裁判所・部 大阪高等裁判所
事件番号
事件名 わいせつ略取、強姦、監禁、強姦致傷、強姦未遂、監禁致傷
被告名
担当判事
日付 2005.3.16 内容 判決

−主文−
 原判決を破棄する 被告人を懲役20年に処する。未決勾留日数中400日をその刑に算入する。

−理由−
 弁護側論旨は被告人を無期懲役とした原審の判決は重すぎるという量刑不当である。
 まず犯行概要は原審判決のものを引用すると、被告人はテレクラで女性に会えなかった事に対する腹いせから4年間の間に19件、少女に対する強姦などをしたものである。
 被告人の犯行による被害者は13歳が2人、14歳が1人、15歳が6人、17歳4人である。
 人気のない場所を一人で歩いていた少女にナイフを突きつけ脅し、車内に連れ込むなどした後、強姦し、被害者の口内に射精する。
 犯行の発覚を防ぐと共に、それを鑑賞して楽しむために、強姦の一部始終をビデオカメラで撮影するなど、十代の多感な少女に強い屈辱感と羞恥心を与えたきわめて非道かつ冷酷な犯行である。
 被害者たちの精神的、肉体的苦痛の大きさは察するに余りあり、回復は極めて困難である。
 また、犯行が未遂に終わった2件についても、被害者が11歳と低年齢だったため、被告が性交は物理的に無理だと考えたからであり、被告人が自らを制御し強姦を思い止まったとは言いがたい。
 被害者の少女たちはなんら落ち度もなく平穏な生活を被告人によって奪われており、厳罰を望むのも当然である。
 量刑理由についてだが、被告人は自らの性欲の赴くままに犯行を重ねており、その動機に酌量の余地は一切ない。
 しかしながら、被告人に有利な点としては、本件逮捕後、Z1環境事業組合職員を懲戒免職になっており、妻とも離婚をした。
 被告には前科前歴はなく、更正の可能性が希薄とは言い切れない。
 また、被告は逮捕後進んで余罪を自供し、受け取ってもらえてはないが、被害者に謝罪文を書き、被害弁償の申し出もしており、反省の態度がうかがえる。
 これらの事情を考慮した結果、改めて量刑について考えると、弁護人の主張の通り、被告人を無期懲役とした原審は重すぎて不当であり、被告人には有期懲役を言い渡すべきである。よって主文の刑とする。

事件概要  A被告は1999年1月−2002年12月、大阪府羽曳野市や松原市などで当時11−17歳の少女18人を暴行したとされる。
報告者 指宿さん


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