裁判所・部 東京地裁立川支部・刑事第1部
事件番号 平成28年(わ)第139号
事件名 殺人
被告名
担当判事 菊池則明(裁判長)
日付 2016.7.7 内容 判決

 裁判員は若い女4名、中年のサラリーマン1名、自営業的な男1名。
 被告人は礼儀正しく一礼。白髪でノーネクタイのスーツ。

−主文−
 被告人を懲役17年に処する。未決勾留日数100日算入。

−理由の要旨−
略(報道の通り)
 平成26年4月から中華人民共和国国籍の被害者と交際して積立金5万円、中国での生活費として8万円渡していたが、事件当日羽村市の被告人方において他の男性と結婚していると告げられ「積立金はどうしたか分からない」「心の小さい人ね」と言われたことから本件犯行に及んだ。
 刑法199条を適用。訴訟費用は被告人に負担させない。

−争点に対する判断−
○自首の成否について。
 被告人自ら警察官に110番通報しているが、内容は「彼女を殺してしまった」と2度告げるだけで20秒で電話を切っている。
 その後の警察官の発信にも応じず、通話した際のGPSでも位置までは分からず、携帯電話番号から割り出して20分ほどで臨場した。
 概括的な申告に過ぎず、自己の犯罪行為の処分を捜査機関に委ねたとは認められないから自首は成立しない。

○量刑の理由
 被告人は無防備な被害者の首を手で強く、相当な時間絞め続けている。
 苦しむ被害者の様子や手の感触が分かっているはずなのに途中でやめなかった。
 被告人は平成8年に当時の交際相手を同じ手口で窒息死させた罪で懲役8年の前科を有していながら怒りに身を任せた短絡的な犯行。
 被害者は甚大な苦痛を受け、年齢はまだ51歳で無念はいかばかりかと推察される。処罰感情も厳しい。
 既婚でありつつ被告人と交際して「心の小さい人ね」と言ったことは本件犯行を正当化するものではないが、一定程度刑責を減少させる。
 犯行は凶器を使用していないが最も重たい部類に入る。自首も成立しない。
 他方被告人は法廷で本件事件を素直に供述して、自己の罪を認め反省の態度を示している。

 判決公判終了後、担当検事が一階のロビーで被害者関係者らしき男女を見送っていた。

報告者 insectさん


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