に対し、「静かにしろ、地面に伏せろ」等と申し向け、同人の手に持っていた携帯電話を叩き落し、同人の手を踏みつけると、その顔面や両手足にあらかじめ用意していたガムテープやビニール紐を巻きつけて緊縛した。その頃、同店の従業員であるdが同店の出入り口から出てくると、被告人は、dに近づき、その上半身に果物ナイフをつきつけながら、「静かにしろ、伏せろ」等と申し向け、その両手足にガムテープを巻きつけ緊縛した。その上で、被告人及びCが同店のシャッターを開けて乗車したところ、セキュリティシステムが作動してアラーム音がなったため、c及びdを車に乗せて場所を移動することにし、両名を、c所有の普通乗用自動車の駐車場所まで連行し、その途中、被告人は、cが地面に落としていた現金約1万円等在中のリュックを奪った。
 被告人及びCは、c及びdをc車両に乗せると、Cの運転で同車を発進させ、ABS市川店近くの駐車場に止めた。被告人及びCは、同車内においてcに対し、その頭部にガス銃や果物ナイフを突きつけながら「店の金庫を開けろ、お前死にたいのか、鍵はどっちが持っているんだ」等と申し向け、また、dに対しても、果物ナイフを突きつけながら、「金庫を開けろ」等と申し向け、c等がこれに応じないで居ると、被告人は、「もうやるしかない。刺しちゃえ刺しちゃえ」等と言い、Cはcの右大腿部を果物ナイフで刺した。cは、力を振り絞って両手を縛っていたガムテープ等をとり、右手で、Cが持っていた果物ナイフを振り払い、Cの眼を指で突くなどして抵抗し、車外に逃げた。dも、Cの持っていた果物ナイフを奪い、被告人に突きつけるなどして抵抗し、車外に逃げた。被告人は、dに対し、「ナイフをよこせ」等と言いながら、所携の木製の棒でdの頭部、肩、足等を多数回殴打して、同人から果物ナイフを取り戻した。
その後、被告人及びCはc車両を乗り捨てた。
 本件一連の犯行により、cは、加療約1ヶ月間を要する右大腿部切創、右小指末節骨骨折等の傷害を負った。dは、全治約10日間を要する頭部外傷、頭部多発挫傷などの傷害を負った。
 以上の事実を立証するため、カードに記載の関係各証拠を請求します。

裁判長「弁護人、ご意見は如何ですか?」
弁護人「何れも同意します」
裁判長「あのー、採用しますけど、あのー、例えばですね、被告人、それから、共犯者の犯行現場を案内した捜査報告書とかですね、それから、犯行を立証した、あの、ものについての報告書等についてですね、えー、供述証拠については、この請求書を拝見した限り、適切に証拠を厳選されてるように思われますが、そのほかで、もう少しご検討の余地があるのではないかと思えますので、追起訴にあたりまして、一つ、あの、今申し上げた事を念頭においてあげて頂ければと思います。全て採用します。要旨の告知していただけますか」

−証拠の開示−
甲号証
・甲1〜4号証:被害者cさんにかかわる被害届、追加被害届け、診断書、及び検面調書。
・甲5〜7号証:被害者dさんに関る被害届、供述調書及び診断書
・甲8,9号証:それぞれ被害者の写真撮影報告書。
・甲10号証:コウヤの方での被害現場についての実況見分調書。
・甲11号証:発生場所についての報告書。
・甲12号証:バラキの方での被害現場の状況及び被害の再現状況。
・甲13号証以下:被害品である自動車の領知、被害確認、そして、実況見分調書
・甲16号証拠:その他の被害品についての任意供述書、領知、被害確認、写真撮影。
・甲19号証:犯行時緊縛に使用した紐について。同様に19,20,21、写真撮影報告書。
・甲22号証:被告人が犯行の際に変装に使用した鬘の写真撮影報告書。
・甲23,24号証:23はABSコウヤの関係の被害状況の実況見分調書、24は、車両内の被害状況の実況見分調書。
・甲25,26,27号証:各被告人及び共犯者による引き当たり捜査報告書
・甲28〜31号証:共犯者CとGの供述調書
・甲32、33号証:F及びGの各供述調書。内容については冒頭陳述で述べたとおりです。
・甲34〜43号証:eさん関係の被害届、供述調書、診断書、写真撮影報告書など。
・甲44号証:犯行現場の実況見分調書。
・甲45号証:被害品の設置場所の写真撮影報告書
・甲46号証:被害車両の実況見分調書
・甲47号証:被害者の(聞き取れず)
・甲48〜51号証:犯行に使用した包丁の領地、写真撮影報告書
・甲52号証:その写真撮影報告書。
・甲53号証:被害品であるビール券の領知
・甲54号証:犯行に使用した紐の写真撮影報告書
・甲56号証:その(55号証の)関係。
・甲57号証:犯行前に待機していた場所の写真撮影報告書
・甲58,59,60号証:共犯者による引き当たり報告書。
・甲61号証:Fによる引き当たり捜査報告書。
・甲62号証:被告人らの生活状況について。
・甲63,64:共犯者Gの供述調書
・甲66号証:Fの供述調書
乙号証
・乙1〜7:被告人の供述調書。内容は冒頭陳述の通り。犯行は認めており、詳しくは冒頭陳述で述べたとおりです。
・乙8号証以下:戸籍、犯歴、前科前歴の内容となっています。

裁判長「8月31日に更に起訴がされておりますので、これの審理のために続行いたしますが、更に起訴は予定されているのでしょうか」
検察官「8月末の起訴で追起訴は終了いたしております」
裁判長「開示は、間をおかずに、もう出来ていますか?」
検察官「もう出来ると思います」
裁判長「どの程度空いていたらよろしいでしょうか?本日から」
検察官「2週間程度」
裁判長「はい?」
検察官「2週間程度」
裁判長「二週間程度」
弁護人「できれば、10月16日以降に・・・・」
裁判長「あの、あと、二期日指定しようかと思っていますので」
弁護人「あ、それは結構です」
裁判長「よろしいですか。二週間といいますと、今日は、19・・・・、10月3日如何でしょうか」
弁護人「差し支えます」
裁判長「差し支える。10月5日後前午後。午前で宜しいですか」
弁護人「はい」
裁判長「そうすると、10時〜10時40分ぐらいまで。10時半までで宜しいですか?1件だけだから。で、もう一期日、10月の19日如何でしょうか?」
弁護人「すみません、ちょっと差し支えます」
裁判長「えー、10月17日はいかがですか?ちょっと早いかな?10月17日。宜しいですか?そうしますと、17日、どの程度立証お考えでしょうか?弁護人の方では」
弁護人「基本的には、被告人質問です」
裁判長「時間はどの程度とって置いた方がよろしいでしょうか?」
弁護人「えー、40分・・・・」
裁判長「よろしいですか?そうましたら、17日の10時30分から12時まで。1時間半予定いたします。この日、あの、終結まで考えて宜しゅうございますか。検察官、宜しいですか?」
検察官「結構です」
裁判長「それでは、被告人、前に立ってください」
 被告人は、証言台の前に立つ。
裁判長「後一件、起訴状手元に行ってると思いますが、8月31日に、強盗致傷という事で、これは、ジェイソン白井店の事。この分を、10月5日に審理します。これを、まあ、今日と同じ程度調べると。その後から、貴方に事情を聞いて、手続きを終えます。貴方に事情を聞いて論告弁論をするのが、10月17日10時30分。この法廷。いずれも、今日のこの千葉地裁に来てください。今日は終わりました」

 11時20分に公判は終わった。
 被告人は、裁判長の問いかけに、消え入りそうな小さな声で答えた。冒頭陳述の間は、最初は時折口をすぼめ、後には概ね無表情で、身じろぎせず、聞いていた。閉廷後は、首を軽く回し、のそのそとした足取りの、妙に大きな態度で退廷した。

事件概要  D被告は他の被告と共に強盗目的で以下の犯罪を犯したとされる。
1:2005年5月23日、千葉県白井市のディスカウント店駐車場で従業員に傷を負わせ、約815万円を奪った。
2:2005年10月10日、千葉県船橋市のディスカウント店駐車場で従業員に傷を負わせ、約230万円を奪った。
3:2006年1月15日、千葉県市川市の家具店で従業員に傷を負わせ、従業員所有の外車を奪った。
 また、主な前科として1991年11月に起きた富士銀行員誘拐事件がある。
報告者 相馬さん


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