裁判所・部 最高裁判所・第三小法廷
事件番号 平成14年(あ)第2328号
事件名 強盗殺人
被告名 高橋和利
担当判事 堀籠幸男(裁判長)濱田邦夫、上田豊三、藤田宙靖(裁判官)
その他 弁護人:大河内秀明、外12名
立会検察官:宮崎雄一
日付 2006.3.28 内容 判決

 被告人が無罪を主張し、支援者もついている事件だが、最高裁前に報道陣は全くなく、傍聴人もほぼ全員が支援者だった。また支援団体がキリスト教系の団体らしく、傍聴人の中には数人シスターがいた。
 開廷20分前に傍聴人は全員法廷の中の席についた。
 傍聴人(支援者)は小さな声で、確定後面会をどうするか、再審をどうするかといったことや、
「記者会見にテレビカメラが来るかな」
「差し戻しや自判になったら(テレビカメラが)くる」
「丁寧に見れば差し戻ししかない」
「ここで『えーなんでそうなるの』って論理でたくさんの人が裏切られている。やっぱり(裁判官は)権力者なんです」
などという話をしていた。
 15分前に、2台のテレビカメラを持った報道陣と、4名の弁護人と1人の検察官が入廷した。
 10分前に職員が注意事項を読み上げた。その後はヒソヒソ話をしていた傍聴人も沈黙する。
 5分前に、職員が裁判官席に事件の資料を並べる。積み上げられた資料の高さは、一緒においてある六法全書よりも低かった。
 開廷予定の数分前に職員が「まもなく開廷します」というと、裁判官席の後ろの扉が開き、裁判官が入廷する。2分間の撮影が行われ、それが終わり、ちょうど10時30分に開廷した。

裁判長「開廷します」
廷吏「被告人高橋和利に対する強盗殺人事件」
裁判長「判決を言い渡します。まず理由を述べます」

 被告人が犯人であるとした原判決の結論は、正当と認めることができる。
 本件は金融業を営む男性とその妻を殺害し、現金1200万円を奪ったという事案である。金欲しさのための計画的な犯行であり、犯行態様も冷酷で残虐なものである。この結論に基づいて以下のように判決する。

主文!!
 本件上告を棄却する!


裁判長「以上です。閉廷します」

 堀籠裁判長は、必要以上ともいえる声量で判決を読み上げた。「正当」という言葉を強調し、主文は特に大きな声量だった。私がこれまで傍聴した中で、これほど大きな声で判決文を読み上げた裁判長がいただろうか。よほど判決に自信があるからかもしれないが、見方によっては支援者を威圧しているということもできる(「主文!!」と裁判長が言ったとき、唐突だったことと、あまりの声の大きさに私は「ビクッ」とした)

 冤罪を主張する被告人の支援団体の中には、法廷の中で公然と抗議する者も多いが、今回はそういうことはなかった。
 閉廷後の法廷は重苦しい雰囲気で、傍聴人の中には、ため息が漏れ、舌打ちをしたり、小さい声で「うそ・・・」とか「クソー」などと言う者もいた。また、法廷の外に出ると、泣いている者もいた。
 ある傍聴人がこう言った、「言いたいこと一言いって、逃げた感じだ」と。

事件概要  高橋被告は1988年6月20日、神奈川県横浜市鶴見区で強盗目的で金融業夫婦を殺害し、1200万円を奪ったとされる。
報告者 Doneさん


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