裁判所・部 大阪高等裁判所・第四刑事部(C係)
事件番号 平成19年(う)第556号
事件名 殺人、同未遂
被告名
担当判事 古川博(裁判長)今泉裕登(右陪席)出口博章(左陪席)
日付 2008.6.24 内容 判決

 実際に公判を傍聴した人によると、傍聴席は満席だったそうだが、以下のような内容だったという。
 被告人は、医療関係者に付き添われて、病院から高裁2号法廷に出廷し、開廷直後、「裁判長、弁論いいですか?」と不規則発言をした。これに対して裁判長は「いや、そういう場じゃないですから」と返答し、判決言い渡しを行った。

 被告人に対する殺人、同未遂被告事件につき、検察官から控訴申し立てがあったから、次のとおり判決する。

−主文−
 本件控訴を棄却する。

−理由の骨子−
○第1.検察官の控訴趣意
 被告人には責任能力があったのだから、心神喪失と判断した1審の無罪判決には、事実誤認(刑事訴訟法382条違反)がある。

○第2.控訴理由に対する判断
 そこで検討するが、当審における乾医師の証人尋問結果を踏まえてみても、1審判決には、事実誤認は認められない。
・被告人の平素の生活態度には、粗暴な点がなく、事件直前に被告人の精神状態が急激に悪化したこと
・犯行直後に被告人は自動車内で全裸になり、自殺を試みていること
・被告人には、幻聴以外、このような事件を起こす動機が見当たらない
 これら3点に照らせば、乾医師の証人尋問結果や捜査段階での「簡易」精神鑑定で責任能力を認める見解が出ていることを踏まえても、本件が幻聴に命令されての犯行であることが認められる。
 従って被告人は犯行当時、刑法39条1項の心神喪失者であったことが証拠上は明らかである。

○第3.結論
 刑事訴訟法396条により、検察官からの控訴は「理由が無い」として棄却する。

 判決宣告の終わった直後も、再び、不規則発言が有った、ということであった。

事件概要  A被告は、2004年11月18日、大阪府茨木市で通行人5人を車ではね、2人を殺害、3人を負傷させたとされる。
報告者 AFUSAKAさん[伝聞]


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