裁判所・部 大阪地方裁判所・第七刑事部
事件番号 平成17年(わ)第3497号
事件名 殺人未遂
被告名
担当判事 杉田宗久(裁判長)鈴嶋晋一(右陪席)菅野昌彦(左陪席)
日付 2005.8.3 内容 初公判

 被告は白髪混じりの男で、見るからに九州男児であった。

 まず、裁判官が被告の身上を確認。
 被告は昭和23年4月3日大分県で出生。現在無職。

 検察は起訴状で公訴事実を以下のように朗読した。
 被告人は平成17年6月1日夜、被告人を以前雇用していた、工務店経営者である被害者のa(55)が被告人に対する約20万円の未払い賃金の内、1万5千円しか払わなかったことに対して口論となり、被害者を殺害しようとして、事務所のテーブルの上に置いてあったガラス製灰皿(重さ1097.5g)で、被害者の顔面及び頭部を数回殴打し、被害者を殺害しようとした。しかし、被害者が倒れたあと、頭を抱えて事務所から出たので、被告はその目的を達し得なかった。
 罪名及び罰状は、殺人未遂、刑法第二百三条が示された。

 その後、裁判長が被告に黙秘権を告げ、検察官が朗読した公訴事実を認めるか否か聞いた。

被告「殴ったのは間違い無いが、殺そうとは思っていなかった。それに自分からやったのではなく、相手が、胸倉をつかんで、壁に押し付けてきたから咄嗟に3回殴った。顔を殴ったのは覚えていない」
 裁判長が弁護人に意見を求めた。
弁護人「犯行後、救急車を呼ぶなど、被告に殺害の意思は無く、訴因の殺人未遂は成立せず、傷害罪が成立するにとどまる。それについても、被告からやったのではなく、aさん(被害者)から手を出したのであって、過剰防衛が成立する。あと、被告はaさんを殴った後、自ら110番通報をしており、刑法第42条の定める自首が成立する」
検察官「自首については認めるが過剰防衛及び、殺人未遂罪の成立については争う」

 その後の冒頭陳述では、被告の生い立ちと共に、被告には現在1000万円余りの借金があり、自己破産を申請中だということ、犯行状況、被害者及び被告の調書などが証拠として請求された。
 弁護側は、aさんの調書に、「自分が話をしようとしたら被告がいきなり殴った」などと書かれているため、その信用性を争う旨を述べた。
 その後、検察官は、「a氏は韓国籍を有する不法滞在者だったので、7月8日に国外退去となったので、証人尋問等が不可能である」という旨を述べた。

 これで、第一回の審理は終了し、次回は1週間後の8月10日ということになった。次回の内容は、被告を逮捕した警察官の証人尋問と、被告人質問である。

事件概要  A被告は2005年6月1日、賃金の問題から雇い主である工務店経営者を殺害しようとしたとされている。
報告者 指宿さん


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