裁判所・部 | 水戸地方裁判所・刑事第1部(合議B係) | ||
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事件番号 | 平成29年(わ)第370号、平成30年(わ)496号(区分事件) | ||
事件名 | 有印公文書偽造・同行使、有印私文書偽造・同行使、詐欺未遂、詐欺 | ||
被告名 | 小松博文 | ||
担当判事 | 結城剛行(裁判長)、河野一郎(右陪席)、金子恵理(左陪席) | ||
その他 |
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日付 | 2021.1.25 | 内容 | 被告人質問 |
殺人や非現住建造物等放火などの罪で起訴された被告人小松博文の事件のうち、裁判員裁判対象外の有印公文書偽造・同行使、有印私文書偽造・同行使、詐欺未遂、詐欺被告事件について区分審理が行われている。 公訴事実は以下の通り。 第一 被告人は自己の運転免許証を偽造(氏名等の一部をマイナスドライバーで削り、別の氏名に改竄)した上、 1.平成28年11月8日、前記偽造免許証を利用し、郵便局で不正に預金口座を開設した。 2.同日、前記偽造免許証を利用し、家電店で携帯電話機1台を購入しようとしたが、店員に偽造を見破られ未遂に終わった。 第二 同様に運転免許証を偽造し、 1.平成29年5月11日、前記偽造免許証を利用し、銀行で預金口座を開設した。 2.同日、前記偽造免許証を利用し、携帯電話販売店で携帯電話1台を購入した。 まずは結城裁判長から今回は区分事件についてのみ質問するよう注意があった。 佐久間友則弁護人(副主任・国選)「事件について…」 被告人「覚えてないです」 弁「証人尋問で思い出したことはありますか?」 被「特にないです」 弁「心不全、肺高血圧症で心肺停止になりましたね?」 被「書面で見る限り、心停止となり、警察署で倒れ、病院に運ばれ、緊急手術を受けました」 弁「記憶喪失になりましたか?」 被「あったと思います」 弁「平成28年11月8日、運転免許証を削った記憶はありますか?」 被「ないです」 弁「家電量販店で携帯電話を申し込んだ記憶は?」 被「ないです」 弁「携帯の交付を受けた記憶は?」 被「ないです」 弁「郵便局に行った記憶は?」 被「ないです」 弁「銀行に行った記憶は?」 被「ないです」 弁「携帯ショップへ行った記憶は?」 被「ないです」 弁護人の全ての質問に対し、「(記憶が)ないです」と供述した。 続いて、検察官による質問。 検察官(タチカワ)「起訴された事実がどういうことか理解していますか?」 被「はい」 検「あなたの言い分を聞く機会だということを理解していますか?」 被「はい」 検「スーツを着た3人が弁護人だと理解していますか?」 被「はい」 検「黙秘権の意味はわかりますか?」 被「はい」 検「去年、横浜の病院でお医者さんの鑑定を受けたことは覚えていますか?」 被「はい」 検「X1さん(医師)から聞かれたことについては?」 被「正直に話しました」 検「平成28年の事件について。免許証の名前とかを偽造して、通帳や携帯を騙し取ろうとしたことは、全く記憶にない?」 被「はい」 検「当時どこに住んでいましたか?」 被「日立市(以下略)」 検「誰と住んでいましたか?」 被「妻と子どもです」 検「子どもは何人ですか?」 被「5人です」 検「仕事はしていましたか?」 被「していなかったと思います」 検「平成28年11月前後に働いていた記憶はありますか?」 被「記憶にないです」 検「平成28年11月〜29年2月、トラック運転手をしていましたね?」 被「はい」 検「どんな会社でしたか?」 被「一般的な運送会社です」 検「名前はわかりますか?」 被「(省略)」 検「それより前じゃないですか?」 被「ちょっとわからないです」 検「Z1商事という建材屋は?」 被「記憶にないです」 検「Z2自動車ガラスは?」 被「記憶にあります」 検「いつ頃勤めてましたか?」 被「事件を起こす直前です」 検「殺人と放火の事件ですか?」 被「はい」 検「平成26年6月頃ですか?」 被「年月日については記憶はありません。ガラスの交換工事…フロントガラスとか」 検「28年11月の事件で取り調べを受けた記憶はありますか?」 被「全くないです」 検「殺人とかの前から在宅で調べを受けてましたね?」 被「覚えてないです」 検「調書、全て読んでます?」 被「読んでないです」 検「全て確認していない?」 被「全ては確認していません」 検「読んだ限りで、間違っているとこはありましたか?」 被「なかったと思います」 検「(運転免許証の氏名や生年月日の一部の文字を削り、『B』『昭和59年10月1日生』として、家電店で携帯電話を申し込みましたね。住んでいたのは日立市(以下略)?」 被「はい」 検「029-XXX-XXXXはどこの番号ですか?」 被「固定電話はなかったです」 検「妻の自宅ですか?」 被「ちょっとわかんないです」 検「詐欺や偽造はやっていないのですか?」 被「記憶にはないがやりました。見る限りやったと思うが、記憶にないのでそのとおり言うしかないです」 検「そもそもなぜ携帯が必要か、取り調べでは話していますが…」 被「覚えてません」 検「それまでの電話が料金未納で使えないからじゃないですか?」 被「そうじゃないかと思います」 検「数か月前に無職になって払えないんですか?」 被「そういう行動を取ったなら無職だと思います」 検「28年6月頃、運送会社を辞めて無職になった。それで支払いが遅れたんじゃないですか?」 被「ちょっとわからないです」 検「働いていた時期はどうですか?」 被「時系列が分かりません」 検「写真は自分のだし、請求は自分の所に来るから滞納しなければいい。取り調べを受けた記憶すらないんですか?」 被「はい」 郵便局での口座開設について。従業員が少ないほうが確認が早いし、逃げやすいので、少ない郵便局で口座を開設しようとした。日立Z3局は覚えている人がいるので、Z4局で作ることにした。妻が子どもを送っていった後で免許証を偽造した。 検「妻が戻ってくるのはいつですか?」 被「早い時で30分。そのまま実家に寄ってゆっくりすることもあったので、一概には言えませんが」 検「平成28年11月8日に免許証を偽造しましたね?」 被「覚えてません」 検「マイナスドライバーは家にあったんですか?」 被「覚えてません」 検「趣味の釣りとかで、マイナスドライバーを使うことは?」 被「あったとは思います」 被告人は以下の質問に対し、全て「覚えてないです」と回答した。 ・Z4局で「59.10.1」などと書きましたか? ・(申込書を示し)あなたが書いたものですか? ・口座は何に使っていましたか? ・キャッシュカードが届きましたか? ・インターネットの個人売買で使ってたのですか? ・出品して買ってもらうことをしてた? ・2人の人が買ってトラブルになりましたか? ・口座を使うのを辞めてから、カードも捨てました? 検「家電店で携帯の契約を行ったことさえ覚えてないですか?」 被「はい」 検「奥さんに料金払ってくれと言った記憶は?」 被「なかったと…」 検「滞納したことは?」 被「自分だけ名義が違っていたので、自分だけ止まりました」 検「翌月に支払うのですか?」 被「はい」 以下の質問にも全て「覚えてないです」と回答した。 ・家電店で偽造免許証を提示しましたね? ・(偽造を見破った)店員に免許を返してほしいと言いましたか? ・車動かすからと? ・返してくれないから、警察を呼ぶ時間稼ぎをしていると思いましたか? ・パトカーが入ってきたから逃げましたね? ・免許証を置いて来たから、運転免許センターに行きましたね? 検「携帯は妻に払ってもらえばいいと、検事に話した記憶はありますか?」 被「ないです」 検「(偽造免許証を示し)使っていた記憶は?」 被「あります」 検「氏名や生年月日を削った記憶は?」 被「ないです」 検「マイナスドライバーが家にあった記憶は?」 被「ないです」 検「警察で、ドライバー指差して写真撮った記憶は?」 被「ないです」 検「自分の字かどうかわかりますか?」 被「今私が書いているのとはちょっと違います。でも似てると言われれば…」 以下の質問に、被告人は全て「記憶にないです」と回答した。 ・平成29年の事件。29年5月に免許証偽造。Z5銀行に行った記憶は? ・28年の事件で電話を受け取るの失敗して、それでもやっぱり欲しくて、もっとうまくやればできると、携帯ショップ使ったことありますか? ・そこでは身分証をスキャナで読み込むだけですよね? ・郵便局での口座開設は? ・消去法でZ5銀行Z6支店を選びましたね? ・免許証の文字を削ったら、下地が出てしまい、釣りで使ってたルアー塗装するウレタンコートを使いましたか? ・指でウレタンコートを使って? ・生年月日を削ったら有効期限と矛盾が生じたので削るのをやめましたね? ・Z5銀行Z6支店に口座を作りに行きましたか? ・文字を削った免許証でも偽造がバレず、口座開設できましたね? ・(口座開設の用紙を示し)覚えてますか? 検「この字はあなたのですか?」 被「私の字です」 検「Z7工業…この会社あるんですか?」 被「わかりません」 検「029-403-XXXX…電話番号は?」 被「わかりません」 検「070-3249-XXXX…誰のですか?」 被「ちょっとわかんないです」 検「取り調べで見せられた記憶は?」 被「ないです」 以下の質問には全て「(記憶に)ないです」と回答した。 ・携帯ショップで携帯の契約をした記憶は? ・銀行を出て、その足で携帯ショップへ行きましたね? ・iPhoneの新型を契約しましたね? ・身分証はどうしましたか? ・携帯を受け取って帰りましたか? ・平成29年の事件で契約した携帯はどうしましたか? ・翌日、5月12日、中古ショップで売ってますよね? ・3万6千円で売りましたね? 質問する検察官が交代。 検察官(フクタニ)「話しているのは平成28年11月と平成29年2月の事件と言うことは分かっていますか?」 被「分かっていないです。日付言われても分からないし、事件自体覚えてないです」 検「その事件について言い分聞かれてるのはわかりますか?」 被「わかります」 検「今日の日付は?」 被「1月25日」 検「令和2年?」 被「令和3年ではないですか?」 検「家族亡くなられたこと、分かってますか?」 被「年月日は分かりません」 検「これまでに携帯を騙し取ったことはありますか?時期問わず」 被「ないです」 検「時期問わず、口座を開設したことは?」 被「ないです」 検「携帯を誰かに売った記憶は?」 被「ないです」 検「自分だけ料金を止められる、と。料金はどのように支払ってましたか?」 被「妻と子どもは妻の両親の名義でした。自分のは自分名義なので…」 検「あなたの携帯が止められたことは?」 被「ありました、何度か」 検「滞納した料金で止められたのですか?」 被「はい」 検「その後はどうしてました?」 被「給料日に払って、利用開始にした記憶があります」 検「逮捕直前で使えてましたか?」 被「記憶にありません」 検察官からの質問は以上。 結城裁判長「時期を問わず、警察に取り調べられた記憶はありますか?」 被「ないです」 長「逮捕されて拘束されたことは?」 被「ないです」 長「捕まってた記憶は?」 被「ないです」 長「何となくなのか、全然なのか…」 被「本当になく、刑務所に収監されてるのが…」 長「いつの間にか収監されてた感じですか?」 被「はい」 長「危篤になった記憶はありますか?」 被「ないです」 長「蘇生措置から意識が戻った記憶は?」 被「確か、蘇生措置を受けて、どのくらい時間経ったか分かりませんが、目覚めたらベッドの上でした」 長「その後鑑定を受けたことは?」 被「横浜の記憶はあります」 長「平成28年…5年前、家族と住んでいた記憶は?」 被「あります」 長「5年前のことを具体的に覚えてるというのがおかしいですが…覚えていることもありますか?」 被「そうですね…全部が全部…」 長「スポッと抜けてる感じですか?」 被「スポッと抜けちゃってる感じです」 被告人質問は終了。 次回は論告、弁論を行うと告げて閉廷した。 | |||
報告者 | けいさん |