裁判所・部 | 大阪地方裁判所・第十二刑事部 | ||
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事件番号 | 平成17年(わ)第3794号 | ||
事件名 | 強姦、強姦未遂、強盗強姦未遂、暴行 | ||
被告名 | A | ||
担当判事 | 川合昌幸(裁判長)西森英司(右陪席)設樂大輔(左陪席) | ||
日付 | 2006.2.9 | 内容 | 被告人質問 |
A被告人はひょっとこのような男性だった。 傍聴席には被告人の関係者もいた。 −検察官の被告人質問− 検察官「事件をやり始めたのはいつからですか。起訴された事件では去年の1月になっているけど」 被告人「その半年前ぐらいからだったと思います」 検察官「起訴されたのは全部で6件だけど、全体では何件やったと記憶していますか」 被告人「起訴されたのを含めて12,3件ぐらいです」 検察官「つまり約1年の間に月1回ぐらいのペースでやっているというわけですか」 被告人「はい」 検察官「やっている間に罪の意識とかありましたか。あなたのいう「復讐」は分かったんだけど」 被告人「泣かれるとちょっと・・・可哀相とは思うが、引くに引けない状態でした。自分のなかでは自分がおかしいとは思っていました」 検察官「起訴されていない事件で、強姦までいっちゃったのは何人ぐらいですか」 被告人「10人はいっていない、一桁です」 検察官「(犯行することに)引いてしまう部分もあったんでしょ。身勝手であることは分かってましたか」 被告人「はい」 検察官「女性に裏切られたと言っても、被害者は関係ないでしょ。復讐と名目立てて悪いことをやっている。つまり裏切られた相手と被害者は関係ないのに、復讐と言いながら、赤の他人に被害を与えている。それも復讐という名目で。どう思ってた?」 被告人「おかしな状態とは思っていたが、軽い女性に復讐したい。他の男にも軽い気持ちで弄んでいるのだろうと思っていました」 検察官「自分のやっていることは当然なんだと?」 被告人「自分でもおかしな状態だとは知っていました」 検察官「脅迫、ましてや強姦することは女性にとってどういうものだと考えていますか」 被告人「想像つかないくらい、精神的ダメージを受けると思います」 検察官「事件を起こしているんやということは分かっていましたか」 被告人「被害者と別れて車で帰るとき、僕が言うのも何なんですが、少しは罪悪感がありました」 検察官「被害者がどれだけ傷ついているかに思いを致したことはありますか」 被告人「ありませんでした」 検察官「どうしてそういうことすら考えられなかったのですか」 被告人「エスカレートしていって、自分がおかしかったと思います」 検察官「今は分かるんでしょ!」 被告人「はい」 検察官「さっきのお母さんの話では、家では犯罪の兆候が感じられなかったと言いますが、自分がやっている世界は日常とは別世界のものという認識ですか」 被告人「別世界でした」 検察官「事件を犯していることが日常の世界に出たりすることはなかったのですか」 被告人「テレビや新聞で強姦の話が出てきたときに、ドキッとしました」 検察官「ドキッとするのは、このまま事件を起こしていると捕まってしまうと思ったからなのでは。どう思います?」 被告人「自分自身に甘かったと思います」 −裁判官の被告人質問− 左陪席「さきほどの段々エスカレートしていったという話ですが、あなたの理屈としては、最初は出会い系サイトを使っている女性を弄びたいという思いから、エスカレートしていって犯罪になるということですが、犯罪になるまでの歯止めはかからなかったのですか」 被告人「彼女に特定の人ができたときは、出会い系サイト自体しませんでした」 左陪席「彼女がいるといないのとで変わるのはなぜですか」 被告人「大事な人がいると、そういうことが馬鹿らしくなる」 左陪席「悪いということは分かっていた。でもやってしまったのはなぜですか」 被告人「自分に甘過ぎたと思います」 左陪席「被害者に泣かれると引く部分があるというのは、自分が悪いことをしているので「引く」のか、性的な意味合いで「引く」のとどちらですか」 被告人「両方です」 左陪席「悪いことをしていると思い起こすこともあったのですか」 被告人「はい」 次の右陪席の判事は竹本兄弟の死刑判決に関与した人物。 右陪席「あなたは事件を10何回起こしていますが、毎回復讐の気持ちがあったのですか」 被告人「ありました」 右陪席「どういうことをしたら、復讐になるのですか」 被告人「精神的にも肉体的にもボロボロにすることです」 右陪席「大抵の場合、被害者にミニスカートを履かせているんだけど」 被告人「半分は復讐、半分は性欲という感じでした」 右陪席「具体的に性欲を満たしたいということも見えるのですが」 被告人「それもありました」 右陪席「どっちの要素のほうが大きいのですか」 被告人「半々です」 右陪席「強姦がどれくらい重い犯罪であるかは分かっていました?」 被告人「捕まるまでは分からなかったです」 右陪席「それは弁護人に聞いたのですか」 被告人「留置所で一緒だった人から聞きました」 右陪席「取調べのときも分かっていたのですか」 被告人「はい、だけどここまで重いとは思わなかったです」 −弁護人の被告人質問− 弁護人「あなたの言う動機ですが、性欲の歯止めがきかないことに対する言い訳として、復讐といって合理化していった、そういう気持ちですか」 被告人「はい」 裁判長「被告人は後ろの椅子に戻って」 弁護人は新たに弁13号証(弁護人から検察官への報告書。被害弁償に対する明細が記載)を提出して、裁判長は次回を論告・弁論で3月2日に定めて閉廷した。 | |||
報告者 | insectさん |