裁判所・部 大阪高等裁判所・第四刑事部A係
事件番号 平成19年(う)第453号
事件名 覚せい剤取締法違反
被告名
担当判事 古川博(裁判長)植野聡(右陪席)今泉裕登(左陪席)
その他 書記官:大久保一之
日付 2008.1.17 内容 判決

 この日は、「阪神.淡路大震災」から満13年ということで、いわゆる常連傍聴者の人たちの姿もまばらだったが、「否認事件」の控訴審判決というのに、司法記者に人たちは、誰も、高裁2号法廷には在廷してはいなかった。

裁判長「それでは判決を言い渡すことにしますが、被告人、名前を言ってください」
被告人「(略)です」
裁判長「それでは、被告人に対する覚せい剤取締法違反の事件について、控訴審の判決を言い渡します」

−理由全文−
○序論 本件控訴の主意は、弁護人森下弘の作成に係る控訴趣意書および控訴趣意補充書3通に、これに対する答弁は、大阪高等検察庁検察官作成の「答弁書」記載の通りであるから、これらを援用して説明に代える。

○第一 X1調書を巡る、訴訟手続きの法令違反の主張について
 この論旨(ろんし)は要するに、「原審裁判所は、X1の自首調書および検事調書(以下、これらを「本件調書」と呼ぶ)につき、原審弁護人の『同意して信用性を争う』旨の証拠意見に従って採用し、最終的に、これを有罪認定の用に供したものであるが、本件においては被告人の同意は無く、且つ被告人本人に対して原裁判所がその同意の有無についての確認をしていないのであり、このような証拠採用手続きには刑事訴訟法379条所定の訴訟手続きの法令違反が存在する」というのである。
 そこで、記録を調査して、検討する。
(壱)法令違反の有無
 本件訴訟記録によると、本件調書は原審第一回公判においては「不同意」とする意見が述べられたが、原審第4回公判において弁護人は証拠意見を変更し、同意して信用性を争う、と意見を述べた。そして所論のいうように、原審裁判所において被告人の意思を確認した形跡は訴訟記録上からは伺われないところである。
 ところで、刑事訴訟法326条は「検察官及び被告人が証拠とすることに同意した書面又は供述は、その書面が作成され又は供述のされたときの情況を考慮し相当と認めるときに限り、第321条乃至325条の規定にかかわらずこれを証拠とすることができる」と規定しているところであるが、同意書面は信用性についての情況的保障があるような相当と認める時に限って採証可能としており、その同意権者は被告人であり、弁護人はあくまでも、被告人についての「包括的代理権者」に過ぎず、被告人が公訴事実(現行刑事訴訟制度においては、起訴状で設定された訴因)について否認の意思表示をした場合、裁判所は、その証拠意見が被告人自身の意思によるのか否かについて確認をしなければならないと解される。
 ところでこれを本件についてみるに、X1調書の内容は被告人が覚せい剤を注射使用している現場を直接目撃した、という概要であり、被告人は公訴事実についての陳述(刑事訴訟法291条2項による原審冒頭手続き)において「覚せい剤使用は一切身に覚えがない」と明確に述べており、この調書は被告人の否認の意思を無にする内容である。
 そうすると、この調書を採用した原審の判断は誤りというほかないが、この違法が、「判決に影響する」(刑事訴訟法379条)ものか、否かを判断するためには、X1調書以外の証拠で、被告人の犯人性を検討することになる。(ゆえに、本項目においては、その結論を明らかにすることはできない)

○第二 本件尿鑑定書の証拠能力について
 この論旨は要するに「原審検察官証拠請求番号甲11号証の尿鑑定書について、原審は、これを証拠採用決定したが、控訴裁判所の調査された新事情に照らせば、これは正に違法収集証拠に他ならないから、証拠排除されなくてはならない」というのである。
 しかしながら、当審における事実調べを検討してみても、原審甲11号証を違法収集証拠と認めるような事実関係は無く、以下は所論に鑑みて検討する次第である。
(壱)所論の検討
 この点、所論は大要として「2006年7月28日で、和歌山地裁新宮支部所属の令状裁判官から、被告人自宅についての捜索差し押さえ許可状が発付されたが、これは後記の通り、令状裁判官から騙し取ったモノであり無効であるし、なおかつ令状執行も違法である」などというのである。そこで、所論に則して詳細に検討する。
(弐)令状発付・要件・執行にかかる違法性について
[ア.2つの令状 について]
 この点について所論は、「本件注射器からは覚せい剤成分が検出されたものと、そうではないものが混在していたにもかかわらず、これらについての電話照会回答書(当審検8号証)を、捜査官は令状請求に際して、令状裁判官への疎明資料としては提出しなかった」などという。
 しかしながら、本件捜査主任官の和歌山県警察新宮警察署刑事課生活安全係「主任」のX2巡査部長は、当審法廷において上記「当審検8号証」を令状裁判官に提出「しなかった」とは述べず、記憶がないと留保しつつ「たぶん、令状裁判官に提出したと思う」旨を法廷証言しており(当審第二回ないし第3回公判速記録)、その供述自体に格別不自然な点はなく、客観的な証拠とも整合しており、信用性は高いと認められる。そして、当審検13号証の「採尿令状報告書」においては「注射器から指紋は検出されなかった」旨の記載は認められないが、当審検15号証の「居室等捜査報告書」においては、注射器からは覚せい剤成分は検出されなかった旨が記載してある。
 ところで、覚せい剤事犯の被疑者(ひぎしゃ)に対する被疑事実と「採尿令状」「捜索差し押さえ令状」これらが密接に関連していることは「官庁としての裁判所」における令状実務上は明らかであるところ、指紋が注射器から検出されなかったからといって直ちに覚せい剤使用の嫌疑が晴れる訳ではないことは、(官庁としての)裁判所ないしは令状裁判官にとっては「顕著な事実」である。したがって、所論が言うように、意図的に令状裁判官からこれら2つの令状を「だましとった」などと評価することはできない。
[イ.X1本人への確認手続きの欠如について]
 所論は、「これらの注射器を一つ一つ、X1に確認させなかったのは失当である」等として捜査官を論難(ろんなん)するが、信頼のできるX2証言に照らせば、所論は、捜査機関に不可能を強いるものであり、採用の限りではない。
[ウ.令状要件の欠如について]
 ところで、いわゆる覚せい剤事犯についての強制採尿については、最高裁判例(昭和55年10月23日.最高裁決定)の定める要件の下、実施することが許されると解されるところ、この点につき所論は「X1供述はきわめて信用性が薄く、本件強制採尿令状はその要件(嫌疑の充分性)を満たさないから無効である」というのである。そこで、以下検討する。
・(ア)..X1調書についての令状発付時点における信用性
(なお、本項においては、X1供述を令状疎明の限度においてその信用性を検討することとする)
a)供述記載
 その供述記載としては、「A、X4の2名は、前刑の出所後、イラン人密売人から覚せい剤を度々購入しており、彼らはよくわたしにも覚せい剤を注射使用してきた」というものである。
b)他の証拠等による検討
 ところで同調書では、人定事項部分で、X1の前科についても触れられ、X1自ら捜査官を案内して、覚せい剤注射の状況についての説明をしていることもその供述記載より明らかであり、これらは捜査報告書や前科調書とも一致し「証明力」はともかくとして、令状疎明の水準としては充分であるといわなくてはならない。
(なお同調書では、「強制力で、しぶしぶ、被告人らから注射された」旨の記載は無く、ことさら被告人を冤罪に落としいれようとする形跡までは伺えない)
・(イ)所論に則した検討
a)X1の尿から、覚せい剤成分が検出されなかった点について
 所論は「X1の供述が真実であれば、X1自身の尿から覚せい剤が検出される筈である」などというのである。
 しかしながら和歌山県警察本部刑事部「付設」科学捜査研究所が発表した鑑定書(これは同意書面として採用・取調べ済)によれば、人体に摂取された覚せい剤は、一般に75%から85%が2日間で排泄され、昭和63年から平成元年まで、同カソウケン(以下「科捜研」)が実施した調査によれば、摂取後3日目まではともかく、4日後の検出例は無い。
 ところで、X1供述によれば、同人には覚せい剤前科はこれまでには無く(そのことは、検察事務官作成に係る個人照会結果復命書により裏づけされている)同人の供述の流れ自体には、格別不自然なところは見られない。なお、所論に鑑みてさらに付言するけれども、本件注射器から覚せい剤が検出されなかった事は事実であるけれども、時間の経過などによってその成分が消失してしまうことは、当裁判所や令状裁判官にとって「顕著な事実」であるし、上記科捜研文献によっても裏づけがされている。従って所論指摘の事情は、X1供述の「信用性」を揺るがせる事情とは言えない。(なお、指紋に関する点については前述の通りである)
b)X4らとの関係証拠との矛盾について
 この点、所論は壱として、X1供述はX3供述・X4供述と矛盾していて信用性が乏しいという。しかし、後に詳しく述べるように、X1供述は、X3、X4供述を凌駕(りょうが)するだけの信用性は、充分に備えていると認められる。
 所論は弐として、更にX1供述と本件公判証言との「自己矛盾」を指摘するけれども、令状請求疎明資料については令状請求の時点において判断をすべきであるにもかかわらず、所論は「その後」に得られた資料に基づいて信用性を縷々主張するのであり、そもそも所論は的を得ない主張であり失当というほかない。
c)虚偽供述の利益について
 この点についての所論は、マル1として、「別件詐欺事件について、本件被告人とX1は、利害対立関係にあるから、被告人に対抗すべく虚偽供述をする利益がX1にはあった」とし、マル2として「X3も原審法廷で述べ、X2巡査部長自身も当審法廷で述べているように、X1に対して、県警新宮警察署捜査員が現金2万円の参考人報酬を渡した上、X1をビジネスホテルに宿泊させ、その代金まで、公金支出しているのであり、これは捜査官による利益誘導以外の何物でもない」などという。
 しかしながら、令状請求疎明資料については令状請求の時点において判断をすべきであるにもかかわらず、所論は「その後」に得られた資料に基づいて信用性を縷々主張するのであり、そもそも所論は的を得ない主張であり失当というほかなく、後述するように信頼できるX2巡査部長の法廷証言によれば、具体的な利益誘導がされた形跡はなく、その動機が捜査官において無いことも亦、明らかである。
d)その他、所論はX1は、覚せい剤による妄想によって、被告人に不利益な虚偽の事実を述べている等というのであるが、令状請求疎明資料については、令状請求の時点において判断をすべきであるにもかかわらず、所論は「その後」に得られた資料に基づいて信用性を縷々主張するのであり、そもそも所論は的を得ない主張であり、失当というほかないし、既に述べたように、同供述はX3・X4供述を凌駕(りょうが)する程度の信用性は有している、というべきである。
[ウ.代替手段の不存在について]
 所論は、いわゆる本件強制採尿令状(和歌山地裁新宮支部所属.令状裁判官発付)について、その発付の違法性に関して「代替性」の点についても縷々指摘をしている。そこで、以下検討をするが、この点について端的に言えば、代替手段は本件の令状取得に関しては充分に残されていたと言わざるを得ない。当審のX2巡査部長供述によっても、津地裁所属の令状裁判官に対しての令状請求は可能であったことが明白(当審第3回公判.今泉裕登判事による証人尋問部分参照)であり、代替手段が充分に存在していたのである。(にもかかわらず、このように「急速を要するような、止むを得ない事情」なしに、捜査官は敢えて和歌山地裁新宮支部に令状請求を為した)なお、本件令状請求を担当した裁判官においては、このような「変則的な令状請求」(注:捜査令状についても、刑事訴訟法上は、職務管轄地域を厳密に守る必要は有る)につき、刑事訴訟法で定める「真に、止むを得ない事情」を判断することは容易に可能であったと認められる。
 そうすると、本件令状が強制採尿の「必要性」の要件を満たさないまま発付された可能性は高く、これは違法な令状発付であったという評価をせざるを得ない。(ただし、当該令状が有効か無効かについては、後述することにして、本項ではこれ以上は立ち入らないこととする)
(参)令状「執行」の違法性について
 所論は、いわゆる令状「執行」に際しての違法性について、相当詳細に指摘する。そこで、以下項目ごとに整理して検討をする。
(1)X2巡査部長証言の信用性評価
 当審公判(これは第2回乃至第3回公判)において、X2巡査部長は凡そ次のように述べる。
「捜索差し押さえ令状を示して、尿の任意提出を、三重県津市某所のA被告人宅で、(1)X4、(2)被告人の両名に求めたのであるが、被告人は、粘り強く抵抗し、大便に行きたいなどと言辞を弄し、X4に至っては、捜査員を強引に振り切って、同宅の便所へ閉じこもり、排尿を済ませてしまった為、主任捜査官(本件では、新宮警察署の生活安全係長たる警部補)の指揮の下、A被告人に対する令状執行に着手し、家宅捜索を実施した。ただし、被告人が強く物理的抵抗をすることはなく、タバコ吹かせるなどしていた」
 これは、具体的・迫真性のある証言であり、臨場感にも溢れ、森下弘弁護人による反対尋問にも耐え、原審検甲8号の捜査報告書により裏づけがされているほか、当審検1号の写真によれば、被告人は、自宅の家宅捜索令状執行に際して、自宅ソファーでタバコを吹かせながら、令状を覗き込んでいる様子がハッキリと記録されているのである。この「動かぬ証拠写真」により、X2証言にはきわめて高度の信用性が認められる。なおX4は、原審公判において、被告人の当公判廷発言と同様の法廷証言をした。
 しかしながら、(1)X4の供述には、被告人を庇う態度が見え隠れし、(2)なおかつ、X4自身も、覚せい剤使用の嫌疑での「共犯者」として疑われた人物であること(→刑事訴訟法146条にいう合法的証言拒否の対象となる、(3)上記、当審で追加提出された「写真」と矛盾する内容が含まれていることに照らし、到底これを信用することはできないから、X2証言を「弾劾」するだけの「証明力」は持ち得ないモノである。
(2)被告人の、当審における法廷発言について
 なお被告人は、原審においては「そこまで強く採尿を拒んだことは有りません」などと述べ、X4の原審証言と矛盾する「かのような」供述をしていたのであるが、当審において突如として所論同様の供述へと変遷しており、供述の重要部分を変遷させたことについての合理的な説明はできておらず、なおかつ当審検1号の写真と矛盾することに照らせば、被告人の当審供述は到底これを信用することができない。
(3)小括
 以上によれば、X2供述の信用性はきわめて高いのに対して、被告人およびX4の供述は信用が出来ない。(そしてこの事情はX1供述の信用性を補強する方向へ作用し、X3供述の信用性を「減殺」する方向へと作用するというべきである)
(4)総合評価
 以上を下にして、本件「強制採尿」についての総合評価をするに、所論は強制採尿令状が「令状要件」を欠いていた点においては理由が有るけれども、今から詳述するように、この違法が判決に影響するとは認められず、所論を採用することはできない。即ち、違法に収集された証拠については、その違法の程度が令状主義の精神を潜脱し、没却するような重大なものに関しては、その証拠能力は否定されると解されるところ(最高裁平成15年2月14日第2小法廷判決.刑集57巻2号121ページ以下、参照)である。しかしながら、本件における令状発付ミスは、もっぱら令状裁判官のミスに起因しているのであり、捜査官において意図的にこのような潜脱行為をするような意図が無かったことも明らかである。(→いわゆる、学問上の「善意の例外」法理)。
 さらに令状要件を欠くと言っても、令状無効を来たすほどの一見明白、かつ重大な違法とは評されない。従って本件においては「令状主義を没却するような重大な違法」(最高裁判例による準則基準)は無かったと認められる。

○第三 注射器についての証拠能力について
 これは前の「第2」の項で詳細に説示した理由により、論旨には理由が無い。

○第四 X1の当審における非公開証人尋問調書の証拠採用に関して
 この論旨は要するに、当審において和歌山地・家裁新宮支部「庁舎」に出張してX1を期日外で尋問した証人尋問調書を証拠採用した当審の判断は誤っている、というのである(控訴趣意補充書による追加の控訴趣意)
 そこで、順を追って検討するが、
(1)一般的な、覚せい剤事犯における 犯人性の推認
 覚せい剤というものは、特段の事情がない限り、自らの意思で摂取したと推認されるのが自然であるところ、同供述の「信用性」については、
・X1自身の両腕に残された注射痕(これはX2証言および当審で追加提出された写真類)
・差し押さえられた注射器
により裏づけがされている、というべきである。従って被告人が覚せい剤を使用した疑いが相当程度強まっていることが明らかである。
(2)特段の事情性について
 被告人は自己の尿から覚せい剤成分が検出された原因につき「これはX1の仕業」という。
 しかしながら、当審においてすら被告人はこの発言が憶測に過ぎないことを自認しており(→すなわち、直接体験の供述では無い)捜査段階の当初においては覚せい剤自己使用罪の嫌疑を認めていながら、原審第1回公判以降は、自己使用を否認しており、供述変遷をさせた理由については、充分な説明がされていない。従って、前記(1)で指摘した「特段の事情」を伺わせる事情は見出しがたい、というべきである。
(3)X1の当審供述の信用性について
 所論は、X1の当審供述(これは非公開尋問)に信用性がない、という。
 しかしながら、本件公訴事実の「有無」を判断する中核となる証拠は、本件においては尿鑑定書であるところ、X1供述を弾劾したところで被告人の犯人性を否定することにはならない。なお所論に鑑みて付言するに、先程指摘したような事情に加えて、森下弘弁護人の反対尋問にも動揺せず、証言内容が一貫している点などに照らし、その信用性に疑問を差し挟む余地は乏しい。なお所論はさらに、スモールaとして「X1供述は、X3供述、X4供述と矛盾している」などというが、X3は被告人とも親しく、なおかつX4とも知人であるから、虚偽供述をする利益が充分に存するのであって、これらの者の供述をもってX1供述を弾劾することは出来ない。また、スモールbとして検討するべき事情として、仮に、所論が指摘する事実が「存在」すると仮定してみても、X1は、単に被告人から逃亡さえすれば、その目的を十分に達するのにもかかわらず、被告人の管理する飲食物にわざわざ覚せい剤を混入させ、なおかつ自己の腕に注射痕まで付ける必然性は乏しい、といわなくてはならない。情報料の件についても、被告人の「犯人性」を肯定できる以上は、所論には「理由がない」と断じるほかない。
 よって、被告人が覚せい剤「自己使用」の「犯人」であり、本件「公訴事実」を優に認定できる。ゆえに原審裁判所の措置には、所論が指摘するような違法は存しない、というべきである。

○第五 控訴趣意中、事実誤認をいう論旨についての判断
 この論旨は「被告人は 本件起訴状記載に係る行為には無関係であるから、有罪認定をした原判決には事実誤認がある」というものであるが、前記第4の項で説示したように、被告人の「犯人性」は優に認められるから、論旨は理由が無い。

○第六 結語
 よって刑事訴訟法396条により控訴を棄却、当審における未決勾留日数の算入につき刑法21条を、当審における訴訟費用「免除」につき刑事訴訟法181条1項但し書きをそれぞれ適用して、主文の通り判決する。

−主文−
本件控訴を棄却する。当審における未決勾留日数中、270日を、原判決の刑に算入する。

裁判長「以上が、控訴審の判決ですが、もし不服があれば、今日から2週間以内に、最高裁判所へ上告することができますから、その場合は、当裁判所まで、申立書を提出してください。言い渡しは、これで終わります」

事件概要  被告人は、判決文記載の日時、自宅で覚せい剤若干量を「自己使用」し、かつ、覚せい剤若干量を所持していたという容疑で逮捕・起訴された。
報告者 AFUSAKAさん


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