裁判所・部 千葉地方裁判所
事件番号 平成17年(あ)第1644号等
事件名 C:傷害致死、殺人、死体遺棄、逮捕監禁致傷、逮捕監禁、監禁、監禁、詐欺、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反
伊藤:傷害致死、殺人、死体遺棄、逮捕監禁致傷、逮捕監禁、監禁
D:傷害致死、殺人、死体遺棄、逮捕監禁致傷、逮捕監禁、監禁
被告名 伊藤玲雄、D、C
担当判事 彦坂孝孔(裁判長)
日付 2006.7.26 内容 被告人質問

 9:59 三被告入廷 裁判長より開廷宣言(301号法廷にて審理)
 被告並び順は傍聴席より見て左側よりC・伊藤・D

 C被告の弁護人 カワサキ弁護人より証拠申請
 Cが振り込め詐欺被害者26名へ被害金額の3%を弁済する申し入れを行い、うち23名に計1,387,000円を弁済したと報告。

 10:07 被告人Cに対する質問(カワサキ弁護人より)
 −以下要旨−
 小中学校は剣道、高校はテニスに打ち込んだ。
 2000年3月、金沢学院大学を卒業後に上京。
 アイデンティティを確立し、自分のやりたい事をやる為、親の支援は受けなかった。
 また音楽で身を立てる、能力を上げる、チャンスを掴む為にも上京した。
 音楽活動費を捻出する為に読売新聞奨学生となり、2000年4月〜2002年3月まで午前3時より朝刊配達、その他夕刊配達、新聞代集金の仕事をしながら音楽の練習をしていた。
 その後、プロの音楽家の付き人となり、川崎市へ転居。
 ガソリンスタンドでバイトを始めた(収入は月20万円程度)。
 2002年夏頃、バイト同僚のY15の紹介で清水大志と知り合う(「凄い人間がいる」と紹介される)。
 Cは清水の印象について「凄い人間なのかも知れないが、直後に付いていこうとは思わなかった」と感じた。
 2003年5月頃、清水より「株式会社を興すのだが手伝ってみないか?」と誘われ付いていくことにした(後のPRCにあたる)。
 2003年8〜10月、Cは「モードクラシック」の音楽分野を立ち上げ、PRCのエンターテイメント事業部長に就任。
 清水に出資を頼み2百万〜3百万を融通してもらい、2曲にレコーディングを行う。
 この時期Cは自らの音楽の才能に限界を感じるようになっていた。
 2003年11〜12月、清水に誘われ融資保証金詐欺に加担。
 清水が持ってきた「金融ブラックリスト」に記載されている人物に電話し、保証金を納付させてその保証金を騙し取るという内容。
 Cは違法認識を持っていた。
 清水から「相手と顔を合わせる事は無いし捕まる事は無い。相手にも落ち度はあるし、自分の周りの人間が幸せになればいい」と言われた。
 断れば今まで出資した金を返せと言われると考え断れなかった。
 Cは電話係で当初融資保証金詐欺の人数は4名だったが、清水が電話係を少しずつ増やしていった。

 2004年1〜2月はPRCの「モードクラシック」運営に関わる。
 運営費及び給与は詐欺で得た金で捻出されていた。

 (詳細時期は聞き取れなかったが)詐欺は「電子消費契約の未納金案内」という通知を出し、問い合わせしてきた人物に対し上記内容の未納金があるかのように装い、金を詐取する内容になった。
 清水は詐欺行為の現場には顔を出さないようになりCに必要事項を伝言するようになった。
 2004年8月、Cの部下Y16に詐欺行為を移管。
 自身の会社「バンディット」を立ち上げる。
 同時期、Y8(詐欺Gr関連人物)より「近く当局の摘発がある」との情報を受け、清水は詐欺の一時停止を決める。
 情報を得たCはすぐに詐欺行為停止し、清水の傘下である渡辺純一Grも8月末で詐欺行為を停止した。
 Cは詐欺を中断し、NKビル事務所を片付けていた際、同席していた渡辺純一に片付けに仕方で叱責を受け、頭突きを鼻に受け、ミゾオチにパンチを受けた。

 2004年9〜10月頃、清水より詐欺再開の打診有り。
 当時清水は数億持っていたが「水を酸素と水素に分ける機械への投資」に更なる金が必要になったとの事であった。
 Cも、モードクラシックへの運転資金があったほうがいいという甘えと、清水への義理があり了承した。
 清水より「詐欺のリスクが高くなっているので、その分給料はアップさせる。現場にも顔を出さなくていい」と言われた。

 弁護人「詐欺行為に対して罪の意識が無くなっていたのではないですか?」
 C「善悪感が希薄になっていたのは否めない。金銭感覚が狂っていたと思う」
 詐欺の再開には7.8百万の費用が掛かった。
 詐欺行為に使う名簿は清水が入手してきた。

 PRCについて(清水が経営)
 代々木に事務所があり若いスタッフが7.8人いた。
 広告企画代理の業務をしているとの事であるが、きちんとした営業をしている会社には見えなかった。
 給与は月20万円で月により変動があった。

 渡辺純一について
 状況により異なるが、この世の中で最も怖い存在である。
 自分の知っている中で一番怖い人間だと思う。
 沸点が低い印象があり、すぐに「なめてんのか、この野郎」と手が出る。
 考え無しに殴る印象がある。
 渡辺純一の性格なら監禁されている被害者に熱湯を掛けてもおかしくないと思う。
 暴力で責任を無理矢理なすりつけ無理を通してしまう。
 以前は渡辺純一から「部長」と敬語で呼ばれていたが、詐欺行為中断後は命令口調に変わった。
 NKビルで被害者を監禁している際、渡辺純一より「逆らったら並べるぞ」と脅され恐怖を感じた。

 伊藤玲雄について
 2004年初旬に知り合う。
 伊藤は詐欺Grで「ヤマモト」という偽名を使っていたがCは「伊藤さん」「玲雄さん」と敬語で接していた。
 伊藤は詐欺Grの中でかなり上位ランク者という印象を受けた。
 詐欺行為での利益も伊藤Grが上位であり、5000万円の入金があった際「一発入金」と呼んでいたと聞いた事がある。

 伊藤・Dの供述、公判証言について
 清水、渡辺純一、自分(C)に責任転嫁しようとしている印象を受ける。
 「殺害実行の依頼はCから受けた」と証言しているがそんな事は言っていないし、なぜありもしない事を言うのかなと感じる。
 現在の勾留場所は千葉拘置支所四舎五階で、同階にH、四階に伊藤、Dが居る。
 配膳係の男に「共犯者に伝えたい事があれば言ってくれ。ハトを飛ばす(伝言する)」と言われた事がある。
 自分は断ったが、伊藤とDは配膳係を通じて口裏を合わせている可能性がある。
 配膳係の男は既に仮出所している。

 NKビルに呼ばれた状況について
 (詳細日時聞き取れず)携帯電話に清水より4,5回着信があり、出てみると「中国人の件は本当だった」と言われ、きな臭い焦った様な印象をあった。
 「今から来れないか?」と言われ嫌な感じがしたが、「ちょっといいから来てくれ」と言われた。
 10月14日AM3:00頃、NKビルに到着すると、aさん、bさん、cさんは既に監禁状態にあり暴行を受けていた。
 どういう経緯で3人が監禁状態に至ったかCには説明が無く、渡辺純一に「部長は何やってんだ。さらっちまうか」「スーツなんかで来やがって。こっちは戦闘服(ジャージ)着てやってんだ」と叱責を受けた。

 被害者4名とCとの接点について
 bさん・・・酒席で一・二度会ったことがある
 cさん・・・詐欺拠点「オレンジ」もしくは「ネオン」で見たことがある
 aさん・・・全く面識無し
 dさん・・・人懐っこい性格で、可愛がっていた。
 一緒に秋川渓谷にバーベキューに行った事がある。

 監禁・暴行されている三人とも立って歩ける状態ではなく、頭に裂傷があり、元の顔が分からず紫色になっていて、誰が誰だか分からなかった。
 Cは「この人達は何をしているんだろう」と感じた。
 しばらくして清水より「こいつらが中国人マフィアに俺達を売った奴等だ」と説明があった。
 Cは「なぜ自分が呼ばれたんだろう」と思い「もう帰っていいですか?」と清水に聞くと笑いながら「ダメだよ」と返された。
 「C君、悔しくないの?」と清水に言われ「自分も暴行に加わらなければならないのかな」と感じた。
 「下手すると自分まで裏切り者にされかねない」「(暴行を)やらなかったらどうなるのか?」と考えた。
 踏み絵の原理と同じで、暴行に加わらなければ自分がボコられると思った。
 決して怒りに任せて暴行したわけではない。

 暴行している人間に対し怒りを感じた。
 清水に対する怒りが一番強かった。
 渡辺純一の事も疎ましく感じ、「出来れば関わりたくない」と思った。
 暴行時、伊藤は暴力的で「いい結婚式にしてくれたな」と言いながら被害者の顔を踏んでいた。
 (反目Grがターゲットの顔写真として伊藤の結婚式の写真を、中国人Grに渡していた事が判明した為)

Cは右手にボクシング用グローブをはめ、cさんをフックで数発殴った。
 人を殴るのは生まれて初めてであり、慣れておらず何度か空振りしてしまう。
 グローブをはめた理由は自分の拳を守る為、相手を守る為(相手が受けるダメージを軽減する為)である。

 Y1の連絡を取るために一度外出することになった。
 本心は「現場から離れたい」と思っていた。
 事務所を出る際に渡辺純一から「逃げたらさらって並べちゃうよ」と半笑いで言われ恐怖を感じた。
 (日時は聞き取れず)スーツからジャージに着替えて事務所に戻った。
 事務所にいたHに「世田谷にいる彼女に会いに行く」と告げ、再び事務所を出てタクシーで笹塚に向かった。
 途中で清水より電話が入り「すぐに戻ってくれ。戻って来い。」と言われる。
 「戻らなかったら逃げたと思いさらわれるだろう」と思い、事務所に戻った。
 事務所に戻ると渡辺純一とIがbさんに熱湯を掛けていた。

 (日時は聞き取れず)C、F、Pの三人で被害者の見張りをしている際、CはbさんのTシャツを包丁で破き、水泡を潰した。
 医学的には間違った治療法であるが良かれと思い実施した。
 またダイエット用にがりを買ってこさせbさんの熱傷部に掛けたが悲鳴を上げた。
 Fから「部長、海水だから痛がりますよ」と言われた。
 にがりを掛けた事についても治療行為として良かれと思い実施した事である。
 Fがそばに居たのでbさんに敵意を持っているように見せる為、「お湯だぞ」と言いながら水を掛ける行為を行った。
 被害者をからかっているように見られても仕方が無いと思う。
 その後彼女と連絡が付き、新宿5丁目にある自身の会社「バンディット」のビルで落ち合った。

 10月15日AM3:00頃、再び事務所に戻るとdさんがリンチを受けていた。
 「なんでdさんがこんな風になっているんだろう。
 怖くなって逃げたらこういう風になってるんだろうな」と思った。
 cさんは覚醒剤を打たれ、股間に足を当てられ押さえつけられていた。
 Cはdさんへの暴行に加担し右手にボクシング用グローブをはめ、ストレート気味に顔面を殴った。
 その時は義務感のようなものを感じた。
 また重苦しい雰囲気で気が滅入るので、何とかならないかというバカな考えでガムテープで目隠しされているdさんにマジックで目を書いた。
 弁護人から「それが今ではどれだけ悪質で卑劣な事をしたか分かっていますよね」と聞かれ「今は分かっています。
 バカな事をしてしまいました」と返答した。

 暴行の合い間に、被害者4人にヘルシア緑茶を飲ませた。
 Pも同様の事をしていた。

 10月15日AM3:00〜4:00頃、清水に呼ばれ監禁されている被害者について「このまま返せねえだろ。復讐されるかも知れないぞ」と言われ「殺すんですか?」と真意を聞くと「ここで話す事では無い」と言われた。

 10月15日AM4:00頃、場所を京王プラザホテルに移し協議を行った。
 反目Grの拉致計画対象者8人が出席。
 清水と伊藤はタクシーで協議場所に来た。
 協議場所では上座より清水・伊藤・C・渡辺純一の順で座った。
 清水はこの協議の時から渡辺純一を頼りにするようになった印象を受けた。
 協議では被害者4人を「ミンチにする」「シャブ漬けにして精神病院に送り込む」との案が出た。
 出席者全員が捕まりたくないという前提で協議していた。
 「4人を解放出来ない」という話の流れになった。
 Cは「それって殺すって事なんじゃないの。
 こいつら何の考えも無しでここまでやったのか」と思った。
 渡辺純一は他の出席者の責任のなすりつけに走るようになった。
 Cは「拉致・監禁を始めた人間が責任を取ってほしい」と思っていた。

 渡辺純一から「部長はどう考えるんだ」と名指しされた。
 渡辺純一は勘ぐり屋だから自分が協議中に黙っているのを見透かされたのだと思う。
 「それなら消すしかないんじゃないですか」と返す。
 本心は「知らねえよ」と思ったが、口に出すと自分が暴行の対象になるので言わなかった。

 協議の中でdさんも処理対象者と初めて知り戸惑った。
 清水に「d’も一緒なんですか?」と聞くと「d’も一緒だよ」と返された。

 京王プラザホテル協議にて、Cは清水の依頼されY1との交渉・連絡役となる(4人の処置について)。
 渡辺純一にも交渉補佐役を依頼したが「俺はやくざじゃねえんだからそんなの知らねえよ」と断れらる。
 Cは「処理はY1に依頼し、保険的な意味でシャブ漬けにしておく」という認識を持った。

 10月15日早朝、「ショーパブJ」にてY1、清水、伊藤、Cの4人で被害者処理について協議。
 清水が5000万円必要だと言い出す。
 以下やり取り
 清水「5000万円、用意できる?」
 C「今ですか?」
 清水「先に払わないとY1さん、動けないじゃん」
 11:59 閉廷

 13:14 審理再開
 ヒルトンホテルでの状況について
 10月15日深夜〜16日未明の間に、伊藤と一緒にヒルトンホテルに向かった。
 「私服(警察官)が多いから気を付けよう」と話しをした。
 ホテルの部屋にて清水より「先生(bさんの事)が死んだ」と連絡があった。
 Cはその事が信じられなかった。
 祖父が亡くなった事があるが自己の責任で死んだのでショックを受けた。
 16日AM4:00頃、合流した渡辺純一が、部屋に入るなりすぐに怒鳴られた(ルームサービスを取り、バスローブを着ていた件について)。
 「いい加減ふざけた事してると並べちまうぞ、この野郎」と言い、Y1との交渉がうまくいかなかった場合、伊藤Grで4人の処理をしろという流れになった。

 (詳細時刻は聞き取れず)清水、渡辺純一、伊藤、C、Dの5人はヒルトンホテルよりNKビルに移動。
 bさんが亡くなっている事について葬式で無い状況に遺体があるのは耐えられなかった。
 cさんにガムテープを巻く事になったが、誰ともなしに自発的に巻く事になった。
 その途中、渡辺純一に電話があり「なに!Gが捕まった?」と声を挙げた為、Cは衝撃を受けた。
 (渡辺純一自身は「皆はこの時自分が大声を出したと言っているが、自分としては大声を出した記憶は無い」と供述している)
 16日AM10:30頃、清水・渡辺純一が事務所から出て行き、伊藤が二人を追いかけていった。
 しばらくして伊藤は事務所に戻ってきた。

 引き続きcさんにガムテープを巻く。
 cさんは「うるせえ、うるせえ」とわめいていた。
 続いてaさん、dさんにもガムテープを巻く。
 Cは「Y1に引き渡す為にガムテープを巻くのであり、亡くなってもよいとは思っていない」という認識を持っていた。
 今の時点で三人を殺すのはまずいと思い、cさんの頭をノックするように叩いた。
 Cが「頭叩いたらおかしくなるんじゃないですか(記憶無くなるのではという意味)」と言うと伊藤に「そんな事しなくていいよ」と返された。

 Dについては、事件中ずっとポーカーフェイスだったのでちょっと怖い存在であった。
 Dは清水側の人間と考えており、「D一人の時は、自分には暴行しないだろうが渡辺純一の指示で手を出すかも知れない」と思っていた。

 (聞き取れなかったが伊藤、D、Cのいずれかが)cさんに「おい、起きろ」とビンタした。
 その後「スースー」という呼吸音が聞こえなくなった。

 16日15:30頃、伊藤が清水から殺害指示を受けた。
 Cは「彼らが殺されてしまうのは、自分としては嫌だ」と思った。
 C「こちらで殺す事になってしまったんですか?今なら傷害致死で済む」
 伊藤「もう無理だ。やめられないよ」
 C「d’だけでも助けてあげられないんですか?」
 伊藤「無理だ」 とやり取りがあり、伊藤は腹をくくっている事が解かった。
 aさん、dさんに何もしてあげられないと思い、何とも言えない気持ちだった。
 二人に事務所に置いてあったコカコーラ(500MLペットボトル)を飲ませようと考え、まずdさんに近づき、コーラを飲ませた。
 C「誰だか分かるか?」
 dさん「はい」
 C「部長だぞ。もうちょっとだから我慢しろよ」
 dさん「おいしいです」
 続いてaさんにも近づきコーラを飲ませた。
 「もうちょっとだからな」と声を掛けた。
 Cは涙声になりながら二人にコーラを飲ませた状況を説明した。
 伊藤、Dが二人の鼻、口をガムテープで塞いだ。
 aさんの口を伊藤が塞ぎ、Dが膝、首を押さえた。
 伊藤、Dの両名がCの目を見てきたので手伝わなければならないと思い、体を押さえた。
 弁護人に「体を押さえた時、どんな事を考えたんですか?」と聞かれ、「思い出せません」と返した。
 続いてdさんへ移動し、Cは足の上に尻を乗せて体育座りのような格好で体を押さえた。
 弁護人に「dさんの上に乗り、何を考えたんですか?」と聞かれ、「一緒にバーベキュー行ったり・・・。何でdさんを助けてあげられないんだろうという自己嫌悪でいっぱいでした」と涙声で返した。

 逮捕後の取調べで辛かった事は、cさんの死亡経緯ばかり聞かれ、他に話したい事が沢山あったが話せなかった。
 cさん死亡経緯については弁護人から「違っているなら調書にサインしなくていい」と言われていたが、取調べ官から「反省しているならサインしろ」と迫られる事が一番辛かった。

 Cは殺害実行後、事務所のソファーで寝ようと思ったが余り寝られなかった。
 殺害実行については、忘れたいという気持ちが強かった。
 相手(被害者)が悪い、渡辺純一が怖く、この事は無かったと必死で忘れようとした。

 aさん、dさん殺害後、渡辺純一より事務所内の片付けを命じられる。
 Cは、こんな事をした人間がまだ固まって行動している事に恐怖を感じた。

 徳島県警察での取調べについて
 2005年2月22日、徳島県警察に詐欺容疑で逮捕されたあと、殺害事件については、渡辺純一に口止めされていて身の危険、脅迫観念があり黙っていた。
 3月3日の取調べにてY4警部に「明日はお前の誕生日だろ。今まで振り返って色々な誕生日があっただろ。思い出してみろ。生まれ変わったらどないや」と諭される。
 C自身も生まれ変わりたいと思い、殺害事件について自供したかったが事の重大性に話す勇気が出なかった。
 また殺害事件に対して「(自分として)信じられない。恥ずかしくて仕方が無い」という思いがあり、「一晩待ってほしい」とY4警部に返答した。
 その日の夜、Y4警部から留置場のCに「内緒だぞ。黙っていろ。」と言われ、シュークリームを差し入れてくれた。
 思いが詰まり食べられなかった。
 2005年3月4日、担当取調べ官のY4警部に架空請求詐欺の事実を認め、「実はそれだけでは無いんです。4人を監禁・暴行し殺害した事件に関与しているんです」と告げる。
 Y4警部は「ホンマか。おい」と反応し、共犯者(渡辺純一の事)に口止めされていて喋ったら殺すと脅されている事を告げると、「県警本部長に掛け合ってお前も家族も守ってやる」と返される。
 徳島県警察での取調べでは、記憶違い・思い違いは多数あるが当時の記憶に基づき供述している。

 逮捕後も殺害事件については「被害者が悪いんだ。殺害は手伝っていない」と記憶にすり込み忘れたかった。
 大変卑怯だと思うが自己弁護から事件の事は考えないようにしていた。
 架空請求詐欺の被害者についても、詐取したお金の分だけ苦しんだ人がいる事、騙し取られた人の夢や生活を壊した事を考えると恥ずかしい。

 被害者4名に対して伝えたい事
 「バカな自己弁護で述べた通り、事件のきっかけは彼ら被害者が作った事は否めないが、なぜこうなったのか・・・。
 他の人は純一が怖いとか言っていたが、彼らを許してやれば良かった。
 あれだけの事を許すのは大変だが、人を殺す事に比べれば許すほうがよっぽど簡単だった。
 今思えば提案くらいは出来たと思うが、いくら詫びても本当の形で被害者の方々を返すことは出来ないし、お詫びのしようがありません」

 勾留中に旧約聖書を差し入れてもらい、キリスト教の洗礼を受けた。
 旧約聖書の一節「許しなさい。そうすればあなたも許される」に事件を重ねて、振り返るようにしている。
 cさん以外の被害者遺族には慰謝料を支払っている。

 −被告人Cに対する検察側質問(要旨)−
 2005年2月22日、西新宿アサヒビル前にて徳島県警察に詐欺容疑で逮捕された。
 9日後の3月4日に自供しているが、徳島県警察は既に殺害事件を察知していて、揺さぶりを掛けていたのではないか?としつこくCに質問した。
 Cは「そういう感じはなかった」と返すが、言い回し・角度を変えて何度も同じような質問をした。

 検察官「清水にリーダーとしての資質はあったか?」
 C「4名を殺害するという事件を起こしているのでリーダーとしては失格である。
 人を集める能力や勢いには傾倒する部分があった。
 自分は信頼されていたから詐欺で得た金の管理を任されていたが、本当は誰も信用しない人間なのかも知れないと思う。
 清水自身が『自分を無くすまで酒を飲むのが好き』と言っていた」

 清水は暴力団関係者と付き合いが多くあり、詐欺行為中は暴力団「Z1組」に用心棒料を払っていた。
 D・E・Gについては「清水の幼馴染み」という観点で見ていた。
 被害者への暴行について「Dの蹴りの強さにはゾッとした。熱湯や金属バットが無くてもDの蹴りはひどかった」。
 Dには事件中見張られている気がしていた。

 渡辺純一は「俺はこんな凄い事が出来るんだぞ」という感じで熱湯や金属バットを使用し暴行していた。
 Cは清水に対し「(渡辺純一は)後々の為にグループから外した方がいいですよ」と進言したが「トラブル解決の為にどうしても取っておきたい」としてグループから外さなかった。

 被害者4名を監禁時、Pは暴行には参加せず、福井は一発だけ蹴りを入れて帰っていった。
 Iは被害者に包丁を突き付けたり、熱湯を掛けたりして暴行していた。

 bさんが中国人マフィアに拉致対象者8人の写真を渡したと聞いたが「逆になぜ自分が狙われたんだろう」と思う。

 加害者グループで覚醒剤使用者は渡辺純一、F、P、Y16。
 清水も以前は使用していたと聞いた事がある。

 ヒルトンホテルにて渡辺純一は伊藤に全て責任をなすりつけた。
 aさん殺害実行時、伊藤とDが、私の目を見てきたので、どうしていいかわからなくなり足を押さえてしまった。
 aさん、dさん殺害後は「これ以上4名を冒涜したくない」との思いから、その場を離れた。

 被告人質問の最後でCは
 「どうして地獄絵みたいな事件が起きたのか?(反目Grの拉致)計画を知れば逃げるしかない。
 (他の共犯者が)さらってボコボコにするのは信じられなかった。
 深く考えずに実行に移したのが原因と思う」と語った。

 16:53閉廷

事件概要  3被告は架空請求詐欺グループの仲間割れから、2004年10月14日、他の被告と共に対立するメンバーを拉致し、東京都新宿区内のビル事務所で1名を暴行の末死亡させ、3名を殺害したとされる。
報告者 S325さん


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