裁判所・部 | 東京地方裁判所立川支部・刑事第二部(単独1係) | ||
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事件番号 | 平成20年(わ)第989号等 | ||
事件名 | 詐欺 | ||
被告名 | A、B | ||
担当判事 | 毛利晴光(裁判官) | ||
その他 |
書記官:前田かおる 弁護人:大熊裕起、他1名 検察官:内田匡厚 | ||
日付 | 2009.9.15 | 内容 | 追起訴 |
外国人の直近の裁判が長引き、この裁判が終わったあと再度行うことを3者間で決めていた。 入廷してきたA被告はおそらく外人の血が混ざっていると思われる褐色肌の大人しそうな青年、B被告は金川被告に少し似た眼鏡をかけた猫背の目の細い青年。B被告はA被告にアイコンタクトを送って笑みを浮かべていた。この振り込め詐欺集団も新津豊たち(横浜地裁川崎支部)、泉俊介たち(東京地裁立川支部)に次いで追起訴が長期間続いている状態にある。 裁判官「それでは開廷します。2人とも証言台の前に立ってください。今回は7月2日、7月9日付け、Aに対して7月16日付けで追起訴があり、追起訴分の審理をします。検察官、起訴状を読み上げてください」 −検察官の追起訴状朗読− ○7月2日付公訴事実 被告人はE、Dと共謀のうえ無作為に電話して折り返し電話してきた者から有料サイトの利用料金の請求名目に金員を詐取しようと企て、平成20年3月12日、東京都板橋区のZ1208号室から、a管理の携帯電話に、真実は同人が利用した形跡も利用料を支払う義務もないのにこれがあるように装い、「ITネットワーク担当の三浦と申します。認可ネットワークを介して認証事業者の認証から辿り着きましたが、この度総合情報サイトの退会処理がなされず長期間の放置が続いております。利用規約に基づいて、支払っていただけない場合はお自宅やお勤め先など第3者への請求に変わります」と嘘のデータを言って同人を誤信させ、「総合情報サイトから手続きの委託を受けました。1万4800円その他の費用を振り込んでいただければ裁判手続きは解消します」と嘘を言って三菱東京UFJ銀行三鷹支店や千葉支店に開設された同人の口座から被告人らが管理するりそな銀行のシバタフミヤ名義の普通預金口座に1万4800円を振り込み入金させた。また同日午後、Z1203号室から、三菱東京UFJ銀行吉祥寺支店にいた前記aに対し、財産が差し押さえられる事実もないのに「一旦これから言う口座に移してもらえれば差し押さえを止められます」と嘘を言い、前後4回にわたり、同人の口座から被告人らが管理するりそな銀行ひょうたんやま支店のフジオカショウイチ名義の口座に26万円を振り込みまたは振り替え送金させた。もって人を欺いて財物を交付させたものである。 罪名および罰条:詐欺刑法第240条第1項、第60条。 ○7月9日付公訴事実 被告人はC、Dと共謀のうえ無作為に電話して折り返し電話してきた者から有料サイトの利用料金の請求名目に金員を詐取しようと企て、東京都新宿区のZ2103号室から、被害者管理の携帯電話に、真実は同人が利用した形跡も利用料を支払う義務もないのにこれがあるように装い、「日本ネットワーク担当のサカイと申します。認可ネットワークを介して認証事業者の認証から辿り着きましたが、登録料金が発生しています。無料期間が過ぎているのに退会処理がなされていません。このまま放置しますと次は身辺調査終了後、回収を含めた第3者への満額請求に変わりますので早急に退会処理をお願いします」と嘘を言ってATMに金員を振り込まなければいけないと誤信させ、東和銀行桶川支店の被害者の口座から、被告人らが管理する紀陽銀行のイノウエカズヒロ名義の普通預金口座に1万4000円を振り込み入金させた。また同日、東和銀行内にいた被害者に対し、財産が差し押さえられる事実もないのに「実は有料サイトの未納が発生した場合、口座の預金が差し押さえられることがあります。それを止めるには100万円を一度振り込んでください。すぐに返します」と嘘を言い、同人の口座から被告人らが管理するみずほ銀行のイトウタケノリ名義の口座に振り替え入金させた。もって人を欺いて財物を交付させたものである。 罪名および罰条:詐欺刑法第240条第1項、第60条。 ○7月16日付公訴事実 被告人はF、E、Dと共謀のうえ無作為に電話して折り返し電話してきた者から有料サイトの利用料金の請求名目に金員を詐取しようと企て、Z3103号室から、被害者管理の携帯電話に、真実は同人が利用した形跡も利用料を支払う義務もないのにこれがあるように装い、「日本管理ネットワークです。認可ネットワークを介して認証事業者の認証から辿り着きましたが、登録料金が発生しています。同意確認登録も済んでいるので悪質な規約違反と見なし第3者への満額直接請求へと移行します。早期に退会処理をしてください」と嘘を言ってATMに金員を振り込まなければいけないと誤信させ、みずほ銀行早稲田支店の被害者の口座から、被告人らが管理するりそな銀行ひょうたんやま支店のヤマザキマサキ名義の普通預金口座に2100円を振り込み入金させた。また同日Z3から、被害者に対し、財産が差し押さえられる事実も取り立て業者が差押さえに来る事実もないのにこれがあるように装い、「延納があると預金口座の差し押さえ手続きが取られてしまいます。1時間ほどあれば中止手続きが終わるのでそれまで預けてください」と嘘を言い、19万円を被告人らが管理する口座に振り替え入金させた。もって人を欺いて財物を交付させたものである。 罪名および罰条:詐欺刑法第240条第1項、第60条。 以上の事実につきご審理願います。 裁判官「それでは今検察官が読み上げた事実にどこか間違っている点はありますか」 A被告人「間違いないです」 B被告人「間違いないです」 裁判官「弁護人、ご意見は」 両弁護人「被告人と同様です」 裁判官「それでは証拠調べ手続きに入りますので、後ろの席に座っていてください」 −検察官の冒頭陳述− 犯行状況等は公訴事実記載の通りです。本件は同種犯行の一環として行われたものです。 裁判官「弁護人、検察官の証拠につきご意見は」 両弁護人「全て同意します」 ○要旨の告知(甲、乙) ・被害者のaの員面調書 ・振り込め場所特定調書 ・差押さえ口座の各種所在地 ・口座の取引状況、取引状況の照会 ・共犯のEの供述調書 ・共犯のDの供述調書 ・被害者のbの被害状況などを述べた検察官に対する調書 ・振り込め場所の所在地 ・差押さえ口座の各種所在地 ・口座の取引状況の照会および回答 ・共犯のC、Dの供述調書 ・被害者のcの供述調書 ・写真撮影報告書 ・差押さえ口座の各種所在地 ・共犯のF、E、Dの供述調書 ・犯行に至る経緯や共同犯行状況についてのAとBの供述調書 ・AとBの検察官に対する供述調書 裁判官「今後の予定としては」 検察官「追起訴があり、8月下旬や9月にあり、まだ続く予定です」 弁護人「目途というのはつかないのですか。もう1年以上経っているので」 検察官「確かに最初の起訴から1年以上が経過しており、弁護人の言う通りだと思います。どこまで立件するかという点も含めて検討します」 そして裁判官から次回期日が10月であることを告げられると、B被告はため息を吐いた。一緒に審理していたもう1名の被告人(G?)については分離もしくは結審したようで不明である。 | |||
報告者 | insectさん |