裁判所・部 神戸地方裁判所・第四刑事部
事件番号 平成16年(わ)第39号
事件名 強盗殺人、窃盗
被告名
担当判事 笹野明義(裁判長)佐茂剛(右陪席)小山裕子(左陪席)
日付 2005.10.21 内容 証人尋問

 刑務官3人に連れられてきたA被告は上下白のトレーナーを着た、ガッチリした体格の男だった。角刈りで、KTVの山本浩之アナウンサーによく似ていたが、ヤクザのような威圧感があった。

 今回は猪名川事件の被害者のMの解剖をもとに、死体の損傷状況などを報告した川西警察署の法医学者が検察側の証人として出廷した。
 まず、被害者を肋骨骨折させることは手首や足でも可能であること、肋骨骨折は強い痛みが生じることを証言した。

検察官「損傷の原因となったのは比較的硬い鈍体とは具体的に言うとどんなものか」
証人「皮膚を擦らすことができる硬いものです」
検察官「肋骨骨折した状態で動けば痛いとは、どのレベルの痛みなのか」
証人「呼吸時や咳、くしゃみをした時非常に痛みが奔る。じっと安静にしていれば収まることもある」
検察官「何か喋ろうとして激しい痛みが生じた可能性もあるのか」
証人「それは本人でないと分かりません」
証拠写真の矢印部分が筋肉内出血を示しているという。他にも舌骨や甲状軟骨の骨折も認められるとした。
検察官「これは局所的に強い力が加えられたものなのか」
証人「指とかで狭い平面を持って圧迫されてできたものだと思われる」
他に頸部の腐敗のことも聞いていた。
検察官「一般論で結構ですが、ある程度時間をかけて頸部を圧迫すると、痕跡は残らないものなのか」
証人「いいえ、痕跡は残る」
検察官「舌骨や甲状軟骨とはどういう働きをしているのか」
証人「人間が首を自由に動かせるためには、大小たくさんの筋肉があってその支柱になっている」
検察官「舌骨や甲状軟骨が骨折した場合、意識には影響があるのか」
証人「意識が失われると思う」
検察官「そして腐敗して死体現象が起こるわけですか」

 検察官は他に、手加減して首を絞めて舌骨や甲状軟骨が骨折するのかとも尋ねていた。
 また死亡推定時刻については、正確な時間が分かったらノーベル賞もので、死亡推定時刻のズレは誰がやっても必ず起こると話した。
 左陪席裁判官とのやりとりでは、指で首を挟むようにして閉めたぐらいでは、力の関係でまず舌骨や甲状軟骨の骨折は起こらない、被害者は手足が縛られていたこともあり、どこかに(おそらく床下に)首の裏側を固定された上で首を絞められた可能性が高いということが分かった。
 また打撲回数であるが、肋骨が大きく3箇所骨折している点から、少なくとも3回以上と答えた。
 次に肘の傷は何者かに引き摺られてできたものかという問いに、引っ張られる体位によると証人は答えていた。被害者であるが体格が148cm、体重が44.08kgであることから骨が脆いのかといった話題も出たが、証人はそれを否定した。そして残り3回の審理の期日を事前に決めて閉廷した。

 なおA被告の前科について、担当の女性検事に確認を取ったところ、強盗殺人は犯時少年であり、成人してからも犯罪を繰り返していたらしい。

事件概要  A被告は他2名と共に、2003年9月5日、兵庫県猪名川町の無職男性を強盗目的で殺害したとされる。
 3被告はいずれも、2004年11月20日までに、別の強盗で逮捕された。
報告者 insectさん


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