裁判所・部 神戸地方裁判所・第二刑事部
事件番号 平成18年(わ)第681号等
事件名 あっせん収賄
被告名 村岡龍男
担当判事 佐野哲生(裁判長)岩崎邦生(右陪席)市原志都(左陪席)
その他 書記官:山川正樹
検察官:宮本健志、小野寺明、他
弁護人:濱田剛史、他
日付 2007.1.30 内容 論告求刑

 神戸101号大法廷には、午後1時30分の開廷直後、30名近い傍聴者(司法記者ふくむ)が詰め掛けていた。

 裁判長が開廷を宣言すると、濱田弁護人(元検事)から、証拠請求の申し出がされた。
宮本検察官「なぜこの時期に、という疑問は残りますが、証拠請求じたいには同意します」
裁判長「採用して、調べることにします」
 ここで3名の裁判官は、濱田弁護人から提出された、神戸市議会の議事記録などを、廷内で確認し、採用済みの書証として、手元にある事件記録に挟み込んだ。
裁判長「いずれにせよ、論告当日に、いきなり、こういう証拠を出されるのは、問題がありますよね」
濱田弁護人「申し訳ございません」
 裁判長は、一応の注意をすると、検察官に論告を促した。
裁判長「では、検察官からのご意見を伺うことにします」
 村岡功被告の時と同様、小野寺明検事が立ち上がり、およそ、以下のような論告書面を読み上げた。

−検察官の意見−
 本件公訴事実については、その証明は充分であると思料する。続いて情状について述べる。
 本件は、自民党神戸市議団長の村岡功の影響力を背景にして、同じく神戸市議だった被告人によって敢行された、悪質な汚職事件である。
 被告人は、「村岡功の指示で、やむなく行った犯行である」などと弁解する。しかしながら、大本らに自ら、多額の現金を積極的に要求した本件犯行の態様に照らし、被告人の弁解が「為にするもの」であることは明らかである。
 とりわけ被告人は、自派の運動員が選挙違反で摘発された際、
「大本さんの会社の人が、警察に正直に話したから、こうなった。だから、弁護人費用は大本さんが出してもらわないと困る」
などと告げ、2000万円もの現金を大本に要求するなどしている。
 また、被告人は村岡功と共に、執拗に神戸市職員を恫喝して、市の要綱を変更させるなどし、その結果、当該産廃会社は、神戸進出を未だに果たせないままであるし、神戸市の福祉行政が歪められたのである。
大本ら、私企業の利益のため、そして、一企業をあたかも自己の金庫代わりに利用した本件一連の犯行は、その結果の重大性に加えて、神戸市当局へ与えたダメージも大きく、本件の社会的影響は甚大である。
 にもかかわらず、被告人は、不合理な弁解に終始して、真剣な反省の情に欠ける。
 つまるところ、被告人の刑事責任は重大であり、もはや、矯正施設での処遇は免れない。
 もって、諸般の事情を考慮し、相当法条適用の上、被告人を懲役3年6月に処し、被告人から金3500万円を追徴するのを相当と思料する。

 裁判長は、次回の結審期日を2月27日午後1時半から、と指定し、閉廷となった。

 書証の整理に時間がかかったせいか、閉廷時刻は午後2時頃であった。

事件概要  村岡龍男被告は、父の功被告と共謀して、産廃会社社長から弁護士費用名目に現金を収受する等した、とされる。
報告者 AFUSAKAさん


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