裁判所・部 岐阜地方裁判所・刑事部
事件番号
事件名 殺人等
被告名 兼岩幸男
担当判事 土屋哲夫(裁判長)
日付 2004.10.4 内容 証人尋問

 今回は取り調べに当たった警察官の証人尋問がメインだったので、被告の肉声が聞けなくて幾分かは期待外れだった感は否めない。
 被告は背は高く、身体付きはガッチリしているというよりかはブヨブヨしていた。赤ん坊のような独特の髪型で、一見すると柔和な印象を与え、上は白で下は黒のスポーツウェアを着ていた。

 最初に証人として出廷したのは、当時羽島署刑事課にいたX1巡査部長(現揖斐署交通課)で、被害者のaを殺害したとの被告の供述に基づき検死を行い、検証調書を作成した。
 検察官は甲165号証をX1に見せた。
 X1は遺体を解体、切断し小牧市内の高速道路の側道側にある焼却炉に頭部を捨てたという被告の説明通りに行い、誘導などはしていないとした。
 また、11月愛知県図書館に赴き、8月30日付けの人間の頭部が発見されたという中日新聞など3誌の新聞記事を閲覧し、必要部分を切り抜き捜査報告書に添付した。検察官はその新聞記事を証言台のX1に見せて確認を求めた。
 この後、X1に対する弁護人からの反対尋問に移り、検証を行った際、誘導はしていないかと念を押した後、被告は遺体を風呂場に運ぶシーンで、被告がどのような供述をしたか覚えているかと聞くのに対し、(X1は)被告は抱え上げるようにしたという供述をしているが、と言った。
 その時、検察官が『異議あり!』と大声を発し『尋問の内容に今の質問は関係がない。死体を運び上げる云々は言っていない。当事者間の話し合いではそのような反対尋問はしないはずだった。そのような尋問に対して、検察官も最終尋問の準備をしていないので異議あり!』というものだった。検察官と弁護人の小競り合いが続くが、裁判長が左右の陪席と顔を見合わせて検察の異議を却下した。
 続いて脇の下に両腕を入れて引きずっていくのに間違いないか、と尋ねると、X1は被告は訂正をしていないと答えた。
 被告に面会をしているか、との問いには、していないと言った。
 当時のX1の仕事内容について尋ねられると、特捜本部の庶務だが、色々な任務に携わっていると答え、検証の目的とは犯行の状況を明らかにするためだと言った。犯行の状況とはどの部分か、というと、被告がaを殺害して死体を損壊するまで、と発言した。
 一連の捜査には上司の指示があったのか、というと、その通りと言った。
 また検証調書の色んな写真を見るに、死体損壊の部分が大きいとし、場面の撮影の仕方や量について尋ねた。これに対しX1は『上層部でどのような指示があったのかは分からないが、上司の指示があった』と答えた。ついでに、当時焼却炉で頭部が発見された事件は貴方も上司も知らないのに、何で被告の犯行と関連付けたのか、と問うと、ここで血気盛んな検察官が『何が変なんですか!捜査する以上当然じゃないですか!』と横槍を入れる。
 次に検察官が164号証をX1に示す。
 ここで被告側は『本件における各証拠は死体損壊の部分だけで殺人ではない』として164号証、166号証について一部同意をしなかった。

 X1が退廷し、次にX2(岐阜県警羽島警察署刑事課巡査)が柵に入り、今の勤務先を聞かれた後、引き当て捜査(被告の案内での現場検証)の供述調書を検察がパラパラめくりながら見せて同意を求めた。
 内訳は

1:犯行現場と目される第8近藤ビル
2:(渡辺が)飼っていた4匹の猫を逃がした場所
3:エアコンを売却したリサイクルショップ
4:(渡辺の)衣服や靴、鞄を投棄した場所
5:遺体を解体する際に使ったノコギリ、カッター、包丁
6:冷蔵庫と洗濯機を売却したリサイクルショップ
7:布団、枕、毛布、皿を投棄した場所
8:aの口座から現金を下ろした東海銀行の住所
9:引き当て捜査時にもう一箇所aの口座から現金を下ろしたかもしれないとの供述を裏付けるための被告名義の岐阜信用金庫の場所
10:aの財布と免許を投棄した場所

である。
 X2は検察の確認に全て同意した。
 予定より早く切り上げここで閉廷となった。

 被告は年配の被告側弁護士にしばらくの間耳打ちした後、退廷した。その弁護士は相槌を打って笑っていた。
 傍聴席は半分も埋まっていなくて警察関係者と遺族らしき人、マスコミの姿は確認できた。

報告者 insectさん


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