裁判所・部 大阪地方裁判所・第五刑事部
事件番号 平成15年(わ)第6824号等
事件名 住居侵入、強姦未遂、強姦致傷、窃盗、殺人未遂、現住建造物等放火、邸宅侵入、非現住建造物等放火、建造物侵入、現住建造物侵入
被告名
担当判事 中川博之(裁判長)丸田顕(右陪席)林扶友(左陪席)
日付 2006.2.9 内容 追起訴整理

 A被告は刑務官でなく、スーツ姿の警察官2名と入廷した。童顔で眼鏡をかけてずんぐりむっくりした体格で、紺色の上着を着用していた。

 今回の審理は検察官の追起訴整理のみで20分ぐらいで終わった。
 新たに追起訴されたのは、cさん関係の事件で、立証する証拠が読み上げられる。
 cさんの遺族の話も読み上げられて、障害者でもある息子の供述は「おかあちゃんがしんだときは、あつくてあつくてあせびっしょりになってめがさめた」という内容。
 また娘の供述調書の要旨は「救急車で病院に運ばれたとき、母は布を被されて黒こげになっていました。そのとき私は母の手を握れませんでした。母は何かを伝えたかったようです。ですがそのとき私は黒こげの手が怖かったのです。今になって、手を握って母が私に伝えたかったことを汲み取ってやれればと悔やまれます。放火によって、生きたいと思いながら死んでいった母の命を奪った犯人には、残酷な死刑で償わせたいというのが偽らざる気持ちです」という内容のもの。
 他にも焼損した各建物の住民は被告人に対し、いずれも峻烈な処罰感情を持っている。
 甲号証の朗読が終わると、裁判長に促されて、検察官が被告人に甲417号証をパラパラとめくりながら提示する。甲417号証には被害者の遺体の写真が含まれている。
 代わって乙号証は本件の自白調書が中心である。
 被告人は「火を付けれるおいしい建物はないか。ブラジャーを置きっぱなしにしてある家はないか」などと付近を物色し、本件犯行現場をおいしい建物(火がつきやすく、周りに燃え広がりやすい)と認識し、ささくれ立った板壁を見つめて「思いっきり燃えて、商店街ごと火の海になればいい」と考えて犯行に及んだことが明らかにされた。ちなみにこの犯行での被害額は1億円超。
 今後も東京での事件が続々追起訴される予定で、4月に入ってからの起訴もあるという。いずれも東京地裁での起訴を併合審理する予定なので、併合には少し時間がかかると、裁判長が被告人に説明していた。

 閉廷して手錠と腰縄をかけられる被告人に、審理中すすり泣いていた遺族らしい喪服の中年女性が、柵に手をかけて歩み寄る。泣きながら「返して・・!」と呟くように言う中年女性に、被告人は一礼して「すいません」と言って退廷していった。
 おそらく東京から来たであろう複数の遺族関係者は閉廷後、検察官と別室で打ち合わせをしていた。担当の検事が特別公判部(大橋や前上は係属。検察官の名前は長谷透と広瀬智史)ではないことと、現住建造物放火のなかの死刑の法定刑が建前だけになっていることから、死刑求刑の可能性は低いだろうと傍聴人の間で話し合われていた。

事件概要  A被告は、以下の事件を起こしたとされる。
1:1999年5月22日、大阪府高槻市で、空き家に放火して延焼し、隣家の女性が焼死した。
2:2001年9月25日、東京都墨田区で、アパートに放火し、同アパートの男性が逃げるために飛び降りて死亡した。
3:2002年2月10日、東京都墨田区で、空き家に放火して延焼し、隣家の女性が焼死した。
4:2003年6月30日、大阪府高槻市で、アパートに放火し、同アパートの女性が窒息死した。
その他、2000年11月〜03年6月、大阪、京都、兵庫、東京、岡山で小中学生を狙った強姦、強姦未遂13件を起こした。
報告者 insectさん


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