裁判所・部 大阪高等裁判所・第一刑事部
事件番号 平成18年(う)第979号
事件名 殺人
被告名
担当判事 若原正樹(裁判長)杉田友宏(右陪席)冨田敦史(左陪席)
日付 2007.5.17 内容 被告人質問

 5月17日午後3時前、大阪.裁判所合同庁舎10階の高裁1号法廷には、一般傍聴者が20名程見守る中、被告人が顎鬚を垂らした姿で、刑務官に伴われて入廷してきた。

裁判長「A被告人ですね。それじゃあ、前のイスに座って下さい」
 被告人は、静かに歩み寄ると、無言のまま、イスに着席した。
裁判長「前回の法廷から2箇月が経ちましたけど、何か、心境の変化とか、ありますか?」
被告人「……(返答なし)……」
裁判長「今、拘置所では、毎日の食事とか入浴は、ちゃんと出来ているんですか?」
被告人「……(返答なし)……」
裁判長「拘置所では、毎日そうやって、下を向いているだけでは、ないでしょう?本を読んだり、運動をしたりして過ごすことも、有るのではないですか?」
被告人「……(返答なし)……」
裁判長「法廷に来ると、気分が落ち込むとか、そういうことは、有りますか?」
被告人「……(録取不能)……」
裁判長「もうちょっと、大きな声で言ってくれないかな?今、何か聞こえたような気がするんだけれども」
被告人「……(返答なし)……」
裁判長「今日は、半袖の上着に半ズボン姿だけれども、これは、自分で選んだ服を着てくるわけですか?」
被告人「……(返答なし)……」
裁判長「今回は、あまり震えているようには見えないけれども、前回は、寒かったから、震えているようにも見えましたけど?」
被告人「……(返答なし)……」
裁判長「では、弁護人、何か?」
弁護人「一昨日の午前中、私は、あなたと面会するために、大阪拘置所へ行ったけれども、会えなかった。あなたとは結局、一言も話せてはいないけれど、控訴したからには、何か理由があると思うけれども、それは、何ですか?」
被告人「……(返答なし)……」
弁護人「私が記録を読む限り、本件には、宗教的なことが背景にあるとしか、思えない。こういうことを1審判決で酌んで貰えなかったことが、一つの原因なんだろうか?」
被告人「……(返答なし)……」
弁護人「宗教的なことがなければ、あなたが、お祖母さんを棒で殴るなんて、有り得ない、と私には思えるんですよ。どうですか?」
被告人「……(返答なし)……」
弁護人「1審の法廷では、あなた、いろいろと喋っているようだけど、今、2審のこの法廷では、もう、言いたくないんですか?」
被告人「……(返答なし)……」
弁護人「私のほうは、これで……」
検察官「ございません」
裁判長「では、記録を通じて、原判決の当否を検討することにします」

 こうして判決期日が指定されたが、前回同様、被告人は何も語らないまま、控訴審の審理は終了した。

事件概要  A被告は、2004年2月24日朝、大阪府枚方市で、母が妹ばかり溺愛していると思いこんで悲観し、母と妹を殺害し、さらに二人をかばおうとした祖母を殺害したとされる。
報告者 AFUSAKAさん


戻る
inserted by FC2 system